246、発情期116、間抜けな舌戦?
レオナルド侯爵。
ただ、力を手に入れただけの調子にのってる奴、チキンで矛盾した奴かと思っていたが………
コイツ………
グドウ伯爵の事を、自信をもって弱虫扱いしやがった。
くそう、コイツ意外とかっけぇ。
「私はコレでも、この国を守る最前線の不敗の盾だからね」
「………その盾もアキリアに、もうすぐ砕かれるのか………哀れな………」
「………誰だか知らないけれども、アキリアと戦ってる人頑張れ〜」
空に向かって、情けない事を絶叫する銀色仮面。
途端にかっこ悪くなったな、銀色仮面。
一瞬、格好いいと思ったらコレだ。
見なおして損した。
………しかし、グドウ伯爵に頼らないのかコイツ。
計算違いだ。
俺の計画は崩れた。
ならば………
「応援しても無駄だ」
「なぜ?」
「アキリアと戦ってるセーラは、俺の見立てじゃあ、どう贔屓目に見ても、アキリアの半分も戦力があるとは思えない」
「そ、そうなのか!」
「ああ。悔しいが、アキリアと戦っているセーラ。アイツも海神の使徒だ。おおよそ限界というものがある」
たぶん、知らんけど。
適当な事を、思いつきで口にだす。
真実はどうでもいい。
この際、侯爵を説得誘導出来れば、どうでもいいや。
………適当で酷い奴だな俺の頭。
まぁ8つも頭があると、中には酷い発想も思いついてしまうから仕方ない。
「そうか、そうなのか?」
「先輩の海神の使徒が3人がかりで、海神に勝ったらしい。逆に言えば、神に勝つには使徒クラスが3人必要って事だろ。たぶん」
「………そうか! 私とオマエと今戦ってる人で3人か………なんだ勝てるじゃないか」
「!!!」
こ、コイツ、思ったよりも只者じゃなかった。
なんちゅう事を考えやがる!
やれってか、俺にセーラに加勢して、アキリアと戦えってか?
………ヤレルカ!
勝利したとしても、その後セーラに、俺がナニヲサレルカ考えた事あるのか?
オマエ人の心あるのか?
レオナルド侯爵!
「じゃあ。1狩り行くか? 邪神刈りだ」
「ふざけるな。狩れるか、あんなモノ」
「戦力は揃ってる。やれるさ。私とオマエなら」
「サラッと格好いいセリフで、トンデモナイ大罪に俺を誘うな。いや、とんでもね〜なオマエ。レオナルド侯爵!」
俺はコイツを舐めてた。
こ、コイツ洒落にならん一線を平気で踏み越えやがる。
俺がコイツに利用されるのでは無く、コイツが俺に利用されるべきなんだ。
なのに………
そんな当たり前な世界の法則に………サラッと反抗しようとしてきやがる。
「いや、オマエさんが言うな。と言うより………ヒュドラ、何故そんなに動揺してる?」
「あん? どういう意味だ?」
「オマエは酷いヒュドラだ」
「褒めるなよ。てれるぞ」
「褒めてない。てれるな。オマエは何をやらかすかわからないヒュドラだ」
「だから褒めるなよ」
「なのに………何故アキリアに歯向かうことに過敏に反対する?」
「へ???」
意表をつかれた。
言われてみれば、何でだよ?
海神にも歯向かった俺が………なんかアキリアと戦いたく無い。
「恐怖か? それとも………愛?」
「愛? ………これが愛? いや、愛つ〜か。なんか強制力ある、つ〜か。人間に洗脳されてた時に近いつ〜か」
「………生々しい悲惨な過去をサラッと言うね〜」
「あ! そう言えば、俺。アキリアに魂の一部を取られてるらしいから、ソレじゃね? 反抗できないのかも知れね〜」
「………悲惨な過去をサラッというな〜〜〜」
「二回も言うな」
「二回もヒュドラの痛い過去を聞かされたからだ」
「いや、ソレはすまんが」
「ふう。ソレじゃ私が一人で、アキリア討伐に手を貸して来るか」
「え? 本気でアキリアと戦う気なのか?」
コイツまじか〜。
まじでアキリアと戦う気か〜




