213、発情期83脱皮
アキリアから首が再生してると指摘を受けた。
とっさに自分の体を確認してみるが………
「うわ、首が沢山あって、再生してるかわけわからんね」
『何やってんだか』
長い首で自分の他の首を調べる。
自分の首の数が多すぎて、何本あるかよくわから無い。
はやく体になれてないと、駄目だなこれ。
しかしアキリアが、首が八本に戻ってると言う。
アイツが、そう言うならそうなんだろう。
現に伯爵にふき飛ばされて、切り株みたいになってた傷ついた首跡が見当たらないし。
やっぱり脱皮して治ったのかな?
と、言う事は………
「もしかして、この体。無茶苦茶再生力高い?」
『ちょっと高すぎだよ』
「ま、再生力高くて損は無いからラッキー」
『………まぁ、そうだね』
………首を飛ばされてから、ほとんど時間がたってないのに。
凄い速さで脱皮して回復してしまった。
あまりにも速い再生と脱皮速度。
凄い。
けど………
この体………持て余す。
ハイスペックな体を使いこなせて無い感じはある。
使いこなせれば、強力な戦力になるのだろうけれど。
スペックでは勝っていた筈なのに、一方的に虐殺されたヒャッハー戦が頭に浮かぶ。
はやく、体になれなければ。
あの時の二の舞はゴメンだ。
考えがまとまった。
「それはそれとして、レオナルド侯爵の所へ道案内頼む」
『………君さぁ。それくらい調べてから行動しようよ』
「こういう時こそ、持ってて良かった福音スキル』
『………』
『道案内は任せた」
『福音スキルって………人生に迷った時に、人生の道案内とかに使うものだよ。本当の道に迷って道案内に使った罰当たりは、たぶん君がはじめてだよ』
「自称神を名乗る罰当たりに、罰当たりって言われるとは………」
『あ、その様子じゃあ、まだ僕の事を神だと信じてないな?』
「ああ」
『君は、僕の神体を見てるでしょ。なのに、どうして信じてないの?』
「神体? ああ、初めに見た黒い奴か」
『そうそう』
確かにアキリアの神体?
黒い本体らしいモノを見た時は、ビビってきた。
あれは神だと言われても信じる気になる姿。
けど………
「俺はお前の言動や半魚人の姿や言動も見てるからなぁ」
『………』
「アレ見ると、オマエラが神だと信じるのはキツイ」
『………アイツのせいかぁ』
「あんな馬鹿や、アレと争ってるオマエ等、神とか言われても実感が………」
『うっわ〜反論したいけど、少し納得しそうな自分が嫌だ』
「半魚人は、どうしてああも、お馬鹿なんだ?」
『アレは馬鹿と言うよりも、価値観が狂ってる』
価値観?
そう言われれば、思い当たるふしがある。
空より海が良いとか、価値観がおかしかった。
泳ぐ事が至高とか………
空を飛ぶ事のほうが、泳ぐ事よりも崇高な行いなのは、世界のルール。
それなのに、その辺の事すら半魚人は、全く理解出来ていなかった。
「………あんなの神と認めちゃ駄目だな」
『全くだよね。生臭いし』
アキリアと意気投合した。
話しが噛み合ってるかどうかはともかく。
意気投合した。
………でもコイツ。
俺の事玩具としか見てないんだよなぁ。
………半魚人に負けず劣らず、アキリアの価値観もぶっ飛んでると思う。
半魚人とでも、アキリアの悪口でなら、意気投合出来そうな気がする。
そしてそれは多分間違いじゃない。




