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282/306

282、発情期152


「くっ!」


 状況を正しく判断したのか?

 俺を説得するのは無理、俺との敵対は避けられないのだと判断したのか?

 レオナルド侯爵は、それまで乗っていた俺の背中から飛び降りる。

 そして間髪入れずに駆け出して、逃走をはかるレオナルド侯爵。


「逃さん! 待てご飯」

「なに? 私がご飯だと?」

「ご飯?」


 レオナルド侯爵を食べようと口を広げるする俺。

 走りながら、俺の言葉に戸惑いを見せる侯爵。

 同じくご飯? とつぶやき俺の言葉に驚くアキリア。


 だって、どうせ倒すなら、食べて成仏させるのが慈悲と言うものだ。

 人間と違って、竜は極力無駄な殺生はしないのだ。どうせなら目的と食欲の一石二鳥を狙い満たしたい。

 この瞬間。

 俺の中でレオナルド侯爵は、共闘する相手から、恋敵へ、そしてご飯へと、どんどんランクが転落していった。

 我ながら、代わり身がはやい。

 ちと最低かも知れないと心が傷んだが、仕方ない。

 俺が悪いんじゃない。

 グドウ伯爵に惚れられた奴が、今となっては、ご飯になってしまった侯爵が悪いのだ。


 首をくねらせて、8つの首全てでレオナルド侯爵を追う。

 だが、なにせ相手のほうがサイズが小さい。

 チョロチョロと逃げられる。

 巨大な体が災いして、なかなかレオナルド侯爵を食べる事が出来ない。

 

 でも、銀色の仮面に白い服のレオナルド侯爵はやたらと目立つ。

 見失う心配はあるまいとたかをくくった。 いくら逃げようとも、追いつくのは時間の問題と思ったが、己の考え違いに気がついた。

 なんとレオナルド侯爵は、俺から遠ざかりつつ、白い鎧の兵士達がひしめく、豚皇女ことママンの軍隊の方へと走って逃げていた。

 不味い。

 白い鎧の人間の群れに白い服のレオナルド侯爵が紛れ込んだら、見分けがつきにくくなる。厄介だ。

 ので………

 大きく息を吸い込む。

 

「ミギャン、ミギャン、ミギャン」

「う、うわぁ。ドラゴンが火を吹いて、レオナルド侯爵の突撃を援護射撃してくるぞ」

「ドラゴンに構うな。忌々しい銀仮面、レオナルド侯爵さえ打ち取れば、英雄になれる。奴は一人大チャンスだ。このチャンスを逃すな」

「おお!」


 かなり夢と希望と野心に満ち溢れた軍隊の言葉を聞き流しつつ俺は………

 3つの首を使い、ドラゴンブレスを3連。

 レオナルド侯爵と白い軍隊の間に撃ち込む。

 が


「む、両方とも、止まる気配がないだと? ミギャン!」


 徐々に近づくレオナルド侯爵と軍隊の接触を阻止すべく、ドラゴンブレスをさらに連射。

 白い軍隊前衛をブレスで蹴散らして、レオナルド侯爵と軍隊の間に空白区間を作る。


 だが、コッチの思惑など全く関係ないとばかりに、白い軍隊は目の色を変えてレオナルド侯爵に再び群がろうとする。


「手柄だ! 出世だ! ご褒美だ」

「糞! 邪魔だ。人間達」


 レオナルド侯爵がママンの率いる白い鎧の皇国軍隊に討ち取られるならば、俺的には良い。

 だけれども、レオナルド侯爵の奴は、その強さを正確にはしらないが、グドウ伯爵に勝つような奴だ。

 はたして俺でも勝てるのか?


 そんな相手に………

 まずもって、並の人間では群れても歯が立つまい。

 人間共をレオナルド侯爵は、体よく俺への撹乱、姿を隠す為の煙幕代わりに、白い鎧の皇国軍隊を利用する気に違いない。


 彼にとっては、皇国軍と俺を噛み合わせるのは利益しか無く、当初の予定通りなのだから。

 そこまではわかる。

 だがその後は、どうする気だレオナルド侯爵?

 彼は逃げる?

 それはありえない。レオナルド侯爵は、皇国軍を放っておけないはず。


 

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