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270/306

270、発情期140


 まるで俺が間違ってるかのような態度で、俺の事を見る二人。

 でも違う。

 二人共、考え方がズレている。


「わかってないな〜二人共。ここでアキリアと揉めてる間に、グドウ伯爵がママンに殺られたらどうするんだ?」

「なに?」

「………ソレはそうだけれども」

「過去よりも未来だぜ。過去の事は許してやるよアキリア」

「!!!」


 俺の言葉に、動揺を隠せない様子の二人。

 それを見るのは正直楽しかった。


 物事には常に複数の要素がある。

 ある一つの視点から見れば敗北でも、他の視点なら大勝利してる事もあり得るから。


 最悪でも損切り。

 あわよくば損して得とれ。

 最善は災い転じて福となせ。

 等々の言葉の通り。

 俺は………こっそりと負けたふり、許したふりをして、その実、勝利へと向かうのだ。


「グドウ伯爵の為、か?」

「そうだが、それが何か変か? 侯爵?」

「理屈は確かにそうかもだが………それにしても………私が思うに、このドラゴンは………確かに、ぶっ壊れている」

「おい。俺を狂竜扱いするな」

「とは言っても、何をどうすれば………そんな結論になる? そんな結論をだせる? 私にはわからない」


 ………わかってないな、レオナルド侯爵。

 認識が違うんだ。

 前提条件を間違ってるぞ。


 そもそもアキリアは、言ってたろ。

 体の性能をテストしたいと。

 ここでアキリアは、俺をわざわざ怒らせて、試す気だったんだ。

 主にアキリアの体の性能を………

 きっと、その為にアキリアは、ここで喧嘩をうってきたんだ。


 そんな安い挑発。

 いや、挑発方法としては安くは無いが、なんせ俺の過去だ。

 だとしても

 俺は感情にまかせて行動して………

 アキリアの思いどおりになんて、なってやるものかよ。

 俺は馬鹿じゃないぞ。

 何せ頭が8つも有るんだ。

 たとえ俺の心の内をアキリアが読む事が出来たと仮定しても、8つもある頭の考え全てを完璧には………

 きっと読み切れまい。


 なにせ………実を言うと俺自身ですら、8つも頭があると、自分が何を考えてるのだか、よくわからんのだから………


 いや、まじで。

 8つも頭があると統一感ってか、イロイロ感情がおかしくなる。

 具体的には………

 アキリアに怒る自分がいる一方で、面白がったり、復讐にヤル気をみなぎらせ、その事を、憎む俺と、喜ぶ俺がいるんだ。


 正直………アキリアよりも内なる自分が怖くもあり、わくわくもする。

 自分の真意が未知な事が楽しい。


 こんな考え方や感情をアキリアが何らかの方法で察知したとしても、完璧に理解できるはずがない。

 ま、そもそもアキリアが俺の心の内を読んでるとも限らないのだけれども。

 その可能性を警戒しとけば………仮に読まれた所で、同仕様もないだろう。

 なんせ気まぐれな頭が8つだ。

 こんなの読み解こうと思ったら、頭おかしくなるぞ。


 そもそも読まれた所で………

 ………

 ………………

 考えたくも無いが、思うに………

 結局の所、どうやら俺はアキリアの事が嫌いになれないらしい。

 それが………アキリアに魂の一部を握られているせいかどうかまでは………

 まだ分からないのだけれども………



 

 アキリアの事は後回しに出来る事案だ。

 そんな事よりも、後回しに出来ないグドウ伯爵へと進むべきだ。

 そう思ったからこそ………

 アキリアのやらかした過去の出来事とやらを………

 一旦水に流すと言うか保留してまで………

 アキリア達とのやり取りの間中、ずっと走っていたわけで。

 

 現状、負けと言う結果の決まったアキリア戦なんぞやってる場合じゃない。

 それよりも、手に入るかもしれないグドウ伯爵の事を考える方が胸が高鳴る。

 そして………




 ようやくグドウ伯爵の城へと戻ってきた。

 

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