鳳傲天(下の下)
「伝令より報告」
「セルバンテス様の軍勢が見えてきました」
「ご苦労さま。戦況は?」
「押されています」
「ミギャ?」
セルバンテスが勝てないの?
まじで、ヤバくね?
「セルバンテスは無事ですか?」
「は、しかし相手に王国の近衛兵がいるらしく」
「王直属の近衛兵が?」
「はい。近衛副団長が参加していてセルバンテス様でも」
「そう………王が王子に手を貸したのね」
「ねぇ、どういう事?セーラ嬢」
「ミギャ」
「国家反逆罪とかになっちゃうの?困るんだけど」
「いえ。大丈夫です。いつもの事ですから」
「それは大丈夫なの?」
「子供の頃から似たような事してますから」
「ミギャ」
「王も貴族達もなれて、笑ってみてますわ」
それは良いのかな?
常に内乱状態じゃないか?
「ミギャ」
「ただ今回、初めて王が動いたと言う事は」
「ミギャ?」
「よほど第三王子の結婚生活が悲惨だから、でしょうね」
「ミギャァァァ」
何それ?
国のために犠牲になった王子に、
王が罪悪感で、せめて罪滅ぼししてるとか?
それ、よっぽどだぞ。
王子の結婚が。
王が見てられないくらい悲惨って事だろ。
「セルバンテスを止める程の戦力を王がね」
セーラはしみじみと何か考えている。
「どうするの?セーラ嬢?」
「ミギャ」
「私等セルバンテス隊と比べると、雑魚よ」
「セルバンテス隊と王子の軍に見えるように、私の旗を掲げて」
「は、はい」
「ミギャ?」
「私が到着した事を王子に知らせるのです」
「それで?」
「ミギャ?」
「まぁ少し待ちましょう。チビ竜さん。あ〜ん」
「ミギャ」
セーラは余裕だ。
セーラの差し出す魔物肉を頬張る。
美味い。
感覚的にレベル100オーバーの魔物の肉も入ってると思う。
そんなん狩ってくるセルバンテス負かす奴とか、
相手強すぎだろ。
ちょっと舐めてた。
気合い入れなきゃね。
いざとなれは、ドラゴンゾンビ使わなきゃ。
下手すりゃ。俺アキリア送りだね?
………あいつ何で連絡してこないんだろ?
「伝令」
「報告どうぞ」
「第三王子の軍隊が撤退を開始しました」
「そう」
「ミギャ?」
「え、何で何で?」
「セルバンテスに伝令を」
「はは」
「近衛副団長だけは、生かして連れて来なさいと」
「はは」
「他に捕虜はいりません。蹴散らしなさいと」
「はい」
「どういう事?何で逃げるの?王子軍」
「今まで私。一度も王子に負けた事有りませんよ」
「え?」
「勝った時はいつも王子に拷問………」
「え?え?」
「じゃなくお仕置きしてましたから」
「ミギャァァァ」
「正直。まだ歯向かう勇気があるとは驚きです」
「それって?」
「よほど結婚生活に追い込まれてるんでしょうね」
「ミギャァァァ」
何それ?何かおかしくね?
どういう事だ?
「近衛副団長」
「知り合い?」
「あの娘がセルバンテスを押さえるほど成長するとは」
「ミギャ?」
「昔王子と一緒に、私に歯向かってきたので」
「素っ裸にして、数日豚小屋に閉じ込めていたんですが」
「ミギャァァァァ」
「あの時部下にしておけば良かった」
「セーラ嬢やりすぎだよ」
「きっと私が弱ってると知って、仕返しに来たのでしょうね」
「それはね」
「昔は私も優しかったし、手加減しすぎましたね」
「ミギャァァァァァァ」
「あの時はお互いに子供だったし。今度は手加減しません」
淡々としてるけど、何でそんなに余裕なの?
セルバンテス押さえる猛者なのに。
トラウマ?
世の中謎がいっぱいだ。
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