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2 お姉ちゃんがいない
さっきまではお姉ちゃん視線でしたが、今度は妹の視線です。
お姉ちゃんがいなくなって……。
「姉が、いなくなったんです」
私は交番で訴えた。
「どこかに出かけたとか、そういうのは?」
「あたしが夕方の6時過ぎに帰ったら、いなかったんです。でもいつまで経っても帰ってこないんです」
「じゃあお姉さんの捜索願を出そう。お姉さんの名前は?」
「来家琥珀、28歳。背は167センチ、そこそこに痩せてて、髪は黒くてボブにしてる」
あたしは言った通りのことを書いていった。最後にあたしの名前と連絡先を書いて、捜索願を提出した。
お姉ちゃんは妹のあたしが見てもとても綺麗だ。おしゃれで家事も出来て気立てもいい。
それから、父さんと母さんが一度に死んじゃってから、ずっとあたしを守ってくれている。
今日はあたしの14歳の誕生日。
好きなものを作ってもらって、ケーキを食べて、プレゼントをもらって。
お姉ちゃんと一緒にいる。
それが楽しみで仕方なかった。