1、ニセモノの愛
月は満月になった時、一番沢山の光をはなつ。
満月に比べれば三日月や半月の光なんてたかがしれている。
しかし、いずれ三日月や半月は満月となる。
私達は双子で顔が似てるにもかかわらずあつかわれかたは全然違う。
姉の舞は、誰からも愛され学校1のモテ子だ。
髪の毛もストレートですごくきれいで満月みたいに輝く女の子だ。
それに比べ、私、愛は髪の毛を2つぐくりにし、黒ぶちメガネをかけ学校1の地味子で舞が満月なら、私は三日月かそれ以下だった。
それも、今日で終わり。
舞とは別の高校にいき私は髪の毛をストレートにして、メガネをコンタクトにかえた。
簡単に言えば高校デビューって奴だ。今の私の容姿は中学時代の舞にそっくりだ。
でも、私の高校デビューには最大の難点がある。
それは、ここがこのへん1かしこい女子校だと言うことだ。
「あい〜。」
軽く髪の毛を巻いた女の子。
この子は私の友達、雅だ。
「どうしたの?
そんなに急いで何かあった?」
かわいい顔に軽く汗をかいている。
「校門にね、すごいイケメンがいたの。
だからすぐに帰ろ!」
「ハァ―、わかった。」
今は放課後で沢山の生徒が次々に下校して行っている。
愛と雅はすぐに鞄をさげて校門に向かう。
「みてみて、あの子だよ。」
半袖の制服にネクタイをつけ、髪の毛を軽くたたした男の子。
それは、忘れる事の出来ない初恋の男の子だった。
彼は中学時代にちかくの中高一貫の男子校に通う男の子でうちの学校では有名なモテ王子だった。
彼とはじめてあったのは中1の5月の事だった。
今と同じ制服に身を包んだ彼と愛は道で思いっきりぶつかった。
彼、拓也くんは私なんかのためにとんでいったメガネを何時間も探してくれた。
この時から愛は拓也に恋をしていた。
でも初恋はすぐにちった。
翌月、舞が拓也と手をつないで歩いていたのをみてしまったから。
愛はその日ずっと泣き崩れていた。
でもどうして彼が?
この学校に彼女でもいるのかな…
悲しげな顔をしてとうりすぎようとしたその時、いきなり腕を捕まれ抱きしめられる。
「会いたかった。」
えっ何?
考えている間にあたりに人が集まってきているのにきづき、愛は拓也の手をとり
「ここは目立つから。」
と言って2人で走り出した。
どうして抱きしめられたかはわからない。
でもなんだっていい。
初恋の彼と手を繋げているんだし。
愛が拓也をつれて行ったのは小さな公園だった。
「ここなら、大丈夫ね!」
手を離しつぶやいた瞬間、また抱きしめられる。
「舞、会いたかった。
もう一度やり直すチャンスをくれないか?」
結局舞なんだ…
そういえば、舞が拓也くんをふったんだっけ。
でもその後で、舞は拓也くんとまた付き合いたいって言っていた。
どこまで騙せるかはわからない。
けど今頷けば舞のかわりでも私は拓也くんと付き合える?
舞の事が嫌いではないがたまには私も舞みたいになりたい。
罪悪感なんて感じず愛は静かに頷いた。
こうして、2人の関係ははじまった。
何もかもが嘘の恋愛。
ただ1つ確かなのはまだかわらぬ拓也への気持ちだけだった。