ぐるぐる悶々と
「お疲れっしったぁ~~」
「おい! 一寸ばかし、付き合えよ」
そう言った百目鬼に室星が呼び止めた。
呼び止められた方はと言えば――
「いや。結構っすわー~~」
手を左右に振り素通りをしょうとしたのだが。
そうは問屋が許さずに。
「手前の相棒の話しだっ!」
◆
そこは《ワールドルーツ》王国の中で一番、賑やかで騒がしい《トーキョー区》だった。
百目鬼にとっては初めての経験で。
室星の前をずんずんと進んで行く。
そう好奇心の多い百目鬼を室星も腕を引き――案内をし続けた。
【BAR みみっく】
「っば! BARぁああ!?」
行きついた先の看板に百目鬼も顔を紅潮させる。
そんな様子の百目鬼に室星も、
「説明も、立ち話しも面倒だ。中に入ろう」
肩を掴み、中へと誘うのだった。
「っふぁ、ふぁあ~~」
中は薄暗く、大きな大画面には洋楽の映像が流れ。
店内には大きなBGMが響き渡っている。
きょろきょろと辺りを見渡す百目鬼。
「あ」
その賑わう空間の中で。
顔見知りを見つけたのだった。
「堤のおっさんだ!」
百目鬼の言葉に室星の口も大きく開かれていく。
そして、そんな声も届かないはずの距離にいた。
堤のおっさんこと――堤勲。
当王国の、実質的の王が百目鬼に気が付いた。
軽く手を振った彼に、
「ごっめぇ~~ん♡ あっちに行くわぁ~~w」
百目鬼も手を振り返して、室星に言うのだった。
室星が彼の袖を引く前に。
彼は遥か向こうの堤の傍だった。
「やぁ。こんな場所に、誰と来ちゃったの? 百目鬼君はwwww」
「あっはァー~~ちょいと、職場の上司に半ば連れて来られちゃったって感じっすねぇw」
「ぅん~~? そいつぁ、どこのどいつなの?」
グラスに口をつけ堤が聞くのだが、
「ま。いっか、……ほら。何かの縁だし? 一緒に呑もうか?」
すぐに百目鬼にそう言い返し。
そんな堤に百目鬼も聞き返すのだった。
「驕りですかね?wwww」
◆
「君と前にゲーセンに来ていた、……尾田ダンマル君が結婚したんだってね」
そう唐突もなく。
堤が百目鬼に言った言葉に、
「? ……あ、ああ! はいはい! そうなんっすよぉ~~wwww」
一瞬、誰のことだと思ったがすぐに、翁だと理解した。
「確か、《すたぁ~》って子だっけ? いい胸の子だよねwwww」
(胸?????)と、それこそ分からない情報に。
百目鬼も、どう反応するのが正しいのかと口をへの字にさせ。
へらっと微笑んで堤を見るのだった。
「……でもねぇ? 社内ベースに、そんないい胸の、あんな顔をした従業員なんかいないんだよねぇ?」
「どこの、……情報です? 堤さんw」
百目鬼の言葉に堤が携帯をタップし《ドーナッツ》を開き。
《ミドリん♪》の写メを百目鬼に見せた。
堤から携帯を受け取り、
「へぇ?」
顔を紅潮させる女の姿をした翁を、ここで百目鬼は初めて確認をした。
ちょっと理解が出来なかったが。
(なんかあったのかなぁ?wwww あんの馬鹿ぁー~~wwww)
「その。《すたぁ~》って子の、名前を百目鬼君なら知っているのかな?wwww」
携帯を手から抜き、堤がグラスの中の酒を呑み干した。
タン! とテーブルに置く様子に、
「ええ。もちろん、俺の友達ですからね――その子」
百目鬼も、ここで言わなければいけないのだと察した。
根掘り葉掘りと調べられるのはご免だからだ。
「その姿の経緯は知りませんが。彼は――馬場翁です」




