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4 提案
先生はわかってくれた。
あたしは確信した。
「来家、あさってから夏休みだな」
突然そんなことを言われてあたしは本当に驚いた。
確かにそれはそうだけれど…。
「とりあえず、明日の終業式は出席しろ」
「そんなひまない!」
「来家」
先生はあたしの肩を掴んだ。
「美術部は午前中やってる。
私は休暇がかなり溜まっていてな、それを消費しろと上からうるさく言われてる」
「だからなに?」
「世の中には車というものがある。
私が休暇を取ってお前がお姉さんを探すのを手伝おう。
車を使えば遠くまで行ける」
あたしは確かにと思った。
このあたりは電車の便が悪くて車なしでは暮らせない。
お姉ちゃんは免許を持ってるけど遠くに出かけるときはタクシーを使う。
自家用車は維持費がばかみたいにかかるからだ。