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57凶刃2


「アギャアギャアギャ」

「ドラドラたん。いたかったね〜」


 駄目だ。この王子。

 第三王子のズボンを引っ張り

 凶刃と呼ばれた老人にけしかけようとするも

 イマイチ乗ってこないな、この王子。

 会話が成立しない。

 むう仕方ない。

 作戦変更。

 トテトテと料理人に近づきスボンを掴む。

 反対の手で凶刃を指差す、


「アギャアギャ」

「わ、私に戦えと?無理です無理無理」


 むう、

 ズボンを離し、落ちている皿を拾う。

 皿を指差し、凶刃を指差す。


「アギャアギャ」

「わ、私に凶刃殿を始末して料理せよと」

「アギャ」


 と頷く。

 王子に比べて、なかなか頭の良い料理人だ。

 察しがよい。


「無理です無理無理」


 だが度胸と戦闘力にかけるか。

 ………ゆっくりとメイドを見つめる。

 ………指で、メイドを指差し次に凶刃を指差すと、

 メイドはその場に座り込んで泣き出した。


「やりませんよ〜できるわけありません〜」

「アギャアギャ」


 俺の装備。よだれかけ。ナプキン。ナイフ。フォーク。

 4つの装備を回収する。

 そして泣いているメイドに近づき、

 その手にナイフを握らせた。

 凶刃を指差す。


「アギャ」


 一声鳴く。

 素手で無理なら

 つまりナイフでやれって事だ。


「武器があっても無理です」


 メイドはガタガタ震えだした。

 ………駄目だ、俺の召喚獣全滅だ。


「おい。ドラゴンってあんなに知性高いのか?」

「と、言うかメイドに戦えと言う辺り知性低くね?」


 俺の様子を見て。兵達は笑うか、驚いている。

 むう、ドラゴンの知性はたぶん高い。

 他は知らんが、俺はお前らよりも高いはず。

 

 ………近衛兵副団長(女)のもとへとむかう。

 コイツなら凶刃とも戦えるはずだ。

 ………目を見つめる。


「アギャ」

「やりませんよ」

「アギャアギャ」

「厭です」


 ………第三王子のもとに向かう。

 副団長を指差す。凶刃を指差す。


「よし、やれ」

「アギャ」


 ようやくわかったか王子。


「やりませんよ王子。竜に操られないで下さい」

「ふむ。首狩り騎士を倒した竜だけあって知能が高いですな」

「アギャ」

「ところで首狩り騎士の死体は何処へ?」

「アギャ」


 俺は自分の腹を指差す。


「た、食べちゃったの?ドラドラちゃん?」

「アギャ」

「なんと」

「アギャアギャアギャ」


 名案を思いついた。

 俺はおかわり用の、一番でかい皿を手に取り、

 トイレへ、トテトテ向かう。


 トイレにて皿の上にウンチをする。

 ウンチののった、その皿を両手で持って

 凶刃へ手渡す。

 戸惑う凶刃。


「こ、これは………なんのマネです?」

「アギャアギャ」


 首狩り騎士が使っていた、未消化の剣を吐き出す。

 唾液のついた、それも凶刃に渡す。


「皿に乗った竜糞と、首狩り騎士の剣を渡され戸惑う凶刃」

「あ、わかった。その糞、首狩り騎士でしょ。ドラドラちゃん」

「アギャ」


 俺は頷いた。

 厳密に言うと、エンペラークジラの糞かも知らんが、

 まぁ大差は無いはずだ。

 見分けのつけようもないし。

 変わり果てたかつてのライバルを手渡され、

 凶刃は固まった。

 困ってる。困ってる。

 蹴られたお返しだ。


「こ、こんな物を渡されてどうしろと?」

「ウギャ?」


 俺は首を傾ける。

 ただの嫌がらせと、

 首狩り騎士の死体に興味持ってたから渡しただけだ。

 深い意味はない。

 最悪。凶刃の戦意を削げればそれでいい。


「あ〜良いなぁ。僕に頂戴よ。竜コレクションに加えたい」

「第二王子に送りつけてはどうでしょう?次はお前だと添えて」

「ウ、ウギャ?」


 恐らく主力だったであろう首狩り騎士を、糞に変えて次はお前の番だ!だと。

 第三王子の秘書、やる事エグイな。

 秘書の言葉に俺はドン引きして数歩下がった。

 あ、伝わったなこれ。

 

「そんな物を、凶刃殿に手渡した竜殿に、引かれたくありませんな。と言うか。我々の言葉を、理解しているのですか?」

「ウギャ」


 もちろんだと、秘書に頷いてやったら、

 驚かれた。




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