231、発情期101、品種改良?
『そもそも君は何かの突然変異か、罠か………それか………』
レオナルド侯爵について
なんだろ?
アキリアの声がどんどん小さくなっていく。
「どうした? おいアキリア?」
『そうか! わかったぞ。この侯爵は君と同じなんだ。多分』
「どう言う事?」
『この侯爵。どこかの神の実験体だ。多分』
「なにぃ? 私が?」
「どゆこと?」
『僕が君を使って変幻スキルを学ぼうとしてるみたいに、何処かの神が侯爵を使って偽神を完全神化する実験してるんだ。多分』
「………まじで?」
『それなら辻褄があう。偽神の品種改良してるんだ』
「おい。オマエラ神は、私に何をしてくれてるのだ?」
「おいおい、てことは待てよ。やってるのは半魚人か? ここははアイツの縄張りだよなぁ」
「半魚人? なんだそれ?」
っと首をかしげる侯爵。
俺のヨダレで、ヌラヌラする銀仮面がソンナポーズするな。
なんか迫力ある。
「この国の神で、アキリアの敵の神」
「アキリアが………この国の神の敵?」
「そうだ」
『そうだよ』
「じゃあ。やっぱり邪神じゃないか」
『違うよ。あいつが邪神だよ。生臭いし』
「この国の神は海神様だ。正神に決まってる」
ふん。
って感じで侯爵は言い切る。
海神って、その辺は知ってるんだ。侯爵。
まぁ言い伝えやら、石像やらあるのもしれんな。
しっかし、アレが正神?
笑っちゃうね。
「アレを崇めてる国や国民も、冷静に考えるとヤバイよなぁ」
『まぁねぇ〜。この子等アレに、直接あった事が無いから無理ないけどね』
「何を………訳のわからぬ事を………でもそうすると〜。私は海神様の実験を受けていると言う事か?」
「マジか。アイツ最低だな」
『………いや〜。どうだろう?』
「うん? どゆこと? 俺の仮説何かおかしいか?」
『生臭野郎に、そんな頭があるかな〜。アイツ生臭いし』
生臭いの関係あるか?
でもそうだ。
半魚人は、あまり頭が良く無い。
いりくんだ計画とか………いや
でも。
「でもアイツ。セーラと誰かをかけ合わせて、裏切った使徒殺す為の新たな使徒産み出すとか、品種改良的な計画立ててたぞ。俺のせいで失敗作したけどな」
『………アイツのその計画は君とセーラって娘を使って、現在進行形で継続中だよ』
「………マジか? 海神最悪だな」
『うん、だからね、それが君がセーラって娘に執着されてる理由の1つでもあるし』
「マジか、やっぱ海神最低だな」
『君は僕の実験体で有ると同時に、生臭野郎の実験体でもある』
「オマエラ最低じゃね〜か」
「こっわ〜、具体的にヒュドラ可愛そう」
「可愛そうとか言うな」
なんだろうな、この侯爵。
こいつ呪いやらなんやら自分のが大変のはずなのに………
コイツに同情されるとなんか嫌だ。
てか、こんな事言う奴だからヤル気が削がれるのかもしれない。
『いいかい。僕の実験を成功させた上で、生臭野郎の実験は失敗させるんだよ。わかるね?』
「………お前さぁ。ホントに俺の事をもっと大切に扱えよ。マジで」
『どう扱っても、既に君は僕の計画通り動くしか無いしね』
「何でだ?」
『君さぁ。今更、竜変化スキルを使うのをやめられるかい? 無理だろ?』
アキリアの言葉を考える。
…………アキリアの計画をつぶすのは簡単だ。
竜変幻スキルを使わなきゃ良い。
でも………
「無理だ。たしかに………俺は竜変幻スキルを捨てられない」
『人間なんて、一度手にした強い力を捨てられないものさ。それが君の様に、本能的な望みと直結してる場合は特にね』
望み?
「俺は何か望んだか?」
『ドラゴンになりたい。空を飛びたい。で、なければ。ソレを失うくらいならば、君は躊躇いなく命を捨てるだろ?』
「………」
ぐうの音もでない。
たしかに………何度も命を捨ててる。
例えば生き返れ無いとしても、変幻スキルと命を天秤にかけられたら、命のほうが優先度は低い。
かも知れない。
くそう。
これは………罠だ。
俺に知られても良い罠。
避けられない罠。
アキリアめ、やりおる。




