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199/306

199、発情期69、


 カツン。

 カツン。

 石畳を叩く硬い靴の音。

 足音から、感じられるプレッシャー。

 ………凄いな伯爵。

 足音だけで、只者じゃないのがわかる。


「グドウ伯爵。か」

『早く上手く。僕の玩具になるように、上手に伯爵を口説くんだよ』

「自分でやれって」

『………君にとっても、良い話だよ』

「なぜ?」

『僕なら伯爵を治せるんだ。上手く、この手札を使って生き残るんだね』

「………」

『慈悲深い僕に、感謝しても良いよ』

「本音知ってると………感謝なんて、できないな〜。俺の事など、どうでも良くて、新しい玩具が欲しいんだろ?」


 早く早くと、新しい玩具をせがむ子供のようなアキリア。


 カツン。

 遠くから聞こえていた靴音が………

 俺の牢屋の前で止まった。

 顔を上げれば、奴がいる。

 黒い仮面は、戦った時のまま。

 全身黒ずくめも変わらず。

 しかし、ヒラヒラとした大きめの服を着ていた。

 肌は一切露出していない。

 フードまでかぶり、死神めいた装いだった。


「伯爵、全身鎧はどうした?」

「………」


 俺のスキルは、もう使える。

 そんな事は伯爵こそ、よく知ってるはずだ。

 つまり俺との再戦闘の可能性がある。

 なのに、鎧もつけずに………


「その軽装。どういうつもりだ?」

「鎧など必要無い。貴様の力は鑑定済みだ」

「んん?」

「ここに入れる前、部下に調べさせた」

「いつの間に!」

「結果。もう、貴様は脅威では無いと判断した」

「………」

「………」

「………………」

「………………」

『黙って無いで、早く本題に入りなよ。説得説得』


 アキリアは、急かしてくる。

 完全に伯爵には、舐められてる。

 くそぅ。

 いや、まぁ既に一度負けてる。

 竜としては、強い者には敬意をはらう。

 別に再戦する気は無い。

 ………けど、何かナメプされてるみたいで、嫌だ。

 抗議でもしてやろうと、牢屋ごしに伯爵と目を合わす。

 ………伯爵の血走った赤い目と、俺の目が合う。

 ………

 ………………

 アカンわ。

 抗議どころじゃない。

 血走った目が怖い。

 コイツ、危ない薬でもやってるのか?

 戦闘中と大差ない目。

 覚悟ガンギマリ感ある目が危なっかしい。

 闘志が萎える。

 常人なら、戦闘中と、それ以外で気迫というか、スキが出来そうなものだけれど………

 コイツ………たぶん24時間戦闘態勢でもとっていそう。

 怖い。

 なので、産まれかけた反抗心は、一気に霧散した。

 しょうが無い。

 アキリアの要請どおり勧誘するか………

 危ない奴を、自称神の元へスカウト???

 大丈夫かなぁ。

 何処かから、怒られないかなぁ?

 何か、とんでもない間違いを犯そうとしてるのでは?

 そんな気もする。


「自称神からの伝言を預かってきた」

「海神………か?」

「いや、別口。海神の敵からのヘッドハンティングだ」

「………」

「詳しくは知らんが、体を治してやるから、犬になれとさ」

「!!!」

『ちょっと! 言い方、もっと丁寧に』

「海神の使徒に命狙われて、ビビったから。番犬として、お前さんを飼いたいとさ」

「………」

『君なんかに、頼んだ僕が馬鹿だった。猿でも、もっと上手に勧誘するよ』

「お前さんが、どの位の呪いだか、病だかを患ってるのか知らないが、話にのれば、治してくれるとさ。どう?」

「ふざけるな。同じ様な言葉で、何度騙されたことか」

「いやいやいや。本当だって。いや、まて。本当かどうかは知らんが、本人そう言ってるし」

「本人?」

「福音スキルってのが、生えかけてるだろ?」

「ああ」

「そのスキルあれば、自称神と話せるから、直接交渉してくれ」

「断る」


 一瞬の躊躇もなく拒否する伯爵。

 何故だ〜〜〜?













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