3:パパのがんばり
「どうしてこうなった?」
今日はニーナの入学試験。
準備は万端だった。
シアンと一緒になってはや数百年、やっと授かった一人娘
名前はニーナ・ブラフォード
かわいい名前だ!
不死王の嫁さんと眷属の俺との愛の結晶!!
自分の子供がこんなにも可愛いとは思わなかったよ。
こりゃ年賀状に子供の写真をのせちゃうよ。
いやむしろのせないなんて選択肢自体ないわ。
そんな目に入れても痛くないニーナが、
ニーナが
ニーナがショボンで帰ってきた・・・
まるで遠足のバスに置いていかれたクラスメイトのように、
インスタント焼きそばのフタに残されたキャベツのように、
何とも言えない寂しさが漂っていた。
その表情を見た瞬間私は絶望に打ちひしがれた・・・
どうしてこうなった?
ニーナちゃん学校へ行こう計画は完璧だったはずだ。
子供ができる将来を考えて、シアンとできる限りの布石を打ってきた。
帝都で高等学校を設立したし、あらゆる商品が手に入るように商会も作った。
安全な戦闘経験が積めるように、不死王(嫁)プロデュースの巨大地下迷宮も作って、配下を大量に配置している。
ニッポンの安全のため、隣の大陸も制圧した。
ニーナが学校に行きたいと言い出してからは、3年がかりで学校を改装、女の子に優しい作りに変えた。
食事スペースやお手洗い、シャワー室など完璧に作り上げた。
シャワー室などは覗こうとすれば、魔都の地下迷宮に転移するように防備も完璧だ。
転移先のダンジョンマスターには10年迷宮から出させないように命令済みだ。
ついでに帝都の犯罪者もすべて迷宮に転送しておいた。
校長についても手を打った、
我が家のカワイイ娘に変な虫がつかないように、
お硬い軍人を校長にすえた。
昔、フェンリルのぜフィを見つけた時に戦っていた軍のおえらいさんだ。
軍神テュールだったっけ?
彼のやりやすいように人事にも便宜をはかった。
試験対策も戦闘試験でけがをしないように、獣魔使いとしてフェンリルのゼフィをつけたし、
こいつと一緒なら神にだって立ち向かえるはずだ。
筆記試験はうちの子は頭が良いから問題ないし。
お弁当にはタコさんウィンナーと抜かりはなかった。
ゼフィにも犬まっしぐらなお肉を用意した。
だのになぜ!
お帰りのハグのあと、ダメだったかもと力なく微笑むとニーナは自室へ入ってしまった。
帰って来たらおいしい晩御飯で出迎えるために、エプロン姿で料理にいそしんでいる場合ではなかったのだ。影に入ってついていくべきだった。
「私にまかせて、あなた」
とシアンがニーナを追っていったので、今はまかせよう。
私は一緒に試験を受けに行ったぜフィに視線を移す。
「お前がついていながらどうゆうことだ?釈明を聞こうか」
エプロン姿の私の威圧にビクビクしながら
精一杯僕は悪くないって顔をしてゼフィが話し出した。かわいい。
「ウォン、ウォン、ウォン」
「ふむ」
「ウォン、ウォン」
「ふむふむ」
「ウォン、ウォン、ウォン、ウォン」
「ふーむ、ふむ、なるほど~」
「ウォン!」
相槌を打ってみたが、もちろん犬語?は話せない。
「まったくわからん」
「クゥーン」
ゼフィは今にも泣きだしそうなキラキラした瞳で私を見つめている。
「お前の言いたいことはすべてわかった。まあ、うちのかわいいニーナを悲しませたこの社会、いや、世界が私に喧嘩を売ったということだな!」
「ウォン!」
「よし! ぜフィついて来い!」
私は愛用の大槍を方に担ぐ。
「ニーナをしょぼんさせたこの世界に全面戦争じゃーーラグナロクのはじまりじゃ〜」
「ウォーーーーーン」
この世の終わりが今まさに始まろうと開いていた時、
ニーナの部屋のドアが空いた。
出てきたニーナの笑顔にイケイケのお馬鹿空気が塗り替えられた。
「パパ!晩ご飯まだ?今日はお腹空いちゃった。」
「あなた、ご飯にしましょ」
ニーナはバツが悪そうに、シアンはいつものように優しく微笑んで言う。
その姿を見た俺は満面の笑みを浮かべ、
「今日はニーナの好きなハンバーグだぞー!」
ぜフィのお腹がグーッと鳴った。
「お前もペコペコか~」
スキップしながら台所へ
試験の話を聞きながら3人と1匹で楽しい晩御飯をを食べた。
結局、ぜフィを含め家族に甘々の俺でした。
ニーナの一言で今日も世界は救われた・・・
そしてブラフォード家は今日も平和である。




