257、発情期127
レオナルド侯爵は………
「………アノ魔剣は、この国の親竜派の象徴なのだけれど」
「………知らんがな」
「あれが無いと、この国は滅竜派閥が勢いをまして………」
「やっぱ何かまずかったかなぁ?」
「………いや、言われてみると………既に、この国に豚が嫁入りした時点で、派閥抗争とか言ってる場合じゃないか? それどころじゃないな」
「もしかしなくても、豚ってママンの事?」
「そうだ」
「これまたエライ言われようだなぁ」
「皇国豚皇女の、この国への王族入りは、皇国からの侵略行為に等しい」
「んな、そんな大袈裟な」
「実際大袈裟でもない。豚の侵略に比べれば、今更滅竜派閥とか親竜派閥とかどうでも良いか、良いの、かなぁ?」
そう言って首をかしげるレオナルド侯爵。
「いや、知らんがな」
「この国に住んでるなら知ってろ」
「………でも、俺が国宝の剣落とした事が、チャラになるならそれでいいか。ママン、ナイスアシスト」
「オイ………どっちかと言うとヒュドラ。お前がこの国の守り刀を無くして、皇国からの侵略をアシストをしたのでは………」
「………………マジカ」
あれ?
俺、ママンの侵略手助けつ〜か、この国滅亡の手助けしちゃった?
………確かにあの剣無くなったら、国防に支障をきたすよなぁ。
俺がビビるくらいの魔剣だし。
いや、待て。
何を考えてるんだ俺は?
そもそも、仮にママンがパパンの祖国を乗っ取ったって、ソレがなんだ?
別に良いじゃないか。
ソレが俺に、何か関係がある?
というよりも、不都合があるか?
………………
………無いよね。
なら、別に良いじゃないか。
うん。
そう決めた。
この国が滅びても、俺のせいじゃ無いよな。
ママンと結婚した、パパンが悪い。
そうだ。
そう決めた。
それよりも、今はもっと大切な事がある。
アキリアだ。
アキリアの体が以前の像と同等程度の硬さならば、狂った性能のドラゴンキラーを失った今の俺に、破壊するのは多分不可能だ。
ヤバイ。
知らせねば。
自然な形でレオナルド侯爵に知らせねば。
このままでは、せっかく説得できたレオナルド侯爵と言う手駒が………
ここでアキリアに戦いを挑み、返り討ちにあって失われてしまう。
………アキリアは決して俺の手駒にはなってくれないだろうし。
現状、アキリアの馬鹿げた硬度と、打倒は恐らく不可能だと、レオナルド侯爵に伝えねば。
でなけりゃ、ここで戦闘待ったなし。
「あ〜アキリアさんや」
「なんだい?」
「俺のこのヤマタノオロチの体やレオナルド侯爵に、ぶっちゃけ、そのオマエの人形の体を壊せると思うか?」
「ん〜〜〜? 傷つけるのも無理だと思うよ」
「やっぱそうか」
「ここから出してくれたら、試していいよ」
「良いのか?」
「良いよ。君等じゃ破壊は無理だろうし。もしも壊れても、なおせば良いし」
「え? その人形を壊してもオマエ死なないのか?」
「うん? 当たり前じゃん。前も入れ物の像を壊されても死ななかったでしょ」
「オマエ弱くなったんじゃ?」
「ん〜〜〜。そうだけども、それでもそうそう簡単には死なないよ」
「マジカ」
思ったよりもアキリア弱体化してないかも………
聞いたかレオナルド侯爵。
余計な事考えるなよ。
そう思ってレオナルド侯爵の顔色をうかがうと………彼は
「今のアキリアを、その出てきた黒い渦に押し戻したら、セーラって人の下に戻せるのでは?」
「え? なんでそんなことするの?」
不思議そうにつぶやくアキリア。
あ………レオナルド侯爵の奴、セーラにアキリアを始末させる気か。
なるほど
でもアキリアは、もうセーラに負けるはずは無いと言ってたし、その作戦は駄目かもな。




