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人生二回目! ――氷煙の騎士と火焔の神子――  作者: みゃ~うち?/宮内桂
7/13

(7)――会談はメイド喫茶にて後編、追憶は苦みをおびて――

機会あれば本格的なアフタヌーン・ティーの店に行ってみたいですが。ネットにちょこっと調べてみると居酒屋チェーン店で一回呑みに行くよりも、高額なので二の足を踏んでます。

「アンタがレイク・ハリスンだね。あたしがサマンサ・スカーレットさ。よろしく。で、何を聞きたいんだね?」

メイド喫茶なるものに生まれて初めて入り。一つ安堵した、レイク・ハリスン。

 目の前の男前な老婆が、ごく一般的な服装であらわれた事だ。

 もし、メイド服姿であらわれたならば、どうしようかと。

 もっとも目元がキツいが、若いころはさぞかなりの美人さんであったことも、うかがえて。

 「最古参のメイド長」として認識するならばアリと思いつつ。何が失礼に当たるかわからないので、平静を保ち会見に臨むレイク。

 元相棒オーガストならば、その心情を吐露して、さらに笑いに持っていき、さらに円滑に会見を進めてしまいそうだが。

 あの、コミュニケーションお化けめ!

「こちらの資料は全てお渡しします。貴女の過去の評判から察するに、目的が何にせよ、街の治安や安全を乱す事はされないでしょう。

 こちらの目的は、街の治安維持と安全の確保がまず第一。

 僕の協力者オーガスト・ラインは、魔獣惑乱大暴走(メガ・スタンピード)の原因こそ調べておりますが、仇討ちは二の次三の次です。

同様の被害が出ない事がまず第一。それを踏まえた上で、大暴走の情報を何かお持ちなら、教えて頂きたいのです」

「……煙草……いいかい?」

「どうぞ」

 個室に通されて。ミスター・エミリオは隣に。

 テーブルをはさんで向かい合う老婆。年齢双方の抑えた色遣いの衣類。

 黒のスラックスに、茶系のブラウス。しかし胸に飾った赤い薔薇は嫌味無く。彼女の魅力を引き立たせこそすれ、損ねない。

「有りがたいねえ。最近は三人が三人ともアタシが吸うと、いい顔しないのさ」

「貴女に長生きして欲しいのでは? 付き合いこそ短いですが、少なくともミスター・エミリオには情の深さを感じます。必要以上に問題を抱えそうで怖いですが」

「なっ、サー・レイク!」

「あははは、思ったよりもこの子の事分かってくれてるじゃないかっ! 先代ウィザードの称号持ちとして、話せない事もあるが。

 色々アンタの聞いた話を聞いた上でも全面的な協力をしても面白そうだ。ただアンタが思っているほどアタシラは、事情通って訳じゃない。

 ネイティブでの通り名持ちのアンタと同程度かそれ以下って事もある。それを踏まえた上でいいかい?」

「それで構いません」

「そうか。……少し長い話になるが良いかい?」

「結構です。先任従騎士長経由で上に許可も得ておりますから、時間に余裕があります」

「なら昼飯まだだろ? ちょうど良い時間だ。アフタヌーン・ティーと洒落込もうじゃないか。ここはそういう店さ」

 本場フォレスト仕込みの紅茶が、売りのこのお店。メイドの衣装や対応にも力を入れつつ、入れる方向性を間違えていそうだが。

 ティータイムの作法一式は完璧に思えた。

(……そちら方面の知識無いから判断しづらいけど。オーガスト君なら分かるのかな)

 と場違いな感想を持ちつつ、話の主導権を全て丸投げすることにした。

 相棒オーガストの一番辛い時を知っているがゆえに。事件の被害者の心情をかんがみ、相手のペースに合わせた方が良いと思っているから。

 時間に猶予があるならば、被害者の気持ちを傷つけたくは、無い。記憶を思い起こすことは、後悔の念を掘り起こし、ふたたびみたび、自身の心を傷つける。

 それを知っているから。

                              ◆◆◆

 食べながら聞いとくれ。

 そう言ってサマンサ自身もキューカンバー――キュウリとハムのサンドイッチに手を出し。次に卵サンドに手を出す。

 コーンとキャベツのコールスローに手を付けた後、サンドイッチ各種をレイクは次々と、平らげ。何となく「あえて遠慮しない」方がよさそうと彼は判断した上で。

 この老婆、あえて先に食べて見せて「遠慮なく食べとくれ」と、言外に言っているような気がして。

 一方エミリオは何か緊張しているのか、食の進みが遅く。

 レイクはティーカップを持ち上げてみて。その香りの良さに驚く。

 ふいに思い出す。紅茶の入れ方には、ゴールデンルールなるものがあると言うのを、レイクは親友から確かに聞いた。

『まあ、あれだ。メンドくさけりゃな、でっかいヤカンにティーバック二三個入れて。沸きたて熱湯入れてフタしとけりゃ、そこそこ旨い紅茶は煮出せる感じかな。

客に出すんじゃ無くて、自分や身内だけで飲む場合それで事足りるわな。ただティーバックとお湯の分量間違えれば濃くなり過ぎっから、お湯を継ぎ足したりして調整な』

 従騎士時代に、二人部屋で紅茶を振る舞われた事を思い出し。その美味さに素直に誉めた言葉の返しがこれだ。思わずレイク、思い出し笑い。

 カツサンドまであった事を密かに喜びつつ、ストレートティーで口直ししていた時の微笑。これが案外絵になった。

「……なあ、アンタ女装しないか?」

「ちょっ、グランマ!!」

 あせるエミリオ。割と美形の部類というか、中性的なレイクだと似合いそうだとは思うものの。時として相手の反応を考えない義母の物言いにはときおりひやひやさせられる。

「……騎士の仕事的に必要になればしますけれど。趣味ではありませんので。申し訳ないです」

「まるで、女装したことが有るような言い草だねえ」

「ありますよ」

「へっ?」

「えっ?」

 サマンサ・エミリオサイド、予想外の答えに絶句。

「趣味ではありませんが、僕は小柄で華奢らしく。そういう衣装着ても違和感無いそうで。歩き方や振る舞いに喋り方はまあ何とかなりました」

「ちょっとその話をくわしく!!」

 作家魂を刺激されたか、食いつく老先生に。若先生は無言で身を乗り出し、手帳を広げる。

「捜査の関連で匿名を条件になら、後ほどくわしくお話しますよ。簡単に言えば、女性を狙った薬物使用の事件がありまして。

 女性従騎士や小姓をオトリに使うよりはと、僕が志願したのがその顛末です」

 そう言えばと、思うエミリオ。地下水道でのスライム戦では、ヒュージスライムを倒す前は、一切アビリティやスキルを使用しなかったレイク。

(この人、得物が無くても単独で戦えそうだし、その意味では適任なのかな?)

 そう改めて感心しつつ、養母と二人して根掘り葉掘りたずねまくる。

 給仕に来ていた小柄なメイド長さん? らしき純情そうな娘も立ち止まり、無言でメモ取るワクワク顔が、レイクは一番怖かったそうである。

 レイクの得た教訓。作家先生に、燃料を与えてはいけない。後ほど話すという部分は、少しも考慮してもらえなかった。

                              ◆◆◆

「あー、そろそろ話を本題に戻して頂きたいのですが」

「すまないねえ、つい……な」

「調子に乗りました! ごめんなさい」

 少々うんざりした表情で告げるレイク。ばつの悪そうな母と子。

「資料はくわしくあとで見ていただくとして。要点的には物量で攻めてくるか、からめ手でくるかは分かりませんが。そのどちらも可能な厄介なスキルを持った魔獣が今回背後にいそうだと

いう事です。この事に直接的でも間接的でも良いので、何か情報をお持ちならと思い、今日こちらに訪問させて頂いた訳ですが――」

 そういうレイク・ハリスンに、らしくなく少し言いよどんだ表情見せると、老婆は「すまないねえ」と、一言断り喫煙。

 老女が吐く紫煙を見つめつつ、先を急がず機会を待つ。

「エミリオ?」

 短く、しかしその声の抑揚にどれほどの意味をこめたのだろうか? そこまでの二人の深い絆を、レイクは感じ取った。

「はい。ボクから話します。……っと言っても簡潔に話すとものの数分で終わっちゃう話なんですけれどね。グランマにはリチャードっていうお孫さんが居ました。

ボクもマギーもベスも。四人で幼なじみでした。どうしようも無い。ほんっっとにっ! どーしよーも無いドすけべだったんですけれど」

 そういうエミリオの表情は、本当に怒りつつ何かを懐かしむようでもあり。

 リチャード。その名前にレイクは覚えがある。先日墓参りにて、一つひとつ墓碑銘を眺めては冥福を祈り。その中にあった名前リチャード。特に印象に残ってもいた。

 享年14歳。生きていればミスター・トマスとほぼ同い年か?

「それでもボクらの中で一番の年上で、ドすけべなことをのぞけば、まあ良い兄貴分だったんだけど――」

 そうやって過去の話を切り出す若先生。そのつとめて無表情に振る舞うさまは、痛々しかったが。サー・レイクは騎士。たとえ嫌われようが聞き取り終えようと、覚悟をしていた。  

                              ◆◆◆

 五年ほど前。お昼前。

 代り映えしない村の周辺を、晴れた日は必ず散歩する。幼いA・エミリオ・レッドの日課であった。

 幼なじみリズはインドア派。マギーは気分屋で。毎日文句を言いつつ付き合ってくれるのは、リチャード、彼だけだった。

「はぁはぁはぁはぁ」

「だらしないなー。まじゅつしってのもけっこうたいりょくひつよーって、グランマもいってたのにい」

「はぁはぁはぁ僕は……はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ……きほん……頭脳ろーどーで」

 ふだん口喧嘩では敵わず。年齢の平均から低い身長はまあ良いとして、食べ過ぎで丸々と太った彼を攻撃できる唯一の機会。

 まさか、「攻撃されてあげて」「花をもたされていた」……なんて事は幼いエミリオに想像できるはずも無く。

 彼の死後、日記を読む機会を得て明らかになった事なのであるが。

「なにー? きこえないー。あはははー」

 昨日やりこめられていた分遠出になってしまったのも、よくある話。

 街道に出て、その脇を流れる小川は水遊びには最適で。

 ただ水遊びするには季節が早すぎて。けれども「いつも通り」やりこめかえして、気分が良くなりテンション上がった幼子を誰も攻めれはしない。

 村内の建物たちがあんなに遠くに見える。けれど、まだ昼前で見通しもよく。

 裸足になって水に足をひたしてみようと、思いつくのも珍しくなく。


 水遊びスポットとして、村の子供たちの絶好の遊び場として、ここが夏場に機能する理由。

 浅瀬で危険無く。又川沿いに大きい木々が茂って、涼を得るための木陰があった。

 その木陰に見慣れない二人組。若い男か? 村人ではない。そもそも知らない人だ。

 二週間に一回は行商の小父さん達が来て、村でまかなえないものを売ってくれるけれど? 二人組の脇にそれらしき馬車と馬の姿もある。

 なんとはなしに、むくむくと悪戯心がわきだして。8歳にしてスキルの一端を使えるようになっていたエミリオは。お兄さん達を驚かそうと抜き足差し足……忍び足でしのびよる。

「で……、どう……だい……頬傷の。今回は……アナタもだが。むず……かしかろう? 複……数箇……所どうじ……発……動……は」

「見損なうなよ、旦那。数は用意した。配置はアンタらの指示通り。タイミングもそちら任せ。だから楽勝さ! まっ、例のデス・マーチって奴が来たら逃げていいんだな?」

 おかしい。そうエミリオは思う。しかし、何がおかしいのだろう。

 コモンアビリティでもって強化したエミリオの目と耳。

 商人らしき旅慣れた服装……にしては薄汚れていて。経験の無い幼子には、赤黒い汚れが血の乾いた跡なのには気がつかない。

 二人ともうつろな目。瞳孔の開ききった目で、互いを見ていて。

 しかも抑揚無い口調。棒読み台詞。本人の意思とは関係無く。「ナニカに会話を強制されている」風情。

 その様々な要素が分からなくて。エミリオ・レッドは、ただ漠然と。オカシイ。そう思って、身を潜めて耳を澄ませ注視した。

「……それ……でい……い。在野には……デス・マー……チ以……外にも…………手強い……敵どこにでも……い……る……。まよわず……にげろ……」

「了解だ、旦那。しっかし旦那もきようだねえ。サブスキルでレギオンをここまであやつるってのは――」

 エミリオの本能は「この場を立ち去れ」と、警鐘を鳴らしていた。それは漠然とした不安を覚えていた。

 ニゲロ! イソイデ、スグニ!

 聞いてはいけない事。見てはいけないモノを見た自覚をするには幼過ぎ。

「待……て、頬……傷……。…………ダレダ」

 睨み付けられる。瞳の無い白い両目。そう言われ、その視線を向けられて、エミリオは硬直した!

「誰だ! チビとデブかよ!?」

「エミ―、逃げるよ」

「リッ君!?」

 いつの間にか追いついていたリチャード。すぐさま幼子を抱え、走る。いや、「滑る」。

 魔獣師たるリチャード・スカーレット。愛用の腕輪を媒体にして、地面を凍らせ遁走する。その場は逃げきったと思われたのだが…………。

                              ◆◆◆

「――逃げきれませんでした。たどたどしい言葉使いの方の男が追いかけてきて、直ぐに追いつかれ……。

……街道の少し離れたところに古い番所というか見張り小屋みたいな、頑丈な石の廃屋があって、そこに逃げこんだのですが。そのカブトムシの男に建物ごとつぶされました」

「カブトムシ?」

 ところかわって現代。メイド喫茶マギーズ・カフェの店内個室にて。

「リッ君……リチャードは魔術師のせいか分析好きでした。ボクは見落としていたんですが、頬傷と呼ばれた男の首筋にクモ。追いかけてきた方にはカブトムシが肩に乗っていたんです。

クモはリチャードの分析だけど。カブトムシはボクも確認したから……。それが奴のスキルの端末魔獣。

 あとマリオネット……ファミリアなどのスキルもリッ君は候補にあげてたけれど。候補にあげて自分ですぐ否定して。それで、レギオンだろうか……と」

「……まっ、目撃の話を聞いたアタシも同じ判断をしたわけさね。うちの馬鹿孫はさ、四大それも水の内氷の制御に長けてたのさ。なんつーか崩壊したがれきの下で、下半身つぶされて

自分が助からないのを自覚しただろうにさ。つまらん冗談とばしつつ、氷のドーム作って救助待ち。アタシが駆け付けた時まで生きてて、さ。遺言代わりにレギオンと使い魔のカブトムシにクモってちゃんとアタシに伝えてから死ぬなんざ、最期のさいごで格好つけすぎさね」

 「つまらん冗談」とグランマが行った時エミリオが一瞬顔を赤らめたのを、記憶しつつ。

 サー・レイクは神妙な表情で、渡すべき資料――大きめの茶封筒に触れた。その中に小さな封筒があり、それを無言で開くと糸のようなものが入った小さなガラス管があらわれる。

「サー・オーガスト・ラインの幼なじみの方の死体が、握っていた手がかりです」

 絹糸にも似た艶やかで半透明なソレは、一部赤黒く。それが今のエミリオにはおそらく「被害者の血液」だと気づくほどには大人になっていて。思わず表情を曇らせる。

「これを差し上げます。クラウディの親父さんところとは別の観点で、何か得られる可能性がありますし。

少なくとも魔獣惑乱大暴走(メガ・スタンピード)の背後にレギオン使いが居るであろうって根拠は、その蜘蛛の糸の物証によってこちら側も確証を得ていた訳ですがね」

                              ◆◆◆

「手土産までいただいてしまって」

 アフタヌーン・ティーにて。食べ損ねたスコーンやクッキー類を紙袋に入れて手渡される。こういう気づかいは、旧大陸の作法には無かったが。

 「勿体ない」精神の持ち主のレイクに取っては有りがたく。

「いいんですよー。貴重なお話もたくさん聞けましたし。またお越しくださいね、ご主人様♪」

 ただメイド長さんの邪気の無い笑顔がこわく。やや腰の引け気味のサー・レイク・ハリスン。

 そんな精神状態であっても、小さなエミリオの方に目を向ける彼。いつもの自信過剰なまでのオーラは無く。どこか意気消沈している風にしか見えない姿は、まるで幼子だ。

 義母の背後に隠れるかのように、その背中に居る様からは素の状態だとも、見て取った。

「でだ、サー・レイク・ハリスン。この半人前をアンタはどう見るね。役に立つかい? 相棒として」

 サマンサ女史の試す様な問いだった。ただその問いかけは何故かレイクでは無く、エミリオに対してなのを、その視線から感じ取る。

 ……なぜ?

「そのおっしゃりようは、何故ですか? 僕では無くエミリオ君に資格を問うなんて。僕は十分一人前と思っているのですが」

「いやいやまだまだ半人前さ。あの話をして、委縮するなんてな。作家としてはまあ及第点。しかしだね、騎士のお手伝いをするって事は人様の命を預かるってことでもある。

そりゃあ点数の付け方も辛めになるさね」

「人間誰しも弱みがあります。それでも自暴自棄にならずに、周囲を見る。行動する。未熟ではあっても前を向いてます。そのどこが半人前なんでしょうか?」

 少し困った風な顔を見せて、老母は愛おしげに、エミリオとメイド長を交互に見つめつつ、こう言った。

「色々あって、自分たちで考え決めて。アタシの自慢の子供たちは、最適最良の候補者を自分たちの中から選んで……エミリオがアタシの全てを受け継いだ。

全てをだ。これがどんなに重いものかは、ネイティブの通り名を持つアンタらには少しは想像つくんじゃないかね?」

「…………だとしても、慣れない職場で、慣れない格好をして。おん――」

「ちょい待ちっ! レイク、アンタはやっぱりエミリオの言う通り気がついてて?」

 めずらしくあわてる老女に、少年騎士はしれっと言葉を続ける。

「はい。たぶん最初から。ミスター・エミリオが詰所に来られて歩く姿が、体幹がブレなくて綺麗な歩き方で武術的に出来ると思った一方何か違和感も感じたんですが、そこでは答えでなくて。

でもシークレットブーツで身長誤魔化して。肩パッドで体形偽って。という事に思い至り。加えて今日までのエミリオ君の反応から察して――」

「っ~~~」

 意気消沈して神妙な表情も何処へやら。百面相して悶絶してもだえる赤い人の姿に、カリスマ作家の威厳は消し飛んで、素。地金丸出しの素の姿。

「あー、そうかい。まあなんだ。今ここで詳細は明かせないがね、いざと言う時にさ、この子を選んでやってちょうだいな。アンタ自身は素質も技量も性格も文句なし。

戦闘力云々も、調べてた頃と比べて技量をあげてるみたいで恐れ入る。あとはさ、相棒としてこの子を求めて欲しいのは、親の欲目だが……」

 あり得ない話だが、そうため息つく老母の吐くため息の先に、レイクは紫煙を幻視した。

「……相棒として選んでもらえるかは、結局この子次第なのさ」

次回投稿は未定です。二週間後に投稿できると良いなあ。

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