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271/306

271、発情期141、グドウ伯爵領


 正確にはグドウ伯爵の城が見える地点までたどり着き、俺達は立ち止まった。

 そして………グドウ伯爵のお城を見ている。


「うわぁ〜壮観だねぇ」


 アキリアが歓声をあげる。

 確かに壮観だった。

 グドウ伯爵の城は、大勢の武装した人間達に取り囲まれていた。


「な、なんだぁ? あの兵隊の数は」

「う〜んと、数千人はいるんじゃない?」


 俺には人間の数など、一目でわかるはずもないが、アキリアがそう言うなら、そうなのだろう。


「うっへぇ〜。流石にこんなに大勢兵隊がいるとは思わなかった」

「たかが人間の雄叫びでも、数が揃うと精悍だね」


 城を取り囲む兵隊達。

 戦場に興奮した人間達があげる歓声は、1人1人は大した事は無いのかもしれないが、数が集まると、俺一人の雄叫びを遥かに超える声量と迫力があった。

 かなり距離が離れているのに、まるで振動がビリビリ響いて来るようで、コッチまで興奮してしまいそうだ。


 アキリアは感心したかのように、しきりと、ふんふんと上機嫌で軍隊を観察している。


「よく見ると、城に籠もった黒い鎧の兵隊達が、白い鎧の兵隊に取り囲まれてるな。黒い兵隊がグドウ軍で白い兵隊がママンの軍かな?」

「なに? 白い鎧だと、本当か?」


 レオナルド侯爵が白い鎧の話に食いつく。


「ん? そうだよ。それがなにか?」

「不味いな。私も軍隊を連れてくるべきだった」


 そう言ってレオナルド侯爵は、顔をしかめた。


「白い鎧だと何か不味い?」

「うちの国の軍隊の鎧は、基本的には黑ベースだ」

「そうなの?」

「ああ。白い鎧は隣の敵対国、豚の生家、皇国軍の特徴だ」

「え? て言うことは………」

「豚皇女の奴だ。奴が生家の皇国から、ここぞとばかりに手勢を呼び寄せやがった」

「ま、ママンが?」

「そうだ。しまった。ああ〜〜〜。私ともあろうものが、豚を甘く見ていた」


 そう言って頭を抱えるレオナルド侯爵。

 なんだ?

 理解が追いつかない。


「どゆこと?」

「豚の奴。子供を殺られた復讐戦の為に、グドウ伯爵を始末すると見せかけて、ここぞとばかりに、この国を取りにきたな」

「え???」

「この辺りも皇国との国境近くだ。ここグドウ伯爵領は………皇国との最前線のレオナルド侯爵領と王国本国との中間領」

「へぇ〜」

「豚の奴………グドウ伯爵領を落として圧力をかけて、皇国の力を後ろ盾に、堂々と自分の夫の第三王子を、この国の時期国王にすえる気だろう」

「………ま、ママン」


 うちのママン………

 そ、そんなに野心家だったのか?

 てか、うちの王国、時期王位の継承戦争とかやってたの?

 ………う〜む、やってた様なそうでないような。

 正直人間に興味が無かったから、気にしてなかったな。

 ま、何処の国でも王様がいる国は、次期国王の座を争ってるか?


 王国と皇国があんまり仲良くないとは聞いて覚えていたけれども………


 ん〜〜でも、どうなるんだコレは?

 ママンが勝っても、第三王子パパンが、この王国の王様になるだけで………

 侵略って言えるのかな?

 その辺の事を………レオナルド侯爵に聞こうとしたが………


「しまったな。本当に白い鎧の兵隊がグドウ伯爵の城を取り囲んでるのかい?」


 逆に質問されてしまった。

 白い鎧を気にして、確認を取るレオナルド侯爵。

 本当も何も………


「見りゃわかるだろ」

「こんな遠距離から、そんなのわかるものか。お前等化物と人間の私の視力を一緒にするものじゃない」

「レオナルド侯爵の目が悪いだけじゃない?」 


 とアキリア。


「そうだよなぁ。普通に見えるよなぁ」

「僕にも見えてるし。多数決で君の負けだねレオナルド侯爵」

「いや、その理屈はおかしい。そもそも人間の眼で見える距離じゃない」

「そうか?」

「そうなの?」

「人間の眼で見えるのなら、あっちの軍隊がコッチに気がついて、今頃パニックになってるだろうし………」


 むう、解せぬ。

 なぜだ?

 

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