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ドラゴンの卵に転生したら、目玉焼きにされてドラゴンゾンビになった  作者: 金銅才狸


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鳳Ⅱ



 セーラをからかって時間を潰す。

 衰弱しすぎて、

 話すことすらできなかったこの娘には、

 他愛の無いバカ話でも、宝石のような時間だろうね。

 動く事の出来なくなった者は、

 なんてことの無い、掃除をもう一度したいと言い

 喋る事の出来なくなった者は、

 他愛の無い会話を求めるものだ。


 ただじっと機会を待つ間に、

 つかの間の安息を。


 チアゴ商会の屋敷の中が徐々に慌ただしくなってきた、

 がちゃがちゃと騒がしい。

 が、焦る必要も無い。

 最後まで足掻くと決めた。

 セーラの髪の中に隠れてじっと待つ。


「福音発動」


 反応なし。アキリアとの連絡は取れない。

 何が慈愛の神様だ。

 あれ?慈悲深き女神だっけか?

 どっちにせよ。

 全く使えない。


「福音は降りてきませんよ」

「かもな。でも待つ他には、それしか思いつかないし」

「そうですか」

「この街に来るまでは繋がっていたんだ」

「そうなのですか?」

「なにを考えているのやら」

「神を悪く言ってはなりません」


 そうかもな。

 悪口聞かれると、

 何をされるかわかったもんじゃない。


「屋敷が騒がしいな」

「竜の爪と牙の入手に失敗したのでしょう」

「なぜわかる?」

「いつもの事ですから」

「そうか」

「妹が早まらなければ良いのですが」

「側室か」

「相手は、ドラゴンマニアの第三王子様」

「玉の輿じゃないか?」

「妹は白虎マニアですからイロイロと」


 ドラゴンと白虎は仲悪いとか言ってたな。

 マニア同士も仲が悪いのか。


「知り合いなのか?」

「二人は小さな頃から中が悪くて」

「………それで何で側室に?」

「王子には他国や国内有力者の政略結婚が」

「ああ。なるほど」

「あまりにも可哀想な結婚だったそうで」

「ほう。王族も大変だな」

「はい。俺だけ不幸になるのは許せんと」

「え?」

「お前も巻き添えだと、妹を側室に欲しがって」

「………それ。好きなのか嫌いなのかわからんね?」


 好きな子に意地悪したくなるって奴じゃない?

 う〜ん。

 思ったより幸せな側室かもしれん。


「ですか。妹は盗賊と白虎にしか興味ないですから」

「あ、ソレは」

「拒否されて、王子は余計ムキになってしまって」

「あらら」

「俺のコレクションが欲しいなら側室にって」

「ああああ」

「妹は姉が大変なのに、そんな場合かって、もう大喧嘩」


 それ、何かきっかけがあれば

 全て上手く行ってたよね。

 きっと。

 ………姉の命がかかってるのに、何か痴話喧嘩してないか?

 そいつ等。


「親父さんは?」

「金で解決できないものは無いと、お金を積んで」

「積んで?」

「牙爪を売らない第三王子を札束で叩いて」

「え?」

「第三王子に大激怒されています」

「なかなか地獄だな」

「ありがたい家族ですから」


 まあ、それなら良い。

 予想の範囲内だ。

 セーラを助けると契りを結んだ。

 セーラはしらずとも、

 ドラゴンの契り、誓い、約束は絶対だ。

 ソレを果たせないドラゴンがいたとしても

 それを果たさないドラゴンは存在しない。

 力の限り、やるだけだ。


 定期的に、ためしている福音が間に合わなければ、

 狙うは、ただ一人だけ。

 じっと待つ。


 部屋の外から騒々しい声が聞こえてくる。


「戦争じゃ。ありったけ兵を集めろ」

「チゴヤ様おかえりなさいませ」

「セルバンテス、お前もこい。戦争じゃ」

「は、第三王子との交渉は失敗したので?」

「ああ。時間が無い。攻めるぞ」

「いや、しかし王都にいる王族を攻めるのは」

「可愛いセーラの為じゃ」

「チゴヤ様」

「馬鹿王子の一匹や二匹。セーラと比較にならん」

「屋敷の精兵は、各地へ爪牙を捜索に出払っておりますが」

「残りをかき集めろ」

「それからスーの街にて、巨大なドラゴンが討伐されたと」

「何? 入手できたのか?」

「使いのものを送っております」

「バカモン貴様がいかんか」

「は、申し訳ありません」

「時間が無いのだ。失敗したらどうするつもりだ」

「はは。しかしコチラも手薄でして、離れるわけにも」

「確実なチャンスを、みすみす逃したかもしれんのだ」



 がちゃがちゃと騒がしい。


 はじめから手札は既に揃っている。

 焦る必要は無いとはいえ、

 じりじりと焦燥は募る。

 よみがはずれれば、

 このままセーラを食べるしかないのだから。





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