187、発情期57、尻尾
巨大化したセーラが稲妻を再びグドウ伯爵へと………
今日1番の大きい稲妻を吐き、雷光が走る。
夜が稲妻で再び明るく光った。
だが
「ピギャアアア」
「甘いわ。雷は、もう見切った。通用するものか!」
セーラの口から放たれた稲妻。
グドウ伯爵が、左手で稲妻を、また弾く。
しかも今度は、正確にセーラへと跳ね返した。
グドウ伯爵の上空に浮かぶセーラに、
跳ね返った稲妻が走る。
「きゃあ」
跳ね返された自分の稲妻を食らうセーラ。
夜空上空に、可愛らしい悲鳴が響いた。
一瞬動きの止まるセーラ。
そこに………
「もらったぁ〜。滅びろ、シトオォォオオ」
この時を待っていたと言わんばかりに………
地獄の様な雄叫びを、あげるグドウ伯爵。
伯爵は、右手で杖代わりにしてた槍を、上空の巨大化セーラへ、大きな動作で投擲する。
まずい。
俺に槍を投げていた時よりも、明らかに力がこめられている。
城の屋上から。
グドウ伯爵の手より放たれた槍は、一瞬で見えなくなった。
次の瞬間。
夜空に浮かび巨大化したセーラが仰向けに、後ろにぶっ飛んだ。
「見えない。が、伯爵の槍が、当たったのか?」
『よし。伯爵の勝ちだ! よくやっ………え?』
「姐さん! ………ん? んんん?」
「あ、アレ? 伯爵もぶっ飛んだぞ」
『え? え? なんで?』
セーラは上空から墜落中。
しかし、なんとセーラだけでなく。
グドウ伯爵も、後ろにぶっ飛んで、城から落下していった。
あ、10M近い高さの城から落下した伯爵。
………………
城の上から、墜落する全身黒い鎧のグドウ伯爵。
城の更に上空から、墜落する巨大化したセーラ。
………死んだかな?
しかし………
何が起こった?
相打ち?
よく見ると………上空から、
仰向けに吹っ飛び、背中から墜落するセーラ。
セーラの着ているワンピースふうの寝間着。
そのスカート部分から、長い何かが伸びて、グドウ伯爵を城から叩き落としていた。
………………
何だ?
なんだろう?
長くて太い紐みたいなモノ。
あれ?
いや、紐違う。
尻尾?
長い尻尾が、はえてないか?
「せ、セーラの奴。アイツ尻尾はやしたぞ!」
『な、なんで尻尾が、はえてるの? あの子、人間なのに』
「ね、姉さん」
………つまり。
グドウ伯爵は、セーラに槍をぶつけ。
セーラはグドウ伯爵に長い尻尾を、叩きつけた。
のか?
??????
疑問で頭がいっぱいなんだ。
俺の、巨大竜の手で抱えてるカルナを見る。
と言うか、セーラの妹のカルナの尻を見る。
………尻尾は、当然はえていない。
隠してる様子もない。
「なんでセーラに尻尾がはえてるんだ?」
「し、知らない」
「お、お前も、尻尾はえてるの?」
「はえてる訳ないさ。私を何だと思ってるさ?」
「じゃあ、なんでセーラに尻尾が?」
「知らないさ〜」
「そ、そうか。お前これからはえるのか?」
「そんな事ある訳ないさ〜。私を何だと………」
セーラは地面に墜落して、ジタバタあがいている。
生きてはいるな。
と、言うか、何か元気にバタバタしてる。
グドウ伯爵の姿は………
城の反対側に吹っ飛んだので、ここからは見えない。
「あ、わかったさ」
「何が?」
『何が解ったんだろう? 僕にも理解でき無いのに』
「ほら、姉さんも年頃の女の子だから………」
だから、なんだ?
「………」
「よくいるでしょ。付き合う男によって、服装とか趣味とかタイプが変わる女」
「え? ………それって?」
『なるほどわかった。その説にのった。君のせいだね』
「義兄さんに寄せて、ドラゴン化しつつある? とか?」
「俺のせいにするな〜。付き合う男に寄せて、尻尾がはえる女が、いてたまるかぁ〜」
やべぇよ。
カルナの奴。
すべての責任を、俺に押し付けようとしてやがる。
口から雷出したり。
巨大化したり。
尻尾はやしたり。
全部、俺に押し付ける気だ。
「全部義兄さんのせいさ〜。責任取るさ〜」
「あんなの知るか〜。俺のせいにしてんじゃね〜」
駄目だ。
カルナも、だいぶおかしいよ。
マトモなのは俺だけじゃないか。




