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黄昏のミリアム  作者: 雅流
ラッカ
25/33

ラッカ2

シリア民主軍はシリアのクルド人民兵部隊であるクルド人民防衛隊を主体として結成された


またクルド系、アラブ系、シリア語系のキリスト教組織なども民主軍には加わっていた


そのためシリア民主軍は米軍から優先的に空爆による支援と武器の供給を受けており、これまでの反政府勢力がアサド政権打倒を目標に掲げていたのに対して、イスラム過激派組織アイシルを主目標とした


ラッカがアイシルに占領された2年後にはシリア民主軍はラッカ開放に向けて軍事作戦「ユーフラテスの怒り」を開始した

ラッカ北部や東部などから攻勢進行を開始し、ラッカ周辺を制圧した後にラッカを奪還する作戦であった


アメリカの空爆などによる支援をうけてシリア民主軍は次々とラッカ周辺地域に侵攻し、ついにはラッカ南方にあるユーフラテス川南岸の2村を占拠しラッカを完全包囲することに成功していた


それから3ヶ月ほどでシリア民主軍はラッカ旧市街を占拠し、ラッカ中心部へと迫っていた


有志連合の空爆により要所4ケ所から撤退を余儀なくされたアイシルではあったが、ラッカ中心地域にはまだ多数の市民が残っており、アイシル精鋭の戦闘員が集結していることで最終的な制圧は困難を極めると予想されていた


実際にラッカ市での戦闘は困難を極めた。

シリア民主軍はイスラーム国と過酷な市街戦を繰り広げる一方、これを航空支援する有志連合は連日、市街地への爆撃を行った。


有志連合は、これまでにもシリア国内で劣化ウラン弾を使用するなどしてきたが、ラッカ市では白リン弾を投下し、街の90%を破壊し尽くした


それでもラッカ市中心部でのアイシルの抵抗はやまなかった


シリア民主軍の部隊長ファルークはラッカ市東部から中心部を目指して進軍していた


既に何度目かの進軍であり、過去の進軍ではアイシル精鋭部隊の徹底的な反撃を受け撤退をよぎなくされていた


シリア民主軍の本営からは、なんとしても中心部への侵攻を成功させて市民を開放するようにとの指令がきていたが、そのための具体的な兵器の増強などは一切なかった


ファルークは溜息をついた


作戦は膠着していた


市の中心部でスタジアムを拠点として展開するアイシル精鋭部隊とファルークの部隊との兵力は拮抗していたし

多くの市民を人間の盾とされているうえに市民にまぎれたアイシルの戦闘員はどこにでも潜んでおり、待ち伏せは日常茶飯事だった


むやみに進撃を続けても味方の被害を増やすばかりで、中心部を制圧できる見込みは絶望的に低かったのだ


それでも命令は命令だ、指揮官が怯んでいては部隊の指揮にもかかわる


前線の本部でファルークは部下のリーダーたちと今日の侵攻作戦についての作戦会議を行っていた


現実的な話として味方の被害を最小限にとどめながらアイシルに対して圧力をかけなければならない


ラッカ中心部を制圧することはできなくても、圧力をかけ続けることでいつかはアイシルも防衛を断念して撤退するかもしれない、そのためにも作戦は続けなければならなかった


しかしアイシルの精鋭部隊の士気は高かった、抵抗はまったく弱まる気配を見せず、ともすれば支配地域を奪還しようとする動きさえ見られるほどであった


さらなる大部隊の援軍でもなければ市街戦の長期化は避けられそうもなかった


そんな状況のなか作戦会議の最中に伝令から思わぬ報がもたらされた


「ラッカ中心部より、アイシル精鋭部隊250名ほどが武装解除して投降、盾としていた市民数千人を連れてこちらへ向かっております」


スタジアムを中心として徹底抗戦していた精鋭部隊から突然250名もの大量投降が発生、それを契機にアイシル軍は総崩れの様相となり、シリア民主軍は市の中心部へと各方面から続々と侵攻した


アイシル戦闘員は市民を人間の盾として市外へと撤退した


これによりラッカ市はシリア民主軍に完全制圧され、民主軍はラッカ市を完全開放した


アイシルと市民の投降を先導したのは3名の男女と数名の子供だと噂されているが、定かではない


それらしき投降者はシリア民主軍ファルーク部隊からの報告では報告されなかった








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