突然の迎えの代打の男 蛇苺翡翠
何万回も言い続れば。
嘘も方便と。
ホンモノの脅威となっちまうのさ。
◆
食事何処【みんみん】
ここは――《カマクラ区》の片隅にある。
百足蝉が個人経営する古めかしい店。
「何なのだよ! お前さんは!」
水を男のテーブルへと置き、叶が訊く。
「何って、……父さんがさぁ? そいつを迎えに行けっていうから、こうして出向いた訳ね。因みに、まだ勤務中だったけど、父さんの頼み、っだっからさぁ? 行かない訳にはいかん訳よw」
薄い紫色の髪を撫ぜ、視線を翁へと向けた。
「ぉ、おおお、……お父さんって?? ぉ、おれは誰のことだか、さっぱりなんですけどぉうぅう!」
カウンターから伺うように翁が言う。
怯える翁の様子に、
「昨日の酔っ払い、覚えてねぇか?」
男が眼を見開かせ――《果樹》で見据えた。
「あ! あの酔っ払いの自称《群青翡翠》って男の息子なのか!?」
男の正体は群青翡翠の精液を、身勝手にも手に入れた親戚。
翡翠を愛してやまない蛇苺紅玉により、実の姉でもある銀子の膣を使用し産ませた。
正真正銘の蛇苺の純潔種の父親を持った。
嫡男の蛇苺翡翠である。
よって、群青翡翠の長男でもあり、母親違いの竜馬は。
実質、次男とになるのだった。
だが。
それを大っぴらに説明をすることは出来ない。
食事何処で、しかも常連客もいる状況下でもあるからだ。
(本当に、父さんっていう癖は直さないとなぁ、……父さんに嫌われたくないもんなァ)
出された水を飲み込み、
「ううん。違うよ、彼とは同期だしねw 俺の父親に似ててさ、だから、ついつい呼んじゃうだよね。俺の悪い癖w」
翁が警戒を解くように、笑顔を向けた。
それが効いたのか翁も出てくる様子に息子の翡翠も嗤う。
「俺は蛇苺翡翠。初めまして、尾田ダンマル君」
「……どうして。おれの名前なんか、知ってんの?」
「父さ――ミドリさんが教えてくれたんだw ささ、帰ろうぜ? まずは学校に戻ろうじゃないか」
「!? ぃ、ヤダ! 行かないっ!」
大粒の涙が流れた翁に、店内がどよめき。
一斉に息子の翡翠を睨んだ。
(本当に、翁ってwwww マジで勘弁だわぁ)
肩を竦める息子の翡翠。
「18歳たって、十分に大人だろう? あンたは、っさ?」
全てを見据える眼に。
思わず翁も涙目で睨んだ。
「っそ、それとこれは。問題が違うだろぉうがっ‼」
口を大きく開けて吠えた翁に。
見惚ける常連客たち。
「そうしたいってんなら。あンたの中でそすりゃあいい。でも、俺には父さんの頼みは絶対なんだよ、悪いんだけどさ? 俺に拉致されて?」
水を置くと息子の翡翠が立ち上がった。
「っへ?」
すると、翁が膝から崩れ落ちてしまう。
「ぉ、っとっとw」
その翁の身体に腕を伸ばし、持ち抱えると。
「っしょ、っとなw」
意識を失った翁を、背中に背負った息子の翡翠。
「ちょっと! お前さんさぁ!?」
「……何? あンた、この俺に立てつく気? まさかねw?」
息子の翡翠が叶を睨み微笑んだ。
「っく!」
圧倒的な気迫と殺気。
何とも言えない違和感と恐怖に、叶の足も竦んでしまう。
「あんまし。私ンとこの従業員を苛めなさんな、蛇苺Jr.ちゃん」
「ムカつくなァ、あンた……店主だっけ、っかな?」
「紅玉さんはお元気? 去年から来なくなったんだよね、いつも――……お兄さんの話しばかししてたから、うっとうしかったんだけど。来ないとなると寂しいもんだ」
腕を組みウィンクをする百足を睨む息子の翡翠。
「お兄さんとは、上手くいったってことでアンサー?」
「親父に言っとく。あンたがよろしく言ってったって、っさ!」
「そう? それじゃあ、そう言っておいてくれな。あと、そいつにこれを」
名刺を出すと翁の尻ポケットに名刺を入れた。
「これも何かの縁だ。ダンマル君によろしくな? 息子の翡翠君」
手をひらひら、とさせる百足に。
無言で息子の翡翠が店から出るのだった。
カラン――……
「あァー~~行っちまったじゃんかぁ! 折角の従業員候補っがぁああ!」
頭を抱えた叶の肩を百足が叩いた。
「多分、彼は来るよ? だって彼は――知りたくなるから」
すぅ――……
っふぅうう~~……
~ここはる妄想セレクト声優様~
蛇苺翡翠Cv:玄田哲章さん イメージです。




