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187/306

187、発情期57、尻尾



 巨大化したセーラが稲妻を再びグドウ伯爵へと………

 今日1番の大きい稲妻を吐き、雷光が走る。

 夜が稲妻で再び明るく光った。

 だが


「ピギャアアア」

「甘いわ。雷は、もう見切った。通用するものか!」


 セーラの口から放たれた稲妻。

 グドウ伯爵が、左手で稲妻を、また弾く。

 しかも今度は、正確にセーラへと跳ね返した。

 グドウ伯爵の上空に浮かぶセーラに、

 跳ね返った稲妻が走る。


「きゃあ」


 跳ね返された自分の稲妻を食らうセーラ。

 夜空上空に、可愛らしい悲鳴が響いた。

 一瞬動きの止まるセーラ。

 そこに………


「もらったぁ〜。滅びろ、シトオォォオオ」


 この時を待っていたと言わんばかりに………

 地獄の様な雄叫びを、あげるグドウ伯爵。


 伯爵は、右手で杖代わりにしてた槍を、上空の巨大化セーラへ、大きな動作で投擲する。

 まずい。

 俺に槍を投げていた時よりも、明らかに力がこめられている。

 城の屋上から。

 グドウ伯爵の手より放たれた槍は、一瞬で見えなくなった。

 

 次の瞬間。

 夜空に浮かび巨大化したセーラが仰向けに、後ろにぶっ飛んだ。

 

「見えない。が、伯爵の槍が、当たったのか?」

『よし。伯爵の勝ちだ! よくやっ………え?』

「姐さん! ………ん? んんん?」

「あ、アレ? 伯爵もぶっ飛んだぞ」

『え? え? なんで?』


 セーラは上空から墜落中。

 しかし、なんとセーラだけでなく。

 グドウ伯爵も、後ろにぶっ飛んで、城から落下していった。

 あ、10M近い高さの城から落下した伯爵。

 ………………

 城の上から、墜落する全身黒い鎧のグドウ伯爵。

 城の更に上空から、墜落する巨大化したセーラ。

 ………死んだかな?


 しかし………

 何が起こった?

 相打ち?


 よく見ると………上空から、

 仰向けに吹っ飛び、背中から墜落するセーラ。

 セーラの着ているワンピースふうの寝間着。

 そのスカート部分から、長い何かが伸びて、グドウ伯爵を城から叩き落としていた。

 ………………

 何だ?

 なんだろう?

 長くて太い紐みたいなモノ。

 あれ?

 いや、紐違う。

 尻尾?

 長い尻尾が、はえてないか?


「せ、セーラの奴。アイツ尻尾はやしたぞ!」

『な、なんで尻尾が、はえてるの? あの子、人間なのに』

「ね、姉さん」


 ………つまり。

 グドウ伯爵は、セーラに槍をぶつけ。

 セーラはグドウ伯爵に長い尻尾を、叩きつけた。

 のか?


 ??????

 疑問で頭がいっぱいなんだ。

 俺の、巨大竜の手で抱えてるカルナを見る。

 と言うか、セーラの妹のカルナの尻を見る。

 ………尻尾は、当然はえていない。

 隠してる様子もない。


「なんでセーラに尻尾がはえてるんだ?」

「し、知らない」

「お、お前も、尻尾はえてるの?」

「はえてる訳ないさ。私を何だと思ってるさ?」

「じゃあ、なんでセーラに尻尾が?」

「知らないさ〜」

「そ、そうか。お前これからはえるのか?」

「そんな事ある訳ないさ〜。私を何だと………」


 セーラは地面に墜落して、ジタバタあがいている。

 生きてはいるな。

 と、言うか、何か元気にバタバタしてる。

 グドウ伯爵の姿は………

 城の反対側に吹っ飛んだので、ここからは見えない。


「あ、わかったさ」

「何が?」

『何が解ったんだろう? 僕にも理解でき無いのに』

「ほら、姉さんも年頃の女の子だから………」


 だから、なんだ?


「………」

「よくいるでしょ。付き合う男によって、服装とか趣味とかタイプが変わる女」

「え? ………それって?」

『なるほどわかった。その説にのった。君のせいだね』

「義兄さんに寄せて、ドラゴン化しつつある? とか?」

「俺のせいにするな〜。付き合う男に寄せて、尻尾がはえる女が、いてたまるかぁ〜」


 やべぇよ。

 カルナの奴。

 すべての責任を、俺に押し付けようとしてやがる。

 口から雷出したり。

 巨大化したり。

 尻尾はやしたり。


 全部、俺に押し付ける気だ。


「全部義兄さんのせいさ〜。責任取るさ〜」

「あんなの知るか〜。俺のせいにしてんじゃね〜」


 駄目だ。

 カルナも、だいぶおかしいよ。

 マトモなのは俺だけじゃないか。






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