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6 生家へ
私はすぐ不動産屋に連絡し、家を見たいと言った。
連絡の2日後には見学の都合がつき、私は晶を連れて生家を訪ねた。
家は変わっていなかった。
水回りや壁紙などがリフォームされ、庭が荒れていた程度で、家具はそのまま残っており、私が小さいころのいたずら書きまで残っていた。
(普通は消すと思うのだが、見落としたのだろう。)
私は不動産屋にこの家が売りに出された経緯を尋ねた。
するとこの家は2年前に持ち主から売りに出されたのだと返ってきた。
持ち主は家をつぶして更地にしたかったらしいが、敷地だけの値段より更地にする費用のほうが高いと分かり、しぶしぶそのままにしていたらしい。
今まで買おうとした人はいなかったのかと尋ねると、いかんせん敷地が微妙に狭いのと交通の便が悪いのと家が古いのと7人乗り級の車を入れられないのとで売れなかったらしい。
私はちょっとほっとした。
この家には私たちが家を追い出された後誰も住んでいなかったのだ。
ちなみに値段は格安だった。
築30年というのもあったらしく、350万円だった。