97、転生したらヒャッハーだった件
何処か部屋の中。
その部屋は血で染まっていた。
辺りは一面血の海だ。
な、何だ?これは?
しかも体は身動き一つとれない。
両手、両足、腹部に激痛が走る。
痛みに目をやると、激痛のある両手には剣が刺さっていた。
「ド、ドラゴンキラーか?」
両手には禍々しいドラゴンキラーが刺さって、俺の体は張り付けられている。
とすると。後ろを振り返ると、やはり痛みのある足と腹部にもドラゴンキラーが刺されて、地面に縫い付けられていた。
そのおかげで、全く身動きがとれない。
何だ?何故生き返った途端こんな目に
「竜の大将?親分?まぁどっちでも良いや。ハハハ。ソイツはセーラの親分が集めたドラゴンキラーさ。いっぱいあるぜ」
血塗れのヒャッハーが愉快そうに上機嫌で笑っていた。
手にはやはり禍々しい剣が、あれもドラゴンキラーか。
「くそう。セーラの仕業か?セーラは何処だ?」
「答えはNOで、セーラはここだ」
ヒャッハーは自分自身の腹を指さした。
なに?どゆこと?
「お前達の事情は全部セーラから聞いたった。俺セーラ食べるじゃん。強くなるじゃん。俺、お前も食べるじゃん。覇者超えれるじゃん。チャンスじゃん」
「お、お前セーラを食べたのか?人間が人間を???」
「今ん所、血を飲んだだけだ。けど見ろよ。効き目は抜群だ。力が溢れて止まらねえ」
ヒャッハーの体から、セーラと同じ類の禍々しいプレッシャーを感じる。コレは。半魚人の言ってた使徒の力?
「お、お前」
「竜のお前は良いよなぁ。転生した直後に、こんな感じのチートもらえるとかよぉ。俺なんて、転生後に貰ったスキル、ヒャッハーと、モヒカンだぜ。忌々しい」
聞き捨てならん事をヒャッハーが言いおった。
「お、お前も転生者か?」
「そうだぜ。しかも今の今まで、頭はスキルモヒカンでモヒカン縛り、会話にスキルでヒャッハーつけて喋らなきゃいけない、ハズレスキル2つ持ちだ」
「な、何だ?そのスキル。地獄じゃね〜か」
「ああ、おかげで真っ当な生活すら、おくれない地獄の日々だったぜ」
「………」
「セーラの親分の血のおかげで、大量にスキル採れるようになったから、ようやくハズレスキル2つを外せたぜ。長かった。変わりに有益なスキルと、レベルも大幅に跳躍した」
ヒャッハーは天をあおぐ。その目には涙が溢れていた。
「お、お前」
「ここからが、俺の転生ライフの始まりさ。今まで異世界で、さんざ苦労した分も、ここから無双して取り戻してやる」
「まぁ、そんな訳だからな。お前の力も俺にくれよ。お前とセーラの力が合わされば、海の覇者にだって勝てるんだろ?」
「お、俺の獲物。セーラを横取りしやがったなぁ〜」
「違うなぁ。竜の大将。セーラもお前も俺の獲物なんだよ。………………ヒャッハー。セーラとドラゴンの焼き肉で無敵になるぜ。俺。輝くぜ」
ヒャッハーは目をギラギラさせて、随分調子にのっている。
俺は体をドラゴンキラーで地面に縫い付けられている為に、動けない。
だが、こんなもの、真の姿を開放して体を巨大化さえすれば、拘束をブチ切れる。
が。
「あ、あれ?ドラゴンゾンビ化、巨大化出来ない」
しまった。忘れてた。半魚人に改造されたのを忘れてた。変幻スキルもない為ゴッキーになって逃げる事も出来ない。
だが、今の俺は2Mのドラゴン形態である事は間違いない。
ブレスの威力は半端じゃ済まない。
一撃で黒焦げだ。
「竜の死体の血肉を食っても、効き目が無かったからな。セーラがペラペラ喋ってた事を信じて、竜の大将が使徒化して蘇るのを待っていたのさ」
「ミギャン」
自分もペラペラ自慢げに聞いてもない事を喋るヒャッハー。
それに向かって床に貼り付けられた体勢から、首を伸ばしてヒャッハーへ、ブレスを撃ち込む。
が、軽くかわされた。
ちい。身体が縫い止められているために、狙いが甘いか?
「そのスキル。それは、もう見たよ。対策もバッチリたてたった。お前も転生者なのに、PVP。対転載者戦闘なめすぎだろ」
「かわされた。馬鹿な」
「馬鹿はお前だ。余程ヌルいイージー転生生活送ってきたのが、透けて見えるぜ。こちとら、ミス一つが命取りの超ハードモードさ。くるのがわかってるスキルなんざ食らうかよ。んなの食らうようなら、俺はとっくに死んでいるさ」
ヒャッハーは手にドラゴンキラーを携えて、一気に向かってくる。
「ミギャン」
二発目のブレス。
だが、あたらない。
「焦って雑。闇雲に動きすぎ、ちったぁ頭使えよ」
ヒャッハーの、その言葉を聞いたのを最後に、俺の意識と魂は半魚人の元へと再び飛ばされた。
そこにはほんの少し前とは全く違う光景が広がっている。
「吾輩の長年かけた計画がぁ〜〜〜」
泣きながら、のたうちまわる半魚人と、
土下座したセーラがいたのだ。




