41戦後
王子の軍は去った。
攻勢をかけ、追撃するセルバンテスの軍は、
逆に撃退されている
セーラはその様子を、指を噛んで見ている。
セーラは何か考え事をしているようだ。
俺、ドラゴン。
俺、魔物肉食う。
俺、まだまだ食べれる。
なんだこれは?
「持ってきた魔物がそろそろ底をついてしまいます」
延々と魔物料理を作っていたシェフがそう言ってきた。
そうか、ずいぶん食べたな。
「兵にこの辺の魔物を狩らせなさい」
「はい」
「ミギャ」
「え?駄目なのですか?」
「ミギャ」
「なぜです?」
てか。
ミギャである程度会話出来る、この親子すげーわ。
「福音。低レベルモンスター不味い。回復効果薄い」
「ああ。なるほど。魔物を狩るのは撤回します」
(結構食べたから、しばらく我慢できる)
「わかりました。竜に料理はしばらく良いです」
「では、兵への料理を手伝って良いですか?」
「はい。お願いします」
「はい」
シェフは、優雅に立ち去っていった。
(竜眼発動)
鑑定スキルの竜眼を発動して、辺りを見回す。
………………特にめぼしいものは無いか。
やはり強そうな魔物もいそうにない。
興味を失った。
せっかく戦争に来たのに。
ちょっとだけ、暴れる事が出来なかった事に、がっかりだ。
「セルバンテス様から伝令です」
「なんと?」
「この後、本格的に王子を追撃するかの指示を仰げとの」
「撤退します。こっちも余力はあまり無いですし」
「は!」
「私の竜がおなかを空かせては、大変ですので帰ります」
「セーラ嬢そんな理由かい?」
「大事な理由です」
「ウギャ」
「君らね〜。戦争をなんだと。いやいい。師匠の娘だった」
「私は母にあった事はありません」
「それは幸せな事だよ」
「一度あってみたいのですが」
なんて事を言うんだと、ブルブルと首をふる魔女。
「やめときなよ。セーラ嬢」
「なぜですか?」
「最終的には、君が今抱えてるドラゴンもNTRされちゃうよ」
「ミギャ」
「会うのはやめましょう」
「それが良いよ」
「お気に入りNO1ショタ。NTR取られて。食べられて。バッグにされた時は泣いたなぁ」
「ミ、ミギャ?」
「え???」
何かあっさり怖い事言った。
セーラの母親そんなんなの?
何それ?
それはもう人間じゃ無く別のなにかだ。
「ショタドラゴンとか、もて遊んで飽きたら、ハンドバッグにするだろうなぁ。あの師匠」
「ミギャァァァァ」
「人のモノを横取りとか大好きだから。あの人」
俺は絶対に余計な事はしてくれるなと、
セーラに抱きついた。
「わかりました。母の封印を強化するよう父に頼みます」
「君の父親は、どうして平気なのか不思議だよ」
「そうですか?」
「師匠にかかわって、正気とか、もはや奇跡だよ」
ますますなんだ?それ?
「セルバンテスいわく。父がおこした愛の奇跡だそうです」
「愛?」
「ミギャ?」
「愛だけが、奇跡をおこすのだそうです」
ナンカロマンチックだね。
………詳しく聞いてみたいような。
聞きたくないような。
ホラー映画の匂いもするね。