ホーンテッドマンション-6
翌朝、ミコとリョウタの二人はふたたびホーンテッドマンションを訪れた
あいかわらずドアに鍵はかかっていない
二人が中へとはいっても、今日は何も飛んではこなかった
「ねえ、いるんでしょ。 私たちはあなたに危害は加えないわ」
「話がしたいの、ねえいるなら出てきて顔を見せてくれない」
それでも屋敷は静まりかえったままだ
「私たち明日は帰らないとならない、私はあなたなんてどうでもいいのよ本当は」
「でも私たちの先生が、あなたはここにいるから連れてこいって言うのよ」
「それに、あなたは私たちについてくるって言ってたわ」
その言葉が終るか終わらないかのうちに、またも屋敷が地震でもおきたかのように猛烈に震動しはじめた
部屋の一番奥に据えられている大きな二つの本棚がガタガタと震えはじめ、扉が開くように動いてとまった
最初そこには何もないように思えたが、そうではなかった
「驚いた、こんなに小さかったの」
本棚の間に4歳か5歳くらいだろうか、少年がちんまりとたたずんでいた
「先生っていう人が僕にも話しかけてきた、君たちと一緒に来いって」
「君たちの先生っていう人はどうやって話しているの? ここにいないのに頭の中に話しかけてくるんだ」
「私たちにもわからないわ、でもどこにいても先生は必要なら話しかけてくるの」
「その先生はどうして僕がここにいることを知っているの?」
「さあね、自分で先生に会いにいって訊いてみたら? 僕はリョウタ、君の名前は?」
「そうだね、そうしてみる、僕の名前はトム」
「まあ! 本当にトムっていう名前なのね」
「トム、君ってすごいね、僕なんて先生のところに来るまではせいぜいトランプ一枚くらいしか動かせなかったのに」
「そんなに小さいのにあんな重たい椅子や本棚まで動かせるなんて」
それを聞いて小さな少年は初めてちょっとだけ微笑んだ
「君たちも役割があるの? 先生っていう人が僕には役割があるって言ってた」
「そうね、私たちも役割がある、あなたを見つけるのもそのひとつよ」
「ふうん、そうなんだ僕の役割ってなんだろう? おばさん知ってる?」
リョウタがニヤニヤしているのでミコはお尻をつねった
「ええとね、おばさんじゃなくてお姉さんよ」
「次に私をおばさんって呼んだら君には天罰がくだるわ、転んでケガしないように気をつけなさい」
少年はちょっと肩をすくめるような大人びたコミニュケーションをした
二人が乗ってきた車へと向かいながら少年が訊いた
「ねえ、おばさん」
その瞬間に何かに躓いて少年は盛大に転んだ
膝小僧のあたりが擦り剝けて血が滲んでいる
リョウタが心配そうにのぞき込みながら言った
「大丈夫?痛そうだね」
「ミコの預言には気をつけたほうがいいよ、天罰で死んじゃった人もいるんだから」
少年はたちあがって言った
「転んだのなんて初めて、びっくりした」
「ねえ。。おば。。。」
「お姉さん、僕の役割ってなんだろう?」
「それは私も知らないわ、でもとっても大切な役割のはずよ」
「どうして?」
「それはあなたが第一の使徒になる人だからよ」
「第一の使徒ってなあに? なにをするの?」
「それは私にはわからない、先生だけにわかることなの」
「いつかその時がきたら先生があなたの役割を教えてくれるはずだわ」
「お姉さんが僕を迎えにきてくれたように?」
ミコは頷きながら、バックから取り出したペットボトルの水で少年の膝をふいてやり、ハンカチを包帯のように巻いてやった
「ありがとう、お姉さん、とっても美人だね」
「あら。 大丈夫よもう天罰はくだらないから」
それを聞いて少年はほっとした表情になった
ミコは苦笑して言った「やっぱりそうなのね」
リョウタが少年に耳打ちして言った
「でも怖くなければ本当にすっごい美人だろ」
少年はリョウタの耳にささやきかえした
「うん、こんなきれいな人はじめてだ」




