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59王都



 第三王子の屋敷から、ゴッキー形態で飛び出した。

 王子に書き置きも残して無い。

 それが少しは後ろめたいが、

 まぁ仕方ない。


 皆凶刃が悪いんや。

 多分あいつもレベル200超えてる。

 あんなのに寝込み襲われて、あの場にいられるか。


 それにしても、むう。なんて事だ。

 王都というだけあって広い。

 夜だというのに、あちこちに明かりもついている。

 素晴らしい、

 が。


 道がさっぱりわからなかった。

 一旦チゴヤ商会へ行きたいのだけれど。

 ここは王都だ。

 チゴヤ商会支店どころか本店があってもおかしくない。


 なに、ここは無人の荒野ではない。

 道がわからなければ、人に聞けば良いじゃないか。

 ゴッキーのまま、いや駄目だ。

 言葉が通じない。


 変幻スキルで、人間になって裸で道を聞く。

 あるいは、リトルドラゴン形態で。

 どれも駄目だな。


 こんな事もあろうかと、第三王子の所で、

 愛用の銀のナイフと銀のフォークを、

 いくつか飲み込んできた。

 金属はなかなか消化しないから、

 吐き出してお金に変える事ができる。

 が、まずはじめに服が無いと不審者一直線だな。


 むむむ。どうすりゃいいのだ?

 大都会だ。裸は不味い。


 取り敢えず人が多い地域を避ける

 人に道を聞くにしてもこっちは全裸だ。

 いざトラブルになった時に備えて、

 声をかける人は、

 戦闘力の高そうな男性は避ける。

 気の弱そうなのがいい。

 いかん。発想が変質者のそれだ。

 しかし、この際だ。

 ………とか思ってたら、

 目の前にいい感じの布が落ちてる。

 ゴミ置き場か。


「変幻」


平凡社な人間に変幻する。

 これ幸いと、全身を拾った布でマントのようにくるむ。

 が、

 コレはコレで怪しいな。まぁ全裸よりはましだが。

 とにかく服の入手か、チゴヤ商会へGOだ。

 夜道をマントにくるまって歩く男。

 怪しい。

 だが、ここは王都。

 ふと気がつく。

 怪しい奴はいくらでもいる事に。

 なんせ人が多いからな。

 ん?

 道端に自分よりもさらに怪しい集団がいた。

 ほぼ全裸のムキムキマッチョな筋肉集団だ。

 なんだ?あれ?


「筋肉を鍛え。マッソウルに磨きをかけましょう」


 そんな事を言いながら会員を募集しているようだ。

 宗教かなんか?

 うん。言ってることもやってる事も意味わからんな。

 俺と、目があった。

 マッチョは何故か筋肉を見せつけるポーズを取り


「さあさあどうです。我々と特別な集いに参加しませんか?」

「………そんな事よりも。訪ねたい事がある」

「何なりと」

「チゴヤ商会への道を聞きたいのだけれど」

「何と、お任せください」

「知っているのか?」

「あそこのプロテインは良いですからな〜」

「そうか。わからんが」

「ハッハッハ。プロテインは命の源です」

「道を教えてもらえるかい?」

「案内しましょう。プロテインを買いに行きましょう」

「いや、プロテインは買わんが」


 マッチョに道案内してもらえる事になった。

 道案内の途中で常に勧誘を受けるが聞き流す。

 なんでも筋肉を鍛えれば、

 マ、ソウルなる物が鍛えられ、幸せになれるそうだ。

 うん。わけわからん。

 変幻スキル持ちの俺が筋肉鍛えたとて、

 なんの効果あるやらだし、

 本体ゾンビで腐ってるしな。

 そういうのは生き返ってからだ。


 そんな事を、考えながら、

 マッチョについていったら到着した。


「さぁ。到着しました。ここが我等がマ、ソウルジムです。一緒に筋肉を育てて幸せになりましょう」

 

 チゴヤ商会どこいった?

 何故か筋肉のオブジェクトが置かれた厳つい建物。

 どう見ても。異様な建造物に案内された。


 しまった。

 俺はコイツの言う事を聞き流していたが、

 そもそもコイツも俺の言う事を聞いていなかった。

 俺は都会に来て、いきなり騙された。

 人間怖い。


「ふう、帰るか」


 ゴーンゴーンと鐘の音がなる。

 あれ?福音スキルじゃん。


(待って、帰らないで)

「あれ?アキリア?」

(助けてよ)


 久しぶりにようやく繋がった福音スキル。

 自称慈悲深き女神アキリアから、

 助けを求められた。




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