40名将セーラ
逃げる王子の軍。
それを追いかける執事セルバンテスの軍。
戦いは既に決着はついた。
しかし傍から見ても、
勝ったとは言い難いほどセルバンテス軍の動きは悪い。
追撃の効果殆ど出てなくないか?
「ミギャ」
「負ける寸前だったね。アレは」
「王子今回は頑張りましたね」
「逃げなきゃ勝ってたのに、なぜ逃げたのかしら?」
「悪い事をしている自覚があるからでしょうね」
「ミギャ?」
「小さな頃から王子が悪さをする度に叱っていましたから」
「う〜ん。それにしても鮮やかに逃げたわね」
セルバンテス追いつけてないや。
アレは兵隊の練度が全然違うね。
平均のレベル差10以上ありそう
「竜眼」
ん〜やっぱそのくらいありそうだな。
セルバンテス軍レベル20多い。王子軍30多い。
王子軍はたまにレベル50オーバーもいるわ。
あんなんセルバンテス軍、無理ゲーだ。
…………ありゃ?
セルバンテスのステータスと
噂の副団長らしきステータス見れないや。
他にも数人、見えないのいるな。
なんで?
何か鑑定阻害スキルかアイテムあるのかね?
ま、いいか。
「あ〜、しまった。イケメン王子に逃げられた」
「ミギャ」
「ん〜まぁ仕方ないか。近衛兵ついてると攫うの難しいし」
「………近衛がいるって、王が力を貸してる証拠ですしね」
「ミギャ?」
(福音。近衛兵ってなんだ?)
「王直属の王にしか従わない精鋭部隊の事です」
(ふ〜ん。強いの?)
「レベル50超えの上級貴族か、70超えの貴族。平民だと100超えが、最低条件です」
つえ〜。
なんじゃそりゃ。
知らずに突っ込んだら偉い目に会ってたな。
戦争こえ〜。
突っ込んで、そんなんゴロゴロいたら泣くわ。
戦争にはドラゴン討伐隊よりもやべーのがいるんだな。
(化物じゃね〜か)
「そうですね〜。王の切り札ですから」
(そんなんいて、よく逃げたな?)
「本来こんな小競り合いに使って良い戦力では有りませんよ」
(う〜ん俺が本気出しても勝てたかどうか)
「勝てるのですか?レベル38で?」
(あ、俺のレベル知ってたんだ)
「はい。あのレベル差で勝てたかもと?」
(ま、ドラゴンだからね〜引き分けには持ち込めた)
「そ、そうなのですか?」
(相手がドラゴンキラー持ってなきゃ勝てたかもね)
「近衛兵は、最高クラスの武器を支給されますから」
(ありゃ、そりゃ勝てんかもね)
「それでも、かもですか?」
(竜だもの。やってみなきゃわかんない)
「ショタ竜ちゃんと話してるの?」
「はい」
「私ともお話させて、舐めさせて」
「駄目です」
「けち〜」
結局。王子の軍勢に、たいした打撃を与える事が出来なかった。
「追撃戦は逃げる敵を後ろから打ち取る大チャンスなのに」
(そうなの?)
「はい。大規模な魔法が無い場合は、戦っている間に、戦闘では人は殆ど死にません」
ほえ?なんでだ。人死なないの?
(戦争なのに?)
「3%くらいですかね?向きあってる時の死者は」
(少なくない?)
「そうですね。逃げた軍隊が後ろから襲われて、ようやく沢山死者が出るんですよ」
(ほほ〜)
「要は逃げなきゃ負けないんですよ。死人ほぼ出ないから」
戦争ってそんなんなんだ。
逃げたほうが沢山死ぬんだ。
鉄砲とかあったら、また違うんだろうな。
………鉄砲ってなんだっけ?
(剣や槍での戦争って、死人そんなに少ないんだ〜?)
「相手をどうやって逃げさすか。味方を逃げさせないかです」
(ほえ〜)
「王子はその辺がわかってないから、弱いんですよ」
(でもそれなら皆なぜにげるの?逃げなきゃいいじゃん)
逃げないほうが安全なら、皆逃げないよな。
逃げ無きゃ無敵じゃん。
「逃げ遅れると死ぬからです」
(え?)
「早く逃げた人は確実に助かります。遅くに逃げた人は死にますね。精鋭部隊以外は、逃げる機会を逃しません」
(どゆこと?)
「兵隊は勝てそうなら逃げません。が、負けそうなら誰より先に逃げます。死にたくないから」
(そうか〜)
「誰か一人が逃げたら、釣られて数人逃げます。それに釣られて大勢逃げます。」
(結局全員逃げると)
つまり、相手に負けそうと思わせれば、相手の兵隊さっさと逃げ出すんだ。逃げ遅れると死ぬから。
だから。そうならないように、敵前逃亡は死刑なんだ。
(なんでセーラは、そんなのわかってるんだ?)
「馬鹿な妹と王子の喧嘩に付き合ってたからですかね?」
(ふむ。てことは強力なスキルや、武器があれば軍隊意味ないな)
「そうですね。魔女様とかが恐れられてますわ」
あ、なるほど。
(なるほど、魔女を押し出して王子兵逃げさせる気だった?)
「それも考えてました」
(う〜む。魔女報酬にさしだされ。また舐められたかもしれん)
「魔女様に舐められるのは嬉しいのでしょ?」
返事がない。ただのドラゴンのようだ。




