241、発情期111、頭混沌6
しっかし………アキリアは俺の心境の変化に何処まで気がついているのやら?
気がついてないかな?
いや、わからんけど。
『そもそも、発情期に入って、グドウ伯爵への色香に狂った、その竜のせいだよ。侯爵殺すって、止めても聞かなかったのが発端だし。僕の責任じゃ無いよね〜』
侯爵絶対殺すマンに変化したアキリアが、俺に罪をなすりつけようとしてる。
「俺のグドウ伯爵に手を出した侯爵が悪い」
だから、俺はその罪をレオナルド侯爵に丸投げする。
「ハァァ? グドウ伯爵に色香? 私がアレに手を出す? 駄目だ。そんな想像しただけで脳が破壊されそうだ」
「ハァァ? 何言ってんのオマエ? あの子の何が不満やねん?」
「………冷静に考えて、不満だらけだ。むしろ何処に惹かれる要素がある?」
『ええ〜! カッコイイじゃんグドウ伯爵』
「そうだよな。カッコイイよなぁ」
「お前達はセンスがおかしい。くぅ。オマエラと話してると………脳がおかしくなりそうだ。精神攻撃キツイヤメロよ」
頭に手を当てて、膝をつく侯爵。
『あ、遠回しに、また僕を侮辱してるな』
「もう少し、私にも、わかる様に話してくれと言っている」
「俺達が何を言ってるかは、よく分からないかもだけど、何を言いたいかは、わかるだろ?」
「ああ、それはわかる。私を豚退治に駆り出したい。その後、邪魔だから死んで欲しい………と?」
『なんだ! よくわかってるじゃ無い』
「わかりたくなかったよ、こんな事」
「つまりは理解できてるけど、認めたくないだけなんだな。理解して、運命を受け入れて楽になれよ」
『その発想は気持ち悪くて最高だよ』
「オマエラ最低だ。私は暗黒神とその下僕に、そそのかされる聖人になった気分だ!」
『誰が暗黒神! しかも自分を聖人だなんて、偽神の欠片が図々しい』
「………」
俺は反論できなんだ。
やってる事は最低だと自覚はある。
アキリアや俺の行為は、人をそそのかす悪魔や邪神のそれである。
わかってはいるんだ。
俺はアキリア程エゴイストでも狂ってもいない。
でも………レオナルド侯爵を生贄に捧げて………
それでグドウ伯爵を手元に特殊召喚出来るのならば………
何を迷う必要があるものか!
仕方がない。
これは仕方が無い事なんだ。
必要な犠牲なんだ。
「サンキュー。レオナルド侯爵。お前の尊い犠牲は忘れないよ。立派なお墓を建ててやる」
「私を勝手に殺すな!」
「良いだろ? 死ねよ。俺とグドウ伯爵の為に死んでくれ」
「………見も蓋もない本音がでたな。くっそ〜。邪神アキリア。オマエ何をどうしたら、こんな厄介で非道なヒュドラを従えていられるんだ?」
非道なヒュドラ?
なんて言われようだ?
『いい感じに壊れてるでしょ? 自慢の玩具さ。グドウ伯爵には………少し及ばないけれどもね。それでもいい感じに壊れてる』
「こんなのと比べられて、評価で勝利するアノ伯爵もアレだが………」
『ここ迄、竜の頭と精神を壊すのには苦労したんだよぉ』
「おい。オマエが俺を狂人扱いするな。噛み付くぞ」
めっちゃ失礼な事を言われてる。
『噛み付こうにも、コッチに来れないだろ、君』
「コッチってアキリア、オマエ今は何処にいるんだ?」
『神の世界とこの世界の狭間。コッチに、だいぶ近い所に居座ってる』
「………ふ〜ん」
『ま、僕が招待しなきゃ、今の君は来れないでしょ』
『そうでもないですけどね』
『は、は、は、無理無理』
『でも………現に私はここにいますし〜』
「………なんか変な声が」
福音スキルにアキリア以外の声が混ざる。
「アキリアオマエ何してる? ………てか、誰といる?」
『どうして! ここに………』
『どうしてもこうしても………伯爵の元に移動しようとしても弾かれて、ドラゴンさんの所にも移動できない。原因の大本へと来てみたら………』
なんか聞き覚えある呼び方された。




