296、発情期196、悪化した
さて………ママンを説得
味方にしたい。
これはもう名乗り出るしかないか?
そんな事を考えてると………
『我が子を失った哀れな母親よ。私は、この国を守護する神の1柱です』
セーラが急にママンに話しかけてる。
ん?
んんん〜?
どゆこと?
セーラ。
アイツ………
急にアキリアをほったらかしたまま
コッチに意識をむけやがった。
あんなに必殺の大言壮語してたのに………
それにアイツ
話を盛ってね?
いつから
この国を守護する神になった?
確かに神にはなったっぽいが………
勝手に国の守護神を名乗りやがった。
あ………さてはセーラ。
オマエ………
人間だった頃
ママンと面識あっただろ。
第三王子繋がりかなんかで。
なのに自分の名前じゃなくて
神を強調して名乗りやがった。
もしかしなくても仲が悪かったとかかな?
しかしセーラめ。
今までママンをスル〜してたのに………
俺がママンを説得しようと考えた途端
急にママンへ接触するだと?
あ………そうか。
俺は未だに姿を見せぬセーラが、恐らくはいるであろう空を睨む。
セーラの考えが理解出来た。
俺とて伊達に8つも頭がある訳じゃない。
不味い。
くっそが。
セーラめ。
さては俺の行動を見てたな。
俺のママン利用計画をさとられた。
俺とママンに手を組まれるのを恐れたか?
俺の計画を潰しに来やがった。
しまった。
目立ちすぎた。
仕掛けるタイミングを間違えた。
ママンの説得は、セーラとアキリアが戦い始めるまで待つべきだった。
セーラに余裕が無くなった後。
ママンを説得するべきだった。
そんな後悔をしてると。
「私はこの国の産まれでは無い。この国の神など信じぬ」
とママン。
『あら、そうですか。では取引はいかが?』
「取引など必要ない」
『ほんとうに?』
「我が子の仇を取る。目的はそれだけだ」
ママンの恨みのこもった声。
女の恨み。
こえ〜わ。
『それでは死んだアナタの子供を、生き返らせてあげる。そう言ったらどうしますか?』
セーラは悪魔の様な誘惑をささやく。
甘い。
限りなく甘い声で。
あ、コレは本格的に不味いかも?
でも………
「生き、返る………?」
『貴方が私の望みをかなえてくれれば。私もあなたの望み。死んだヒャッハー王子を転生させてあげましょう』
へ?
やっぱりそう来たか。
………でもセーラの奴。
少しおかしいぞ。
だいたいヒャッハーの奴。
既に海神の手でナメクジかなんかに再転生した筈では?
「我が子の転生? 出来るものか!」
『できますよ。私は神ですからね』
「………」
『ただし。貴方のもう一人の子供。その子を私にいただけるのならば。ですが』
………な、何〜〜〜。
ふざけんな。
もう一人の子供って俺の事だろ?
セーラの奴。
無茶苦茶だ。
アイツ、ヒャッハーを人質にしやがった。 かわりに俺の身柄を要求する気か。
悪魔かアイツは?
何故そんな、まだるっこしい事をする?
セーラは何をかんがえてる?
何を考えている?
嫌な予感がする。
「断る」
『あら?』
「子供一人を取り戻せても。行方不明のもう一人を失っては意味が無い」
『別にとって食べたりはしませんよ。ただ私は………』
「グドウ伯爵殺す。我が子の無念を晴らす。望みはそれだけだ」
ヨシ。
よく言ったママン。
たすかった。
『助けれる子供。転生した我が子を見捨てる事になっても?』
「!!!ソレは………」
ママンが初めて動揺を見せた。
あれ?
やっぱり俺
助かってなかった?
この流れは不味くね?
セーラの奴は説得がうますぎる。
『既にアナタの息子は転生を開始しました』
「なに?」
『この国最強のナメクジに転生してます』
「ナメクジ! なんて事!」
『私のせいではありません。天命です』
セーラの奴、天命とな?
嘘つけ。
主に転生させた海神の責任だが………
セーラのせいでもあるだろ。
決して天命とやらのせいでは無い。
俺のせいでもない
………俺しらね。
「天命だと………」
『しかし私の加護がアレば、ナメクジから人間の姿に戻す事も可能ですよ』
その言葉に考え込むママン。
ママン騙されないで
と、言いたい。
しかし下手に口を出すとヤブヘビになりかねん。
「………本当に? 我が子を取り戻せる?」
『ええ、ですからね。すぐに部下共々ここから離脱しなさい』
「なに!」
『この国に産まれた最強のナメクジを、部下を使って探し保護するのです』
「しかし………仇を………あの女を!」
『あの女はここで見逃しても、逃げたりしませんよ』
限りなく優しいセーラの声。
「………」
『しかしナメクジへと姿を変えたヒャッハー王子は、このタイミングで保護しなければなりません』
「ナゼダ?」
『でないと再会できなくなるかもしれませんよ。最強のナメクジとはいえ、所詮はナメクジですし』
「………」
ママンが悩んでいる。
それにしてもセーラめ。
頭と口が一つしかないくせに、頭も口も良く回る。
『そうだ。あの女は私が捕獲します。生きたままアナタに引き渡しましょう』
「なに?」
『アナタがヒャッハー王子と再会する。更に私があのグドウ伯爵の身柄をアナタにとどける』
「ムムム」
『そうしたら。私とアナタのもう一人の子供。私達の結婚を認めてくださいね』
「………子供が欲しいとはそういう意味か」
「「「「「「「「な、なにぉおおお」」」」」」」」
ヤブヘビになるのを恐れて、口を出すのをためらっていた。
だが
8本首の首で口で思わず絶叫してしまった。
セーラの野郎。
なんて事を考えやがる。
なんて事を考えやがる。
このごに及んで母親公認で結婚を認めろだと???
ふざけんな。
アイツは悪魔か?
騙されないでママン。
ソイツは首輪とか裸エプロンとかも強要する酷い奴だ。
まずい。
本気でまずい。
変な汗がでる。
『どうですか?』
「我が子はまだ子供だが?」
『私の寿命は永遠に近いので、いくらでも子供の成長を待てますよ」
「………良いだろう」
「よくね〜よ!」
俺の言葉は虚しく響いた。
「本当に死んだ我が子と再会出来たのならば………我が子の嫁に迎えようと思う」
「迎えるなよ!」
渾身の声で否定した
が………
俺の非難の声は無視された。
俺がママンを取り込もうと動いた直後。
セーラにママンをとりこまれた。
最悪だ。
『ふふふ』
セーラの声にならない笑い声が脳裏に響く
まるで全てお見通しだとでも言うみたいに
コチラの考えが上回られた。
俺にとって状況は………
更に悪化した。




