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77ドラゴンブレス5


 城塞都市の状況はわかった。


「とりあえず中に入ってセーラと合流するか」

「え?無理ですよ」

「ん?何でだ?」

「城塞都市防御用の強力な結界が作動してますから、アリの子一匹入り込めません」


 そんなのあるのか?

 あ〜王都を守る東方面最後の砦だから、硬い守りがあっても不思議はないか。


「ん〜じゃあ、何とか都市の中と連絡取れないか?」

「結界を破らない限り、連絡すら取れないのでカルナ様も苦労しています。いっそ軍を解散して逃げるかと」

「………こんな所で野盗や山賊解き放って解散したら、大人災おこすんじゃないか?」

「どういうことなのじゃ?」

「いや、主力野盗なら解散したら周囲を略奪する奴、絶対多いだろ」

「間違いないですね。すぐ近くの王都からも、野盗鎮圧のために正規兵がすぐに派遣されるかと思います」


 それまで黙っていた、上腕二頭筋の女も口をだす。

 あ〜、そんな事になったら、チゴヤ商会責任取らされるんでね?

 何やってんだ?あいつ等。


「セーラとカルナの姉妹の状況はわかった。親のチゴヤは何をしているんだ?」

「噂だと、姉妹喧嘩を笑ってみてるとか」

「なんで?」

「良い経験だと」

「ないわ〜。こんな経験必要か?娘も娘なら親も親だなぁ」


 一歩間違えれば破滅の危機に、何余裕見せとんのじゃ。あの親父は。

 しかし困った。結界を突破ずる打つ手が無い。

 ここまで来て王都に引き返すのもアレだし、

 何よりもなんかウズウズするしな〜。


「よし、上腕二頭筋。現状を打破する策を立てろ」


 もう一度、上腕二頭筋を、

 俺の心の中で軍師に任命する。

 馬鹿げた状況には脳筋を当てると案外良いかもしれん。

 カオスにはカオスをだ。

 毒をもって毒を制す。


「うむ。簡単なのじゃ」

「ほう?言ってみな」

「まず、カルナの軍勢を筋肉で締め上げて、マ、ソウル教団に吸収するのじゃ」

「ほうほう」

「次に結界を筋肉でぶち破って中に入る」

「それで?」

「中にいる連中も、マ、ソウルの力で虜にしてしまえば、すべて解決じゃあ」


 やっぱり駄目だなこれは。


「素晴らしい」

「完璧だ」

「さすが上腕二頭筋。頭のつくりが俺等と違うわい」


 上腕二頭筋が連れてきた三人

 ………全員脳筋じゃないか?

 たぶんお前等と上腕二頭筋の頭は、全く同じ脳筋だぞ。


「あ〜却下。女性の意見も聞きたいな。なんかいいアイディアある?」

「都市を取り囲んでいるチゴヤ商会の妹のほうに会ってみては?」

「そうじゃ会って締め上げるのじゃ」

「却下。いや、そうじゃなくて」

「そもそもあってくれるのかな?」


 俺の疑問に、

 筋肉の一人がポーズを取りつつ答える。


「俺達が取り次ぎます」

「取り次げるの?」

「はい。まぁ、今、右往左往してますし。正規兵じゃ無いから、その辺良くも悪くもゆるいです」


 とりあえずそうするか?

 近肉に連れられて、城塞都市の外壁へと向かっていく。

 筋肉達が競って馬車を引いていた。

 トレーニングだ、俺の方が強いだの無邪気に騒がしい。

 こいつ等やっぱり力あるね。

 

 徐々に城塞都市へと近づくが、

 その段階で、もうげんなりする。

 兵隊らしきのとすれ違うが、不味いわ。

 どいつもこいつも人相が悪い。

 何処の世紀末だ。何処の山賊だ?

 こりゃこんなのばっか連れてきたら、セーラ達も怒るわ。

 つ〜かよくもまあ、こんなのばっか集めたな。


 筋肉達の先導で、世紀末山賊チックな集団の中を、

 大きなトラブルもなく、進む。

 思ったよりは治安は良い。絡まれることは無かった。


 まぁ筋肉達四人に取り囲まれてるからか?

 なんか避けられてる感じもある。

 向こうが、こっちに絡まれるのを避けてる気がする。


「何だか避けられてないか?」

「我等が勧誘活動をおこなったからです」


 誇らしげな筋肉。

 ど、どういう事だ?

 わけわからんぞ。

 何でそれで避けられる。しかもこんな山賊連中に。

 マ、ソウル教団の悪名鳴り響いてる?

 凶悪な人相の兵隊?山賊?共が目をそらして俺達の集団に関わろうとしない様子を見て、

 つくづくやべ〜奴等の指導者になっちまったと、後悔した。

 

 初手でこいつ等に、ドラゴンブレス撃ち込んどくんだった。

 そうすれば、こんな不快な発想自体出てこなかったのに、

 なんかウズウズするしな。


 放たれる俺のドラゴンブレス。燃え上がる炎。爆発。怯えて逃げ惑う山賊。考えただけでスッキリする。

 なんやら高揚して、交戦的な気分になってるな。

 おかしいな俺。



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