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20.Gの対人戦


 三人の人間に近づいて、


「むう。思ったよりも事態は深刻だ」

「そうだね。取りあえず、君が混乱してるのを治そうか」

「俺は正常だ。おかしいのはヒゲ達だ」


 あんな可愛い銀髪娘を攫おうとは、トチ狂うにもほどがある。

 あれは、さらわれるために生まれてきたんじゃない。

 俺に齧られるために生まれてきたんだ。

 じゅるり。

 いかんヨダレが。

 その辺りをわかっていない。

 愚かなヒゲ達への、怒りも込み上げてくる。


「ドラゴンの獲物を横から奪おうとは、愚かなヒゲ達だ。格の違いを、思い知らせてくれる」

「君は今ドラゴンでなくゴッキーで、格は最低だ。そして横から獲物を奪おうとしてるのも君だろ」


 む、何を言っている。

 何か話が噛み合わない。


「アキリア。何を訳のわからないことを言っているんだ? あれは俺のだぞ」

「君が何を言っているのか、全くわからないが。何を言いたいのかは、大体わかったよ」


 齧りたい。

 とにかく齧りたいんだ。


「そうだろ」

「こりゃ。絶対に、あの娘が装備してる白虎装備の効果、の影響が出ちゃってるな」

「俺は正常だ」

「普通は退魔効果で、近づきたくなくなるはずなんだけど、変な効果入っちゃってるね。どうしたもんかな」


 そんなアキリアの言葉を聞き流して、ヒゲ達を退治へ突撃だ。


(だからドラゴンの死体の行方を知りたいと言っているんだ)

(そんなの知らないさ)


(君がドラゴンの情報を集めていたのと、商隊を率いて素材を取りに行った事はわかっているんだ)

(は、言いがかりはやめて欲しいね。ドラゴンの素材は手に入れちゃいないさ)


(チゴヤ商会が動いたのは、すでに周知だ)

(そんな事を言って、油断させようとしても無駄さ。私を攫って身代金でも取るつもりだろ。山賊め)


(山賊!違うぞ)

(ガット。お前の斧が悪い)

(お前のガタイが、でかすぎるせいだろ)

(言い訳は無駄さ。私は賊には詳しいんだ。あんたらの手口は知ってるさ)

(俺は違〜う)


 近づいてみて、会話が聞こえてきた。

 なんかもめてるな。

 理由はよく分からんが、ヒゲとバーナードが、だいたい悪い。

 そう決まった。

 俺の獲物を横取りされてたまるか。

 俺が齧るんだ。


 ゴッキーは空を飛ぶ。

 ヒゲの顔に向かって。


「うぉ。なんだ」


 ヒゲの顔に無事着陸。思いっきり齧りついた。


「痛〜〜〜。何かに刺された」


 痛い? 

 それはそうだろう。

 並のゴッキーとは訳が違う。

 こちとらレベル38だ。

 ゴッキーの中では最強かもしれん。


 次はバーナードだ。

 どんなに強かろうが、ゴッキーレベル38の素早さに勝てるものか。


 ゴッキーのように舞。

 ゴッキーのように齧り。


「あ痛あぁ。ホントだ、なんかいるぞ。いや暗器か?」


 そしてゴッキーのように逃げる。

 完璧なヒットアンドアウェイ。

 闇夜の戦場において、姿を見せないステルス作戦。

 それがどれだけ恐ろしいか。

 その身に刻め。

 ゴッキー最強伝説の開幕だぁ。


「ああ。ゴッキーが、やんのかステップ踊ってる」

「アキリアには、またも、そう見えるのか?」

「みえるよ。というか、なんで君が優勢なんだ?レベルも種族も数も、向こうが上なのに」


 ん? バーナードはともかく、ヒゲもレベル38超えてんの?

 まじか。

 意外と凄いやつだったのね。

 が、地を這うゴッキーは、ただの虫ケラだが………

 空飛ぶゴッキーの恐怖は、ドラゴンに匹敵する。


「戦いは戦力でも数でもない。情熱さ」

「わけわかんないよ」

「続けていくぞ。オラオラ」


「うおお。いてぇぇ。蜂かなんかいるぞ」

「夜に蜂がいるかよ。蜂は基本暗闇では動けんぞ」

「でも現に」

「暗器だ。どこかから、吹き矢か何かに狙われてる」


 残念。ゴッキーでした。


「チゴヤ商会の奴らの攻撃か」

「だろうな」

「娘が一人でうろつくのは、おかしいと思ったが」

「げ、影の護衛がついてたって事か。厄介な」

「アサシンの可能性もある。注意しろ」


 残念ゴッキーでした。

 ハハハなんだこれ? 楽しい。

 速い。

 鋭い。

 圧倒的だ。

 我がゴッキースタイルは。

 攻撃は軽いけど。

 しばらく一方的にバーナードとヒゲを、正体を悟られずに齧り続け、圧倒した結果。

 そう結論をださざるを得なかった。

 

「これ程ゴッキースタイルが強いとわかっていれば、二メートル超えの豚人間ごときから、逃げる必要もなかったものを」

「いや、おかしい。それはおかしいよ。ゴッキーそんなに強くないハズ」

「欠点をあげるとすれば、攻撃力と持久力が極端に低いだけだな。ハァハァ。正直疲れた」


 いや、まじで疲れるわ。

 どれだけ攻撃入れても、相手を倒せる気はしない。


「それは良いけどさ。白虎の服着てた子娘。とっくに逃げちゃったよ」

「そうだな。逃がすのが目的だったからな」

「齧るのが目的じゃなかったの?」

「いいや。何を訳のわからないことをいってるんだ?」

「君が言ってたよ。齧りたいって」

「知らないなぁ」


 俺はヒゲ達に絡まれてた女の娘を、助ける為に戦ったはず。

 目的はたしたし、疲れた。

 ヒゲ達はここらで見逃してやろう。


「あ、さては君、混乱解けてるね」

「だから、何を訳のわからないことを言ってるんだ」

「僕がおかしいみたいに言うな。説明してあげるから」


 アキリアは俺が白虎装備の効果を受けて混乱してたとか、

 わけのわからない説明をした。

 俺は正常だ。

 よっぱらいはみんなそう言うんだ。



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