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6 意外な再会
保健所のドアを入った時だった。
『琥珀ちゃんだよね?』
振り向くと、見覚えのある顔が目を丸くしていた。
『ゆみちゃん?』
『わぁ、久しぶりー。元気だった?』
色素の薄い目と髪が懐かしく、私は思わず笑った。
ゆみちゃんは短大時代の友人で、同じ市に住んでいることを知って意気投合した仲だった。
確か卒業後は市役所に就職したと聞いていたが、まさか保健所にいるとは思わなかった。
『卒業式以来だよね。今日は、妹ちゃんの予防接種か何か?』
『・・・まあ、そんなとこ、かな』
ゆみちゃんは私が卒業間際に両親を亡くしたことを知っている。
卒業してからは、まったく連絡しなかったし出来なかった。
『可愛いねー。いくつかなあ?』
『・・・』
疲れたのだろう。晶は半分眠りそうだった。