いずれくる真実の足音が聞こえる
誤ってしまったことの巻き返しは。
十分に可能だ。
謝ってしまったことの弁は。
言質となり。
取り返しはきかないことが。
ざらにある。
◆
隔離授業:③ ワルツ基礎 担当教員 室星剛太郎
――ここで重要なことを説明をしょう。
創設した《ワルツ》は山の中を日本支部として王国を作った。
それに伴い、会社を守る《貴族》ともいえる一族も在る。
《群青》《蛇苺》《糊》《堤》《翁》
《群青》は《獣王》という特殊な《変態》で商品確保をする。
その特殊な能力は本家の長男にしか受け継がれない。
所有者は《群青竜二》
だったが。
去年の8月に不慮の事故に遭った。
長男でもあった群青翡翠と、共に死亡してしまい。
事実上において。
《獣王》は消失し、断絶が確定となった。――
「待って? それっておかしくないか? なぁ、諸星先生」
百目鬼が話しを折るように。
割り込んで首を傾げた。
確かに、今の室星の説明は不可解なものである。
「長男しか引き継がれないハズなのに、……どうして群青翡翠が《獣王》じゃないんだ?」
「噂では、だが。身体が弱かった長男の翡翠が次男の竜二に《譲度》を行ったと訊く。しかし、あくまでも噂で、眉唾もので真実は闇の中だ。死人には――口がないからな」
百目鬼と室星の掛け合いに翁もメモをとっていく。
あまり、この辺りに興味なんかない。
ただただ、いずれくる自身の――《翁》の知らない実態に。
胸が堪らなく苦しい。
翁を出て、今の今まで外で勤務をしていた翁は。
自身の家系がどうこうした一族なんかを。
全く知らないからだ。
(翁って、どんなジャンルなんだろうな。群青ほどだったりしてなwwww)
無表情を装うとするのだが。
感情は隠せてなんかいない翁に、
「翁ちゃん顔が緩んでるぜぇ? 何か思い出し笑い? 何、何々??」
百目鬼が肘を肘に当てて、けん制するかのように言い漏らす。
「! ゃ、あ、ああっ。すまん!」
「まぁまぁw あ。話しの腰を折ってすんません。どうぞ、室星先生」
指を差す百目鬼に室星も眉をつり上げた。
――《蛇苺》は先の《群青》とは枝別れたした家系だ。ただ、こっちは《異人》の血脈が濃いために、少し異端児といっても過言ではない。
白い肌に、白髪に柔らかい髪質は猫っ毛に近い。
そして、身長は180センチ以上はざららしい。
そして、一番の特徴的なのは。
両目の隻眼――《果樹》だ。
噂で、何処までが真実なのかも定かではないが。
《森羅万象》を見渡すことが出来て、《神の目》なんて字がある程だ。
それから溢れ出る涙は《宝石》に変わるらしい。
今の《蛇苺》の本家の人間は、もう流すことが出来ないようだが。
高値で売れるために、昔は《果樹狩り》が頻繁に起こっていたようだ。――
「え? 流すことが出来ないってのは、……泣けないってことなの? 室星先生」
「みたいだな。貴族はあまり弱点をおおっぴらにしないから、全部は憶測にはなるが。《宝石》を産めなくなった《蛇苺》は商品確保時によく暴走して破壊を頻繁にするから。《貧乏貴族》や《賠償金の一族》とも称される」
教科書を丸めて、一気に室星は、
っす、っぱ~~~~んンん‼
百目鬼の頭部を叩いた。
「っだ!」
室星の行為に、
「先生っ!」
翁も、声を荒げて睨んだ。
「少しは、穏便にしている俺の身にもなってほしいもんだよ、馬場君」
丸めた教科書を開き直して。
読もうとしたとき、
ジジジジジジ‼
終業のベルが鳴ってしまった。
「明日も、この部屋でやるかは分からないが。変わったら、会社で配布した携帯に通知をする。以上! 解散っ」
軽く会釈をする室星に、2人も会釈で返した。




