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3、初デート

いよいよやってきたデートの日、当日

家から待ち合わせ場所までは5分あれば充分だ。

そんな事、わかってるのに30分も前に家を出ようとする愛。

「あーい。

待ち合わせ何時なの?」

行こうとする愛を舞がひきとめる。

「家から5分ぐらいの場所に10時だけど…

それがどうかした?」

「10時?

まだまだ時間あるじゃん。

10分前にでて5分前につけば充分だよ。」

「た、相手がはやくきてるかもしれないし…」

拓也くんって言おうとして慌てて言い方をかえる。

「ちょっとぐらい待たせたらいいの!

相手が誘ったんでしょ?

だったら相手が先にくるのが当たり前なの。」

言われてみればそんな気もする。

でも、もし拓也くんが何分も待ってたら…

「やっぱり私行くね。

今15分前だから10分前にはつくし、ちょうどいいと思うから。」

「わかった。

いってらっしゃい。

がんばってね。

いい男ならつかまえとかなきゃだめだよ?」

軽く頷き家をでる。

つかまえとくか…

舞からしたら簡単な事かもしれない。

けど愛にとってそれほど難しい事はなかった。


待ち合わせの場所にはすでに拓也くんがみえる。

急いで走り出す愛。

それに気づいた拓也はクスクス笑っている。

「そんなに走らなくていいよ。」

「待たせちゃ悪いし。

ごめんね。」

何度も謝る愛に拓也は複雑な顔をする。

「あーもう謝んなよ。

俺が楽しみではやく来すぎただけだっつうの。」

照れたように告げる拓也。

愛は頭の中で言われた言葉を考える。

気がついた瞬間頬が赤くそまる。

「ご、ごめんね。」

なんとなく謝ってしまう愛。

「いくぞ。」

終わりがなさそうに思った拓也は愛の手を握り歩き出す。

休日の町はすごく込み合っていて自然と身体の距離が縮まる。

トンッ

二人の肩が軽くあたる。

拓也は気にしてないみたいだが愛にとってはそれだけですごくドキドキしていた。

いっしょにみる事になっていた映画は愛の大嫌いなホラー映画だった。

映画がはじまると席の近さが気にならないくらい、愛は内容に怯えていた。

何も考えずに、怖さをまぎらわす為に愛がつかんだのは拓也のシャツだった。

でもそんな事考える余裕はない。

その時、いきなり手がつかまれる。

「ホラー映画無理だったんだな。

わりぃ

かわんねぇかもしれないけどシャツじゃなくて、こっちにしとけ。」

繋がれた手から感じる温もり。

そこからは愛に安心というやすらぎを与えた。


映画も終わり二人はカフェでお茶をしていた。

「映画の券友達にもらったんだけど、割と面白かったな。」

拓也からふられた会話に何も答えない愛。

「もしもーし。

大丈夫か?」

「うん…

めっちゃ怖かった。」

「怖がりだな。

以外に女の子らしい。」

…地味にむかつく

「以外にって何よ?」

口調が自然と怒り気味になる。

「だって舞ってさ。

めっちゃ男前じゃん。

気が強くてさ。

でも最近の舞はちょっと女の子っぽい。」

「それってほめ言葉?」

愛の質問に笑顔をかえす拓也。

「ほめ言葉だよ。

俺にだけみせてくれる弱さがマジでうれしい。」

興奮したように話す拓也。

弱さは舞じゃなくて、私。

こんな事考える事自体がバカげてると思う。

ねぇ拓也くん。

もし私が舞より先に貴方と出会い、気持ちを伝えていれば、今貴方のとなりに並ぶのは愛だった?

それとも舞だった?

答えなんてわかってる。

けど貴方の言葉は私をその気にさせる。


「じゃあな、また明後日いつもの公園で。」

「うん、またね。」

待ち合わせをした場所で別れそれぞれの道を歩いていく。

いつもと同じ道

けれどいつもより色鮮やかにみえる。

たぶん、私の気持ちがたかぶってる証拠だね。

「ただいま。」

ドアをあけた瞬間抱きついてくる。

「おかえり、うまくいった?」

「うん、舞色々ありがとね。」

心からの気持ちをありがとうの言葉にこめる。

「何いってんの。

愛は私の妹なんだからいつでも頼ってよ。」

「うん、ありがとう。」

すごくうれしいけど今の私に舞の優しさをうける権利はない。

舞の優しさに胸がいたくなる。

たった少しだけ残ってる良心。

でも私は良心全てを引き換えにしてでも彼がほしい。

知らなかった自分の中にこれほど激しい恋心がある事を。


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