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202/306

202、発情期72、ヤマタノオロチ



 浮気の責任をなすりつけられつつあると知り、驚愕するアキリア。

 ようやく気がついたか?

 俺の罪は、お前の罪だ!


「そうだよ。頑張れ」

『駄目だ。ソレは駄目だよ』


 慌てるアキリア。

 ………………

 無理も無い。

 だって………

 

「気がついた? 俺の言葉を否定する材料は特に無いだろ?」

『き、君ねえ』

「俺の身代わりに責任かぶって、セーラに潰されてくれ」

『されるか〜。てか、ふざけないでよ』

本気マジですが、何か?」

『きみ………!!!』


「全ての記憶を、アキリアに再び取られたんだ。仕方ない。コレはもう仕方ないんだ」

『取ってない。僕そんな事やってない』

「一度、記憶取ってるし前科あるし、お前有罪」

『で、でも。今回は無実だ』

「しかも余罪も有るだろ、お前」

『!!!』


 セーラとの会話を盗み聞いた限りでは、

 コイツが、俺に内緒で俺に何かをしてるのは、知ってるぞ。

 具体的には、何されたか知らんけど………


「あのセーラが、お前と俺の、どっち信じると思う?」

『!!! 汚いぞ。そこまで落ちたか』

「自業自得だ。諦めろ。俺が落ちたとすれば、堕落だの堕天だの、落としたのは、お前だろ。お前のせいだ。お前が悪い」

『!!!』

「最悪の場合。お前は、俺と一緒に地獄に落ちるんだ。一緒に挽肉、ハンバーグにされようぜ」


 力強く宣言する。

 アキリアには、何やら随分とイロイロ、もてあそばれた気もするし。

 ここらで、1つ反撃できたかもしれない。

 ちょっとだけ、胸がすっとした。


『サイアクだ。やっぱり君は最悪だ』

「そんなに褒めるなよ」

『褒めてない。炭酸の抜けたジュースみたいに、ヘタレ竜になったかと思ったら。酷い。悪魔だ。鬼』

「何とでも言えよ。気にしない」

『気にしてよ。何だ君? 急にやる気出して、何があった?』

「恋………俺みたいなのに動機とか、与えたらそりゃあ」


 ………伯爵の影響か?

 何か胸がときめく。

 心がワクワク。


『二又野郎。クズ男。浮気竜。女の敵』

「俺はドラゴンだ!」

『??? それがどうかしたの?』

「ヤマタノオロチって知ってるか?」


 八本の首を持った怪物。

 ヤマタノオロチ。


『うん………』

「オレ、ヤマタノオロチかも知れない」

『どゆ事だよ! さっぱり意味がわからない』

「二又とか、どうでも良いだろ。ハチマタ迄は赦されるドラゴンに、俺はなる」

『………』

「………」


 一瞬無言。


『馬鹿だろ、君は。大蛇って、竜じゃ無くて蛇だし』

「細かい事は気にするな」

『ソレに、ハチマタ? そんなの刺されるよ。女舐めんな』

「刺されるのが怖くて、恋愛が出来るか〜!」

『できるよ。君のそれ恋愛じゃ無い。恋愛はもっと綺麗なモノで、君の、それは汚いモノだ』

「ヤレヤレ。お前は、真の恋愛と言うものを、どうやら理解して無いな。コレだから………」

『僕を責めるの! いや、絶対に君が間違ってるよ、ソレ』

「全く。馬鹿と話すと、話が噛み合わなくて困る。半魚人の言うとおり。アキリアって馬鹿だったんだなぁ」


 ヤレヤレと、大袈裟に首を降る。


『僕が馬鹿? 馬鹿は君だろ!

 壊れてるのか、君は! 

 ………

 ………………

 ………………………

 あ!!!

 そう言えば。

 この竜………

 壊したの僕だった』


 ………

 おい、待て。


「誰が壊れてるって。俺は正常だ」

『壊れた人は皆そう言うんだよ。狂人に自覚症状など、無いんだから』

「人を何だと………まぁいい」

『いや、良く無いよ。君の行動は、問題だらけだよ』

「グドウ伯爵は、俺が何とかするから、セーラへの対処は任せるぞ」

『知らない。知らないよ。どうして僕が、君の浮気の尻拭いを………』

「慈悲深き女神様。慈悲深く頼む!」

『ちょっと、それ慈悲深き女神の使い方間違ってるって』

「いや、これ以上無く、正しい使い方だろ」

『浮気の尻拭いをする慈悲深き女神が、何処の世界にいる?』

「………ここの世界? アキリアは、俺の浮気の尻拭いをする為に、慈悲深き女神になったのかも知れない」

『神を、何だと思ってるんだ。君さぁ〜』

「使い捨ての身代わり人形?………」

『君さぁ、………』


 心底あきれる声。

 だがそれくらいでは怯まない。


「発情期スキルをくれたのは、お前だし」

『!!!』

「おかげでヤマタノオロチになれそうだ」


 この事実だけで、アキリアは無罪では無いと主張したい。





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