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243/306

243、発情期113、負ける気のしない二人と勝てる気のしない二人




 竜に裸エプロンで目玉焼き作れって………

 セーラの奴………性癖どうなってやがる?

 1番恐ろしいのは人間かも知れないと、本気で少し考えた。


「聞きたくないって………いや、それは別に悪く無い事かと」

「竜物虐待だよ。北極条約違反だよ。俺のプライドがズタボロのズタズタになるもの………」

「知らない知らない」

「毎朝、首輪をハメられて、エプロン着せられて目玉焼きを焼かされ続けると………うっかり俺は、目玉焼きを焼くために、竜に生まれたのかも知れないとか、本気で思うようになるんだ!」


 尊厳も何もあったものじゃない。

 まるで洗脳、駄目絶対………


「ヤメロ! 聞きたくない」

「しかも目玉焼きの卵が………たまに竜の卵だったりするんだ………」

「うっわっちゃ〜。同族食い?」

「食べるのはセーラ。俺はセーラの為に作るだけ………」

「セーラって誰………いや、大体想像できたけど」

「アイツは、たまに酷い事する奴なんだ。アキリア〜がんばえ〜〜」


 再び空へと魂の叫びを放つ。

 と………


『聞こえてますよ。ドラゴンさん!』

「!!!」


 ビクンと体が跳ねる。

 ヤバイよ。

 聞かれていたよ。

 てか、反射的にセーラに恐怖してしまった。

 ………

 なぜだ?

 もうヤダ。

 俺は最強種の1角、ドラゴン様のはずなのに、たかが人間の雌に、なぜ怯えなけりゃならん?

 どうして………こうなった?


『ヤレヤレ。僕との戦闘中に、盗み聞き、よそ見とは余裕だね?』

『そう余裕でもないですけど』

『まぁいいさ。偽神の欠片を砕く前の、ウォーミングアップの相手としては訳にたちそうだし』

『あら? この後何かご予定がおありで?』

『そうなんだよ。だから………手早く済ますね』

『あらあら、それはご予約の相手には可愛そうな事ですが、約束を破る事になりますね』


 のほほんとしたセーラの声。


『なんで?』

『だって邪神アキリアは、今ここで滅びるのですから………』

『ハッ………やってみなよ! 無理だけどね』

「………」


 二人共余裕である。

 どうしてあんなにも余裕や自信があるのだか?

 余裕で、しかも物騒な事を言ってるな〜。

 って思ってたら……

 俺の隣で………


「頑張れ〜! 誰だか知らないけど、邪神アキリアを、やっつけてくれ〜」


 レオナルド侯爵が、天に向かって、声援を送っていた。

 ………


「ふっざけんなよ! アキリアが負けたら、オレが酷い目に会うんだ! オマエ聞いてたろ」

「こっちは、このままだと、アキリアに殺されてしまう!」

「!!!」

「アキリアが死ねば………私が何もしなくても生存のチャンスが………」

「オマエ最低だなぁ〜。神の命と竜の尊厳を犠牲にしても、自分だけは助かりたいってか?」

「………そう言われると、そうだけども。オマエに最低呼ばわりされるのは、複雑な気分というか。何かおかしくないか?」

「人間の、しかも病で余命の少ないオマエが、竜である俺の為に生贄になるべきで、断じてその逆は有り得ない」

「………オマエ。私には侯爵として、責任がある。此処で死んでなどいられない!」


 ヤマタノオロチの俺と、人間のレオナルド侯爵は、体格差があるにも関わらず、おたがいに醜く罵りあって、最終的に首を絞めあった。

 ………追い詰められてんなぁ〜レオナルド侯爵。

 俺もだけれども!


「そんなに死にたくなのか? ここで生き残っても、余命そんなに無いだろうに」


 余命がたぶん数年とかそんなだろコイツ。

 生きる事に執着するなぁ。

 俺なんて………いや、思い出すとろくな死に方してないな。

 

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