プロローグ
プロローグ1、2は飛ばしていただいても今後の話に大きな支障はないと思いますが、お読みいただければ幸いです。
異世界――
その未知なる世界とロマンに心惹かれる少年がいた。
十七歳の誕生日を三日後に控えた少年、天宮佑はごく普通の高校生である。
彼は異世界ファンタジーに憧れ、暇さえあれば異世界に行って無双するような妄想をしている。
「あーあ……今日も見れなかったな……異世界の夢」
気だるそうに呟く佑の目は、ゆっくりと瞬きをする。
「佑ー!朝ごはん!」
起き抜けの寝ぼけた耳に届くこの声は、佑の母親のものだ。
大きく欠伸をし、ぼやけた目を擦りながら、佑は部屋を出た。
「佑!おはよ」
佑がいつも座る席には、すでに少女が座っていた。
「おいー……そこ俺のなんですけどー?」
「まーいいじゃない。待ってあげてたんだし」
少女はニッと目を細めて笑う。
「飯食えねーだろ。さっさとどけよ、マイ」
佑が面倒くさそうに話す少女、白井舞衣は、佑の生まれた時からの幼馴染だ。
真っ直ぐ整えられた艷めく長い髪、クリっとした形の良い目、柔らかそうな桃色の唇。
美しくも可愛らしい、明るい少女。
同じ年に同じ病院で生まれ、そのつながりから母親同士が仲良くなった佑と舞衣は、幼い頃から何かと一緒にいた。
ちなみにだが、舞衣は6月18日、佑は7月3日生まれである。
「お姉ちゃんに向かってその口の聞き方はなんだ! この愚弟め」
眉間に皺を寄せながら、だが怒るではなく茶化すように舞衣は言う。
「同い年だろがこのバカ。乳揉むぞヒンヌー」
「誰が貧乳だー!」
「すまん。揉む胸なんてないんだったな」
「佑が言っちゃいけないこといった! あと謝るフリして追い討ちかけるな! この変態……!」
フフッと佑の母が笑う。
「ほんと毎日仲良しねー」
佑はふっと息を吐き、向かいの席に座った。
食器が乗ったトレーを自分の方へ寄せ、いただきます、と朝食を食べ始める。
舞衣は頬杖をついて見守り、佑の母は佑の弁当を仕上げる。
いつもの天宮家の光景だ。
朝食を食べ終え身支度を済ませた佑は、舞衣と並んで学校へ向かう。
「いってきまーす」
お読みいただきありがとうございます。
次話もよろしくお願いいたします。




