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172、発情期42 真っ黒だ



 ………………………

 何処かの街にある、チゴヤ商会支店に連れて行かれた。

 俺は何を見ているのだろう?

 ………………

 アルマが嬉しそうに、セーラから与えられるイケメンを選んでいる。

 ちっこいアルマが、他のイケメンを選んでいる。

 ………………

 世界なんて滅んでしまえば良いんだ。


 真っ黒だ。

 俺の心は真っ黒だ。

 ドラゴンテイムスキルの強制力は、アルマに従っていた時は至福の感覚を俺にもたらしてくれた。

 だが、

 セーラに従えと命令されてからは、感情がまるで死んでしまったかの様に、何も感じない。


 いや、許せん。

 沸々と怒りの感情が浮かんではくるが、

 テイムスキルの影響か、浮かんでは消えていく。


 感情の起伏が殆ど消えて、ただセーラの命令に従う。

 俺の首には首輪がつけられた。

 体にはセーラと名前を書かれた。

 冗談かと思ったが、アイツ本気だった。

 アイツまじか!

 まぁそれも、

 感情が小さくなったせいで、さほど怒る気にもならない。

 

 セーラがアルマの為に用意した奴隷達。

 中には死んだ魚の様な目をしたやつがいる。

 下手をすれば、彼らよりも、俺は暗い目をしているだろう。


 定期的にアキリアの俺を煽る声が聞こえる。


『いや〜災難だったね。まさかドラゴンテイムスキルなんて、持ってる子がいるなんて』

『お前のせいだ』

『知らないよ。僕、関係ないし』

『そっちじゃない。セーラの事だ。俺を売ったな』

『………………』

『おかげで、俺の未来は真っ暗だ』

『ふふふ。いい感じに仕上がってるね』

『せっかくアルマと楽しかったのに………』

『いや、そんな事言われても』

『ぶっ転がしてやる』

『知らないよ』

『お前のせいだ!』

『そもそも、あんな地雷に僕が絡まれたのは、君のせいだし」

『お前のせいだ』

『カエサルの物はカエサルの元へ。君の地雷は君の元へ』


 お互いに相手が悪いと、責任をなすりつけ合う。

 福音スキルでアキリアと喧嘩する。

 俺の言葉は周囲の人間にも聞こえているが、知った事では無い。

 

『人間に、半魚人の使徒にビビりやがって』

『ビ、ビビってないから。面白そうだったから、君の所に送っただけだよ〜』

『半魚人だけで無く、その使徒にも負けたマケリア』

『………………』

『ふぅ。落ちるとこまで落ちやがって、何が神だ』

『体に落書きされて、首輪ハメられてる。君に、言われてもね〜。ケラケラ』

『俺の心は真っ黒だ』


 くそう。

 どうしてこうなった?


『………どっちにせよ。君はあの娘に捕まってたよ』

『言い訳か?』

『いや、あのレベルの相手に追われて、逃げ切るのは無理だよ』

『俺にはプランがあった』

『プラン?』

『もう一人の使徒。ヒャッハーと合流して。セーラを迎え撃つつもりだった』

『あ〜〜〜。………でも残念。無理だよ』


 ヤレヤレとアキリアの呆れたような態度が伝わってくる。

 なんだ?

 どういう事だ?


『何故だ?』

『ソイツもう死んでるよ』

『え?』

『なんとかって伯爵に喧嘩うって、返り討ちにあったよ。【聖戦】まで発動して、負けるとか』


 何だと?

 ヒャッハーが死んだ?

 マジで?

 

『ソレは本当か? あと聖戦って何だ?』

『嘘はつかないよ。【聖戦】ってのは、この国の王族が使える伝家の宝刀制度』

『制度?』

『初代国王と共に、この国を建国した竜に、反旗を翻した2代目王が作った制度』

『何だ。その制度? 詳しく教えろ』

『この国の王族たるもの。気に入らない者があれば、戦って勝利を、欲しいものを勝ち取れ。その為の戦いを許可する制度』

『何だその蛮族みたいな制度は』


 この国は、血塗られた弱肉強食色が強すぎる。


『聖戦を発動した王族とソレに従う者は、戦いに勝てば、罪にはとわれない。負ければ死刑』

『なんつ〜物騒な。ヒャッハーのヤツそれで部下を募って、グドウ伯爵? だっけか、に戦いを挑んだのか?』

『そそ。で、負けちゃった。人間に半魚人の使徒が負けてやんの』

『半魚人の使徒に負けた。お前が言うなよ』

『僕負けてない。負けてないよ』


 見苦しい。

 セーラとアキリアの会話を聞いてたから余計にな。

 しかし、そうか。

 ヒャッハーは死んだのか?

 ………アイツは再転生できるのか?

 ………半魚人次第。

 しかし………アイツが負けるとはなぁ。

 この国の住人は、どうなってるんだ?

 

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