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192、発情期62、勘違い


 


「もういいです。ドラゴンさんは下がってください」

「うん。セーラにまかせる。けど………」


 伯爵の声に惹かれた俺に呆れたセーラ。

 んんん?

 セーラは、ふわふわ空へ舞い上がる。

 いつの間にか、セーラのサイズが元に戻ってる。

 巨大化してた筈なのに。

 あれれ?

 おかしいぞ。

 そして何だか、セーラの周りの空間の歪みが強まってる?

 何だ。あれは?

 蜃気楼? 陽炎?

 

 何だか、よくわからないけども。

 セーラ、いきりたってるなぁ。

 やる気満々! なのは分かった。


 正直、俺は地面で静かにしてる伯爵怖い。

 あんまり気も進まないので、セーラにおまかせコースだ。


 グドウ伯爵は、セーラに無反応。

 相変わらず、無言で俺をガン見している。

 ううう、怖い。


「………」

「神を討ち滅ぼす力、魅せてあげます」

『………ねぇ。それって、僕を倒す為の技だよね?』


 アキリアを無視するセーラ。

 なんか怖い事言ってる。

 神を討ち滅ぼす力って、何だろ?

 ………対アキリア用の必殺技?

 そんな切り札っぽい力を………

 使うの?

 まさか………


「対アキリア用の切り札を、グドウ伯爵に使う気?」

「ええ。そうです」

『………へぇ〜。ふぅ〜ん』



 やる気のセーラ。

 一見、余裕しゃくしゃくアキリア。

 が

 ………………アキリア

 ちょっと声が動揺して無いか?

 ビビってる?

 それとも

 怒ってる?

 

「オマエ、まさか怒ってる?」

『べっつにぃ〜〜〜。がんばえ〜。グドウ伯爵〜』

「オマエ………落ちる所まで落ちたな」

「………」


 うん。

 これは………そこそこ動揺と怒り。

 何だか複雑な感情抱いてるっぽい。

 忘れてたけども………

 アキリアとセーラ、直近で一触即発だった。

 当然に仲は悪い。

 か?

 アキリアに聞いてみる。


「セーラと、仲悪い?」

『べっつにぃ〜』

「………」

「性格に問題抱えた奴同士って、潰し合うんだよなぁ。全く、どうして俺みたいに、皆、穏やかになれないのか?」

『君さぁ。鏡見て言いなよ』

「………」

「マトモな俺からすると。オマエ狂ってるよ」

『自覚症状無いのが、救われ無い。狂人の君から見ると、人格者の僕は、狂ってる様に見えるのかもね〜』

「………」

「俺が人格者。オマエが狂人だ」


 アキリアと、軽く口喧嘩してると………

 それまで黙っていたグドウ伯爵が、口を開いた。


「よく分かった。ドラゴンの使徒よ。

 面と向かって、そこまで私を罵るとは………

 こんなにも馬鹿にされたのは………

 流石の私でも、そうそう記憶に無いぞ。

 もう………いい。

 覚悟は………いいな。

 粉微塵にしてやる」


 あ、あれ。なんで?

 グドウ伯爵の声が、なんだか震えていた。

 てか、伯爵の体も小刻みに震えて、鎧がガシャガシャ音がする。


「え???」

「に、義兄さんが、またグドウ伯爵を煽ってるさ」


 何処からか、カルナの恐れ慄く声がした。

 へ? 

 なんで?

 俺がグドウ伯爵に、何かした?


「別に、煽ってなど、いないけど?」

『グドウ伯爵とカルナって子には、福音スキルがないから。だから僕の声は、聞こえないよ』

「え? ソレって?」

『グドウ伯爵を警戒しながら、僕と会話なんかするから。僕への悪口。伯爵は、ぜ〜んぶ自分への悪口だと、勘違い、したんでない?』


 な、なにい?

 あああ〜。

 俺はグドウ伯爵を警戒して、ず〜とグドウ伯爵と向き合ったまま、アキリアと話してたわ。


「………俺、なんて言ったっけ?」

「私を狂人だと言ったな………

 神に祝福され、加護まで貰った貴様が………

 産まれ付き、呪われた私に………

 狂人だと………

 見下して

 私を見下して………」


 静かな怒りを感じる。

 あ〜〜〜。

 ヤバイヤバイヤバイ。

 これは………


「ち、違う。勘違いだ」

「アレだけ正面から、罵倒しておいて、しておいて。

 勘違いだと………

 貴様ぁ〜

 何処迄も何処迄も、馬鹿にして」

『偶然って怖いよね〜。いっけぇ〜、グドウ伯爵』


 ノリノリのアキリア。

 アキリアの奴。

 わざとか?

 わざと

 この状況を作りだした?

 アキリアめ。


「狙ってて、わざとやったのか?」

「わざと私を罵った………だと………」

「だ、駄目だ。何言っても怒らせちまう」





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