終わりにもならない終わりのあとに
――【Error……Error――……】
『さぁー~~てと。久しぶりの買い物じゃ~~』
『カズマさん! この間も買い込んだじゃないですかぁ~~』
カズマと、その妻で女子高生の千千鳥である。
新妻の言葉にカズマも、苦笑して頭を掻く。
唇を突き出して、
『功績を積むにゃあ。やはり、武器も大事じゃろぉう? のぉう、千鳥ぃ~~』
指先を合わせて、ごにょごにょと言う。
言われた千鳥も、肩を竦ませ豊満な胸を揺らした。
『ええ。それで、アナタが死なないのであれば。私はダメとは言いませんよ』
お腹を擦る彼女に、カズマも頬を緩ませた。
臨月で張ったお腹をカズマも撫ぜてやる。
『うむ。わしも死ぬ訳にゃあいかんからのぉう』
『それで。何か、これといったものは決まっているんですか?』
『……ぅ、うむ。それが、……その、な? ふは、は?』
引きつった笑顔で千鳥の腕を引っ張り向かった先は。
《ワールドルーツ日本支部》内部にある――《武器専科》である。
怪訝な表情になる千鳥も察したのだった。
『カズマさん。……高いものなんですね? 欲しいものというのは』
『っそ、それがありゃあー~~仲間を守れるんじゃ!』
――【Error……Error――……】
「くたばっちまえぇっ!」
――《聖ヴァイラスの鉄槌》発動。
翁が偶然にも手に取ったのは。
生前のカズマが、新妻の千鳥を口説き落としてまで欲しがったものである。
元々は《防御率》の高いとされる武器であった。
Lv.1 ⇒ 半径10メートル全員のHP回復
Lv.2 ⇒ 約1万人、全員のHP回復
と続き。
最終形態では、その癒しとは別の顔になるのだった。
Lv.10 MAX ⇒ 発動時。聖ヴァイラスの出現し《判決》を下す。
――『儂を呼び出した者よ。力を貸してやろう』
白髪の長い髪を無数に縛り、長い白鬚も無数に縛る。
初老で、体格のいい老人。服装は聖職者だ。
この老人によって。
死よりも重い罰を見舞うのだ。
それは《過去》を瞬時に見極めての正しいと思う罰である。
ただし、そのときに。使用した従業員の《過去》にすら反応をするという。
《欠点》もあった。
それこそ。カズマも覚悟の上で。
Lv.もMAXにするつもりもなかった。
あるに越したことはない程度で。
そんな《薬》でしかなかった武器を。
翁が《猛毒》に変えたのだ。
――『ふむふむ。お主は少しばかり、……永久の闇を味わってもらうとしようか』
パッチン! と指を鳴らすと無数の蠅が彼女に襲い掛かった。
そして、その蠅は肉食で。彼女の《繭》も剥がされ喰いつくされていく。
「っぎゃアぁああ‼」
元のか弱い少女の姿に戻り悶絶をし。
動き周り悲鳴を上げる彼女に、
「アナタ! 大丈夫ですかっ‼」
アウターが彼女の名前を呼ぶ確認をする。
「っひ、ぎゃあァアアぁ‼」
大量の蠅によって彼女の――アナタの姿も見えなくなっている。
アウターも身体を強張らせた。そして、聖ヴァイラスを視た。
――『済まないが。お主にあった罰は――《死》しかない』
「!?」
嗤った聖ヴァイラスがアウターへと体当りをした。
瞬間。業火が巻き起こった。
その火の粉は蠅にも燃え移り、青い炎が挙がった。
堪らずにアナタは、倉庫を後にするのだった。
生き残ったのは翁だけである。
静まり返った空間に、翁は地面に膝を。
そして、ゆっくりと腰を落とした。
――【Error……Error――……】
「おれが、……翁だから。翁だから――こんな目にあったのかなぁ?」
茫然自失と、涙も枯れたかのように。
目も真っ赤になってしまっている。
人生初の失敗と、後悔の連続は嘘から始まっているのだ。
《尾田ダンマル》だと名乗った日から。
今日、この瞬間までが。
「でも。まだっ、……おれが折れる訳にゃあいかねぇっしぃっ!」
腰を上げた翁はポシェットを腰に巻き。
路を見た。するとだ。
――『そのまま。真っ直ぐに行かれよ、翁』
「‼」
消えたハズの聖ヴァイラスが翁に声をかけた。
武器の解除は基本持ち主次第であるが。
その終え方を翁が知るハズもない。
――『しかと。儂も見届けるとしよう』
「? そう? ふぅん」
首を傾げた翁を冷淡に見下ろす聖ヴァイラス。
口許はわなわなと小刻みに揺れていた。
――【Error……Error――……】
『仲間を守る前に、ご自身を守ってもらわないと困りますよ!』
『うむ! 高い武器だけあって儂もきちんと保護されるっちゅうもんなんじゃ!』
喜々と言うカズマに千鳥も笑うしかない。
『父親になるんですから。必ず――生き残って下さいよ。カズマさん♡』
――【Error……Error――……】




