表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

174/306

174、発情期44



 やってやるか。

 敵討ち。

 

『グドウ伯爵領に殴り込みだ』

『だからね。止めようよ』

『いや。やる』

『復讐とか八つ当たりとか、非生産的で意味ないよ』

『少なくともスッキリは、する』

『コレは………君さぁ。発情期スキルとテイムスキルの影響で、精神状態ハチャメチャになってる自覚とか無い?』


 む? 

 何だと?

 ………言われてみると、発情期スキルはポジティブな感情を、テイムスキルの影響は、最近は感情抑制を………。

 それとアルマ絡みの嫉妬。

 セーラからの仕打ち。

 歪んだ愛情。

 双子の死亡………復活してくるかもだけど。

 復活してきたとしても、死体がバラされてる以上。

 違う体で戻ってくるだろうから、たぶんもう双子じゃない。

 アキリア。

 セーラ。

 双子。

 アルマ。

 マッマ。

 結果………

 人類なんて滅びれば良いんだ。

 アキリアも。


 何処の街のチゴヤ商会の支店で、

 世界の片隅で、

 ひっそりと、俺の精神状態はハチャメチャになってる。

 アキリアの、言うとおりかも知れない。

 たぶん発情期とテイムのスキルの影響が大きい。

 青春時代に、生活を恐ろしく厳しく管理されてるようなものだった。

 精神状態への負荷が半端じゃない。

 

『………とりあえずアレだ………』

『何だって?』

『グドウ伯爵って奴を、ぶっ転がせば、気が晴れそうだ』

『八つ当たりだよね?』

『………………』

『ほら。返事が無い、ただの八つ当たりじゃん』

『良いからグドウ伯爵のいる所まで案内してくれ?』

『………………しょうが無いな〜。とりあえず東だよ』

『おい………。西じゃないのか?』

『え?』

『詳しい場所は知らんけど、ヒャッハーと合流しようとしてた時に、大まかに太陽の沈む方向へ歩いてたぞ』

『そうなの?』


 ………

 ん?

 んんん〜?

 何だコイツ?

 俺を騙そうとした?


『あ、わかった』

『何が?』

『お前、魂の処理が面倒だから、俺をグドウ伯爵領と、反対の場所に誘導しようとしてたろ』

『………………』

『おい………お前………』

『ちぇ。バレたか』

『そんな、いずれはバレる、嘘なんてついても意味ないだろ』


 浅い。

 嘘が浅すぎて、つく意味が無い。

 グドウ伯爵の元へとたどり着く時間が、余計にかかるかどうかだけで、結果は変わらない。


『そうでも無いよ』

『なんでさ?』

『時間さえ稼げれば、後は君の地雷が何とかしてくれから』

『………………地雷』


 あ。

 セーラか。

 忘れてた。

 確かに、俺がここから居なくなれば、どうなるか?

 すぐにでも追跡してくる可能性は高い。

 ヒャッハーの敵討ちをセーラが許容するか?

 ………………

 その可能性は恐ろしく低い。

 アイツ等、絶対仲悪いし。

 セーラに捕まる。

 仇討ち禁止される。

 間接的なテイムスキルで逆らえない。

 これで摘みか。


『つまり俺は、セーラにバレる前に、グドウ伯爵を仕留めなきゃいけないのか?』

『復讐とか止めるのが一番良くない?』

『却下だ。復讐はともかく。何かを壊さないと………』

『へ? 何で?』

『俺の精神が先に壊れそうだ』

『あ、この子は、ついに八つ当たりだと認めちゃった』

『この子とか言うな。………八つ当たりの何処が悪い? 見ろ』


 目の前には地獄。

 ここしばらく俺の心を掴んで離さなかったアルマ。

 ちっこ可愛いアルマが………

 イケメン達に囲まれてご満悦だ。


『いや、見たけど』

『世界なんて、滅びてしまえば、良いんだ』

『わりかし、あのアルマって子さ。君みたいな頭のおかしいイケメンを量産してると考えると、罪な存在だよね』

『アルマの悪口を言うな〜〜〜』

『………いや、君の思考回路………』

『何だよ』

『いい感じに、おかしくなってるね』

『むう』

『自覚は出来たみたいで、良かったね』

 

 むう。

 全てはタイミングが悪かった。

 運が悪かった。

 運が悪かったと思ってしまった。

 だからね………

 俺以上に運が悪かった伯爵。

 グドウ伯爵には、俺以上に運が悪かったと思って、何もかも全てを諦めてもらうんだ。

 そう思ってしまったんだ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ