風階層
「みんな!起きろ!!」
「あれ?拓哉……ここは?」
「風階層だ」
「風……風!? 51階層より下!?」
「そうなるね」
「やばいやばい!どうしよう!?」
「大丈夫。1時間経てば勇者様たちが来るし。51に来るのは時間がかかるかもだけど。」
「そうだよね……そうだった、勇者様たちがいるんだった。それに!勇者の王も今は隠れてるけど出てきて、助けてくれるかもしれないしね!」
「う、うん。ソウダネ」
少し、声が裏返ってしまったけど、気にしてないみたいだし、大丈夫そうだ
「うーん?」
「俺は、何して?」
みんなが起き始めたか。説明もう一回するのかー
「「「ええぇぇぇ!?」」」
「そのまさかなんだよ。いきなりは荷が重いだろうけど頑張るぞ。」
「「「「おっけ!」」」」
俺がフレイムゾーンを発動し、凛と敵を切り刻む。そこに、哲也が壁を作って攻撃を防いだり、結衣が回復をする。翼が魔法でとどめを刺すと言う連携のおかげで、簡単に60階層にたどり着くことができた。俺らの前には……
「これが、ボス部屋か」
「この扉大きい」
「雰囲気が違うな」
「開けるぞ?」
「いいよー」
その時、再びダンジョンが大きく揺れ動いた。だが、今回は竜の様な声も聞こえている
「走れ!!ボス部屋に入るぞ!また落とされる!!」
「う、うん!」
最初に凛が入り、次に哲也、翼が続く。
「結衣早く!」
「待って!きゃ!」
結衣が転んだその一拍後に、結衣の真下にヒビが入る
「結衣!たて!!」
間に合わない。自力じゃあ、間に合わず、落とされる。
だが、自分なら?勇者の王の力もある。生き残れるだろう。だから……
「くそ!とどけ!」
俺は飛び込みながら、結衣の手を捕まえ、引っ張る。
結衣はボス部屋の中に吸い込まれていったが、俺はその勢いのまま、穴の中に落ちていった
――――――――――――――――――――――
「うぅ……ここは……」
何階だ……えっと、紫だから……毒? つまり……81〜90のどこか!?嘘だろ!?
「ゲロゲロ」
「!?」
後ろから、カエルの鳴き声が聞こえ、振り向くと、体が紫色のカエルが居た。カエルの喉が膨れ上がり、毒を吐き出してきた。
「あぶね!えぇ……?」
カエルの毒が壁に当たると、壁が瞬時に溶け出し、その奥の通路が見えた。
少しの硬直がある。それを見抜き剣で切ってみると……
「マジか……溶けるの?」
カエルに纏われた毒によって剣が溶ける。だが、それも、気にならないほどのスピードで再生していく俺の刀。
「うん、普通に強いね。でも……決定打には届かないか……なら、【アイテムボックス】から剣を取り出す。そして【聖霊武装】!」
真っ白に光る騎士の鎧に身に纏い、手には大きなロングソードが握られている。
「剣に【解析鑑定】!」
剣の性能は……
レベル1/1 攻撃力+♾️
オーマイガー……最強?何これ?能力はないけど……強くね?よし、これを神剣と呼ぼう!
じゃあ、この防具は?
レベル1/1 防御力+♾️
ん?これも同じですか?なるほど。うん、もう驚かないよ。うん。
「ゲロゲロ!!」
「あ、ごめんね。すぐ殺してあげるね」
剣を軽く振るだけで、上下に真っ二つになる。そして、衝撃に耐えられなかったのか爆散した。
強すぎる……
―――――――――――――――――――――――
「拓哉!拓哉ぁ!」
「落ち着け!結衣!拓哉なら大丈夫だ!今は、89階層にいる。場所がわかるのは生きているパーティーメンバーだけ!つまり拓哉は生きている!安心しろ!」
「そうだ。今はこっちの心配をすべきだ。ボスが起きるぞ」
目の前には、ゆっくり起き上がる竜が一体。その竜は疾風竜。風を操る竜である。
「凛は前線を抑えてくれ!哲也は壁と槍で援護!結衣はダメージを負ったら回復を頼む!俺は持てる魔力をすべて使って、魔法を放つ!頼むぞ!」
「任せて!【サンダーエンチャント】!」
凛と竜との戦いは拮抗する。凛が攻撃すると、竜が纏う風に身を刻まれる。しかし、それは結衣によって癒されるので、実質的なダメージはゼロである、竜は堪らず、大魔法を発動させる。それは、翼が発動させようとしている魔法よりも大きく、範囲も広い
「凛!可能な限り切ってくれ!残りは俺が防ぐ!【グランドウォール】!」
「おっけー!はああぁ!!」
凛と哲也によって全ての魔法が封じ込まれた。
「みんな!準備完了!いくぞ!【ストーム】!!」
翼から炎の竜巻が放たれる。それは、竜を一撃で粉砕し、再生不可能なまでに焼き尽くした。そして、開かれる下への階段とワープゲート。
「うぇ? 炎??」
「翼って炎使えたんだ?」
「いや?使えねぇよ?」
「?? どう言うこと?」
「いや、俺に聞かれても……」
「いや、お前ら……普通に考えたら拓哉の仕業だろ」
「拓哉か?拓哉は今全然違うところに……そうか!【ファイアエンチャント】か!!」
「まぁ、そうだろうな。とりあえず外いくぞ。勇者様に助けを求めないと。ん?あれはなんだ?」
「確かに……緑の魔石?」
「拾ってみよう」
拾い上げると、声が流れてきた
『風属性の解放をします……風属性の素質がありませんでした』
「うーん、拓哉なら使えるかな?」
魔石を回収するシーンを描き忘れてたので追加しときました。遅れてごめんなさい




