45誘拐
ガキン。
「モグモグ」
「やはり鉄頭巨大コウモリは硬いですな〜」
俺とセルバンテスは二人で鉄頭巨大コウモリを食べている。
シェフが戻ってきて料理してくれたのだ。
セーラは手が離せないらしく、
ここには来られないとの事だ。
アキリアっぽい何かは一旦保留にして、
食欲を満たす事にした。
「第三王子との停戦条件で、忙しいのでしょうね」
「ミギャ」
ガジガジ。
「子供の頃から、あの方達は懲りませんから」
「ミギャ」
ガジガジ
そんな事よりもセルバンテスが、
この硬い魔物を噛み砕いて食べてるのはどういう事だ?
ドラゴンの歯でさえ手こずるのに、
「ミギャギャ」
自分のキバを指さしたり、
身振り手振りでその違和感をセルバンテスに伝える
「私ですか?」
「ミギャ」
「こう見えてレベル200を超えていますゆえ」
「ミギャ?」
「はい。その位からレベルを気にするのをやめました」
レベル200とか、どうなってんだ?
てか、レベル200が戦争で負けたのか?
セルバンテスの包帯を指差す。
「ミギャ」
「これですか?近衛兵数人に囲まれましてな」
「ミギャミギャ」
「ええ。あのクラスに囲まれると苦しいですな」
そうか。セルバンテスでも数の暴力には勝てないのか。
などと話ながら、
セルバンテスコレクションを食べた
その日はテキトーに、
チゴヤ商会と保存庫を行ったり来たりした。
チゴヤ商会をリトルドラゴン姿でウロウロすると、
「ド、ドラゴン」
「ミギャ」
と皆一応に驚く。
そんな人に挨拶をして、親指を立てる。
すると一様に黙る。その反応が面白い。
紳士たれ。
商会にて、第三王子の部下らしき者達ともあった。
交渉に来てたのだろう。
ちびドラゴンの俺が二本足で、
ペタペタ廊下を歩いてる。
それを見た時の彼等の驚きようは、
尋常では無かった。
彼等のその反応は悪く無かった。
アキリアらしき死体(?)
を奉るための祭壇を保存庫の中に作ってもらった。
ゴテゴテと飾り付けた。
ナントカ形になった。これでよし。
深夜。ドラゴンに用意された部屋で眠りにつく。
うとうとと、まどろんでいると、
「ゆっくり運べ」
とか
「ホントに大丈夫か?」
とか聞こえた気がするが気にしない。
目を覚ますと目の前には、
見知らぬ、目の下に濃いくまができた美少年がいた。
だが気にしない。
………周囲を近衛兵の鎧を着た人間に
取り囲まれているけど、気にしない。
両手に手錠かけられている。
………きにするわ。
アレ?なんで捕まってるの?
チゴヤ商会の裏切り?
いや、俺を取り囲んでる人間。
殆どが近衛兵の鎧を着ている。
て事は王子の兵?
「竜眼」
あ、駄目だ。
こいつ等やっぱり近衛兵だ。
レベル100超えてるのが数人いる。
そんな連中に取り囲まれている。
けどきにしない。ふりをする。
現状把握。
どうやら眠ってた間に俺、
王子の部下に捕まってさらわれたようだ。
う〜む。
デカイ机の上に俺は寝かされていた。
目の前には美少年が俺を見てニコニコしてる。
濃いくまができた目を除けば、
非の打ち所の無い美少年だ。
「ミギャ」
鎖に繋がれた両手を前に出す。
はずせと美少年に要求する。
「鳴いた。鳴いたよ」
むぅ。鈍い奴め。言葉が通じん。
口を開け。両手をつなぐ鎖に噛み付く。
こんなもの。鉄頭大コウモリに比べれば、
豆腐のようなものだ。
ガリガリ鎖を齧る。
「鎖に噛み付いたぞ」
「王子危険です。離れてください」
王子?この美少年王子なの?
………鎖を齧るのをやめて、王子に手を差し出す。
「ミギャ」
王子を見て、もう一度鎖を外せと要求する。
………
王子は俺の手の上に、そっとバナナをのせた。
………………
意味わからん。
「ミギャン」
がチン。
思いっきり鎖に噛み付いて、噛み砕いた。
自由になった両手を使いバナナの皮をむく。
その場に腰をおろし、バナナを齧る。
俺のその様子に、その場全ての人間が驚いた。
コレが第三王子との出会いだった。




