229、発情期99、真の白き太陽
突然の自分語り。
こ、コイツ。
この侯爵、開き直りやがったか?
『なんだか、余裕あるじゃないか』
「唾液で汚して、その、ご自慢の魅力を低下させてやる」
「や、やめろ。汚い」
『たぶん効果無いよ。その子の魅力は偽神の欠片。欠片が宿ったスキルによるモノだ』
「「スキル?」」
侯爵と声がハモる。
何だ? 侯爵お前も知らんのか?
自分の事なのに。
『真の白き太陽スキル。まるで太陽の様に崇拝され他者から好かれるスキルだよ。僕の鑑定によると、この世界で最も魅力の高い者に宿る、偽神の欠片スキルだそうだ』
「………」
「………それ、意味なくね?」
「たしかに………元々世界一? の魅力持ってる私に、そんなスキル宿ってもさ………無駄に………」
『ま、偽神って、そう言う連中だからね』
「意味あるのか? そのスキル」
『まぁ〜、副作用として上の世界の事や存在を感じ取れなくなったり、僕等に狙われたり』
「それは、デメリットじゃ………」
『他には、すべての状態を無効化出来るようになるよ』
「………見ての通り。私はグドウ伯爵と同じ病を生まれつき患ってるのだけれど………」
そうか、謎が一つ解けた。
レオナルド侯爵の格好がグドウ伯爵に似てるのは、グドウ伯爵と同じ病気だか呪いだかにかかってるからか。
全身にその痕があるから、全身の肌を隠すために、その仮面と服装なんだな。
『なんで? どうしてそうなるの? アリエナイ。なんで偽神の欠片を持ってて病にかかるんだ君は?』
「いや、そんな事を私に言われても………私が理由を知りたいくらいだ」
『おかしい。僕の声を聞くことができるのもアリエナイのに』
「そんな事言われても………」
「そんな事よりも、オマエあの子と、どういう関係やねん?」
アキリアの都合などどうでも良い。
それよりも侯爵とグドウ伯爵の関係のほうが俺にとっては知りたい。
重要な事だ。
「うわ〜。こいつ等、超面倒くせぇ〜」
『誰がコイツだ!』
「等を、つけるな」
顔を侯爵に近づいて無言の圧力を加えていく。
「う~んと、う〜んと。順番に言うと欠片の事は私にはわからない。教えて欲しいくらいだ」
『………嘘は、言ってない? か?』
「お前あの子とはどういう関係やねん?」
「グドウ伯爵は………先代、現グドウ伯爵の母親に言い寄られて、断ったら、決闘申し込まれた」
「………なんだと?」
「揉め事があったら力ずくの国だから、ここ」
「この手の話を聞くと、この国大丈夫か? て思う」
『ま、この国の守護神、アノ生臭野郎だからね』
「………ああ、なる。そりゃあ、そうか」
「生臭野郎って、なに?」
「気にするな。それよりも話を続けろ」
「私は当然返り討ちにしてやろうと思ってたら………」
なんか言い難そうにどもりやがった。
「何だ?」
「………先代グドウ伯爵の娘。今のグドウ伯爵が、自分の母親仕留めちゃった」
『え?』
「え?」
「んで、グドウ伯爵を襲名して私に求婚を………。それ断ったら、今度は現グドウ伯爵に決闘申し込まれたから、ボコボコに返り討ちにしちゃった。てへ」
「………………鬼か? オマエ?」
『いや、それよりもグドウ伯爵のほうがヤバイでしょ』
「だよね〜。あの子ヤバイよね〜。あんなのに言い寄られて何度も決闘挑まれるコッチの身にもなってよ。何度ボコボコにしてもこりずに定期的に挑戦してくるし。私の部下じゃ伯爵に勝て無いから、私が自分でボコるしか無いし」
「鬼か貴様は………」
「負けたら、何をさせられるか………自分の母親仕留めるような娘だよ。コッチも必死さ」
「………」
「最近じゃあの伯爵。私にボコボコにされて喜んでる疑惑が、何かに目覚めてても、おかしくないし………キモい」
思ってたよりも、殺伐とした関係だった。
でも………見ようによっては………
ロマンチック?




