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261/306

261、発情期131


 俺がイロイロ8つの頭で考え抜いていると、不気味に嗤うアキリアが………


「ああ、そうだった。グドウ伯爵の所へ急がないと君のママンの魔の手が伯爵に迫ってるよ」

 

 アキリア人形は嬉しそうにそう言う。


「魔の手って………豚皇女とか呼ばれてても、一応ママン人間だろ?」

「アレは豚だ」


 と、横からレオナルド侯爵。


「そうか〜俺は衝撃的な初対面以来、よくママンを見る間もなく、魔剣盗んで家出したからな〜」

「………どういう家庭状況だ?」

「ふ、男には反抗期ってモノがあるのさ」

「産まれてから、そう日にちはたってないはずだが、ちょっと反抗期早すぎではないか?」

「うむ。再転生した直後だったしなぁ」

「のんきに思い出話をしてる所を悪いけどさ」

「なんだ?」

「君のママンは今本気で怒り狂ってて、グドウ伯爵はわりとピンチだから早く駆けつけないと死んじゃうよ」

「………それが今だに信じられないんだよなぁ。あの伯爵が、そうそうやられるか?」

「いや、私もアキリアの意見に賛成だ。あの2人と手合わせした事があるからわかる。グドウ伯爵は豚皇女には勝てない」


 断言するレオナルド侯爵。


「………マジカ〜。俺はグドウ伯爵のが強いと思うけども」

「僕の見た所、相性もグドウ伯爵にとっては悪いかな〜」

「あ、そういえばグドウ伯爵の能力って何だったんだ?」


 前にグドウ伯爵と戦った時には、不公平を嫌ったのか?

 アキリアは教えてくれなかった。


「内緒」

「ケチ、ケチケチケチリア。いいよ侯爵に聞くから」

「ケチリアって言うのはやめて」


 ケチなアキリアにはケチリアで十分だ。

 それよりも………


「いや、私もグドウ伯爵の能力はよく知らないぞ」

「なんでだよ? 勝った事あるんだろ」

「格下に勝利するのに、相手の能力とか知る必要無いから」


 ………アカン。

 コイツも、何者や?

 俺が苦戦したグドウ伯爵の事をナチュラルに格下扱いしてきやがった。

 レオナルド侯爵、コイツは規格外のアキリアに狙われてるせいで、全く実感無いけど、コイツも十分に化物だった。

 ………のか?

 コイツはアキリアにビビリちらしてる内心が、うっすら透けて見えるから、全く強者感も、実感もないけれども。

 ちと俺はコイツを舐めすぎてるのかもしれん。

 ………いや、そもそも舐める舐めないの話では無く、コイツに危機感を覚えない。

 てか、覚える必要が無いからなのか?


 レオナルド侯爵にとっては、俺は脅威でなく利害関係も相反しない。

 だから相手が強かろうが弱かろうが、あまり気にしないのか?

 俺はコイツに全く危機感を………いや。


 ………まぁ俺の方にはグドウ伯爵の想い人と言うだけで、死んでくれって思ってるけども………

 くっそ、もしかして俺舐められてる?

 いやいやきっとそうじゃないな。

 俺よりも遥かに脅威なアキリアに狙われてるから、俺どころじゃ無いのか?

 骨折してる人は、かすり傷なんてたいして気にしないのとおんなじかな?

 ………ちょっとムカつくけども。

 

 とか8つの頭で思ってたら


「伯爵の能力は教えてあげれ無いけれども、君のママンの能力は教えてあげるよ」

「え? 良いのか?」

「知らないよりも知ってたほうが面白いし」

「知ってたほうが面白いって、どんな能力だ? それ」

「私も知りたい」


 レオナルド侯爵。

 オマエさんも知らんのかい?

 イロイロガバガバだなぁ。


「ママンは格上つってなかったか? 能力くらい調べろよ」

「再戦自体、したくなかったのだ」

「彼女は同一系統の能力でスキルスロットを埋めたいわゆるファイブカード」

「彼女? そういえば女だったか」


 おかしな所に食いつく、レオナルド侯爵。

 が、俺はちゃんと


「ファイブカード?」


 聞き慣れない言葉に食いつく。


「そうそう。君のママンは、肉体強化バフ系統5つもちで、自分の肉体を超強化してる超脳筋極振りスキルの持ち主。ポーカーで言うところのファイブカードさ」

「なる程。見た目通りのパワーキャラか」

「と言うか、身体能力全般特化キャラだね。パワー以外もたぶん軒並み凄いよ」

「………どのくらい?」

「さぁ〜?」

「さぁ? っておまえ」


 そんな無責任な。

 それでも神か?

 いや、もう神じゃなかった。

 ケチリアにランクダウンしたのだった。



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