プロローグ
いったいどこの馬鹿が朝の5時に麻婆豆腐なんて食べるのか。朝食を食べるにはまあいい時間かもしれないが、一睡もしていない21歳女子大生のすることではない。カロリーが、ああ、カロリー・・・。朝食べたものが一番消化されるから多少食べ過ぎてもいいかとは思うが、残念ながら食い終わったら寝る。決定事項だ、食って寝て太りますなあ・・・。カロリミットでも飲めばよかっただろうか。
今もお腹を押すと鈍い痛みがある。そのくらいハードだったのだから仕方がない。私に限ってそこが壊れたりはしていないだろうが、もともと正常に機能しているかも分からない場所だ。なんかもうすべてが仕方ないしどうにでもなれ、これ以上考えたって仕方ないことを考えるのは禿げる。
就職活動に並行して、卒業論文のために文献を漁って、マンネリ彼氏のご機嫌を伺って。時間は有限、一分一秒が価値がある、しかしながら惰眠をむさぼり、就職に必要な筆記試験の勉強を怠り、あろうことか高い費用を払って勉強したはずのコームインの勉強は全く頭に入っていない。県内企業しかみていないとはいえ、車もアッシーもおらずバイトも年末で辞め、貯蓄もなく親からの支援もないため月々の奨学金と同じ程度消えていく就職活動のための交通費にも頭を抱えなければいけないし、春になったのに彼氏とデートをするための春服もないし、契約してしまっている脱毛の支払いも、旅行の費用だって死守しなければいけない。
あれもこれも全部が中途半端で、とりあえずは何をするにもお金がいるってこと。卒業論文だって場合によっちゃ何万何十万実費で偉そうな宗教本を買わなければいけないかもしれない。あくせく金策するのも、こちらで就職するために親と悶着するのにも、内定がもらえないかもとか不安になるのにも疲れたし、今更子供ができたところですり減る心はもうない。できたらできたでどうにでもなればいいし、実際どうにでもなるんだろう。しいて言えば今妊娠すると、来年仕事に就くのが同期より大幅に遅くなるし、入社していきなり産休をとるのもよくないだろう。会社によっては内定取り消しではないだろうか。子育てはある程度親に任せられるが、いらないやっかみを買っていじめられるのは困る。できてしまったらばやはり、どうとでもなるにはなるのだが、みすみす社会に出る機会を逃したくはないし、これから薄月給で教育費をためるのにも無理がある。あの子が結婚をしてくれたって、いまだ学生であるし、少々薄情な部分もあるのでいいパパになれるとも分からない。いたずらに心労を増やすのも本意ではないのでできてしまったらやはり親の体裁もあっておろすことになるのかなあとか。
考えることはいくらでもある。とりあえずは、うちの親はとても厳しいし私だと特に容赦はしないだろうから、変なところを殴られて重傷にならないように受け身の練習から始めようかと思う。思うだけならただなんだぜ。