表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

スマホの中~浮気ではなく、レスになった私たちの事情~

 結婚して三年。

 ほぼレスになってからも同じ年数だ。


 それでも夫婦仲は、そんなには悪くなかったと思う。

 週末には一緒に出かけ、記念日は二人でお祝いをした。


 ただ子がいなく、そういう関係がないだけ。


 部屋も別。

 ベッドも別。


 豊かな生活で、このまま恋人のような……。

 それでいて、どこか薄く透明な関係がずっと続くと信じていた。



「ね、寒いから毛布出したんだけど~」



 そう言いながら私は夫の部屋へと入る。

 私の部屋とは違い、黒で統一されたシックな部屋。

 やや無機質にも思えるその部屋は、とにかく物が少ない。

 ラックにあるのもオーディオだけ。



「あれ、寝ちゃったの? もう。布団もかけないで。風邪ひくよ」



 ベッドの上でスマホを片手に寝落ちしている彼に、私は毛布をかけた。

 夫の部屋には、こうした用事がない限り基本はほどんど入ることはない。


 お互い、不用意な干渉波しない。それが結婚する時の彼の条件だったから。

 その点においては、私も別に不満はなかった。

 だって一人の時間も好きだったし。

 でも今思えば、()()というよりはそれを通り越して家族なのよね。


 安定にいるも綺麗な部屋なのよね。物が多い私とは大違い。

 もっと男の人の部屋って、ぐちゃっとしてるイメージなんだけどな。


 部屋はそれぞれが管理し、掃除も各自となっている。

 あまり家事には協力的ではなくても、自分の部屋は綺麗にしているようだった。



「んー」



 部屋を一周見渡し、そのまま出ようとするとゴトリと何かが落ちる音が聞こえた。

 彼の手から落ちたスマホ。

 画面は明るく、開いたままのようだった。



「まったく……充電もしないで、なにしてるんだか」



 些細な少しの好奇心と、あくまで充電をしないとという親切心。

 私はふと、スマホを手に取り夫が最後に見ていた画面を見てしまった。



「なに、これ……」



 浮気の写真だったら、まだ許せたのかもしれない。

 どうせ私たちはレスだ。

 だからそこ、そういうことを外に求めたって仕方がない。

 心のどこかでそう思っていたから。


 でもそこに写っていたモノはそんな想像とは全く違っていた。


 全身タイツのような服に身を包み、女物のかつらを被った夫の写真。

 その彼の後ろには、小綺麗だが176㎝ある夫よりもはるかに大きくガタイの良い女性()()()人。

 二人はしっかりと腕を絡め、恍惚そうな顔を浮かべていた。

 


「レスって……」



 言いたい言葉を全てのみ込んで、私はそっとスマホを充電器に差し込んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ