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158/306

158、発情期23



「やっと町が見えてきた。大変な仕事だった」

「人間の町は、なんだか落ち着かない」

「義兄さん。アンタ今は人間なんだから、適応しないと」

「だって服着ないといけないし」

「………いや。それは着ろよ」

「ドラゴンの鱗に比べたら、ペラペラした服なんか」


 むう。

 変身のたびに全裸になるのはどうしたものか。


「いや。それは比べる比較対象が、おかしいさ」

「俺はスッカリ裸でも平気。鉄のメンタルを手に入れてしまった」

「それは、誇る事なのか?」

「鉄のメンタルって義兄さんアンタ」

「凄くない?」


 エッヘンと胸を張る俺。

 すやすや眠るアルマを抱えてるから、上手くポーズをとれなかった。


「義兄さん。それは自分の事を良く言い過ぎ。ただの変態さ」

「………変態ってメンタル強いから。あながち間違って無いかも」

「オマエラ。二人して俺を変態扱いするんじゃない」

「義兄さん。町中で竜に変身したら駄目さ」

「やらない………変身すると低確率で死ぬし」

「なんでだよ?」


 男の冒険者が驚いている。


「そういうリスクある竜変幻スキルだから」

「………義兄さん。アンタもっと自分を大切にするさ」

「それでも空に憧れた」

「………」

「竜の姿。空を飛ぶ快感には、命をかける価値がある」

「………」


 断言する俺。

 その俺に何かを感じたのか? 

 カルナも冒険者も真面目な顔して固まった。


「ま、それも。今となってはどうでもいいけど」

「なんでさ?」

「見ろ。このスヤスヤ眠る可愛いアルマを。アルマに比べたら空なんて………」

「なんでコイツ、護衛の仕事中に寝てるんだ? おかげで俺の護衛の負担が半端ないんだが」

「この娘、雇ったのは大失敗だったさ」


 俺が抱きかかえてるアルマを見て、文句を言う二人。


「こんなに可愛いのに。何故二人には伝わらないのだろう? 空とか竜とかよりも、アルマ最高。超最高」

「義兄さんアンタ。悪質な洗脳のせいで、イロイロとおかしいさ」

「俺はおかしく無い」

「変な宗教や薬物やってる奴みたいだ」

「そういや義兄さん。変な宗教の指導者だったさ」

「お前の義兄さん。本当にどうなってる?」

「そういえば、元々おかしい人だったかも知れないさ」

「………頭おかしいカルナから、おかしい人認定されるのは、褒められてるのか? けなされてるのかわからなくなった」

「なんでさ」

「マイナスのマイナスはプラスになるのか、酷いマイナスになるのか?」

「いや。それはマイナスだと思う。俺の目から見てもアンタおかしいぜ」

「モブから見て、おかしい人認定されるのは………」


 どうなんだろな?

 凄い人かも知れん。


「誰がモブだ」

「アルマ以外は、全員がモブだし」

「………こんな義兄さんを姉さんに会わせたら、惨劇がおきる。な、なんとかしなきゃ」

「知らん顔して逃げれば?」

「義兄さんは、すべての責任を私に押し付けるのが、目に見えるから、ほっとけないさ」

「………それは最悪だね。俺は関係ない他人で良かった」


 そんな事を話しながら町の中へ入る。

 小さな町だ。

 だが、おかしい。

 やたらと冒険者が多い。


「町の規模のわりに冒険者が多くないか?」

「ああ。アレだ」


 男の冒険者が、壁に貼られた何かの張り紙を指さした。

 其処には


『王家から緊急依頼。鳥のような翼の生えた蒼いドラゴン。生け捕りに限り金貨千枚。絶対に殺さない事』


「皆これ目当てさ。コッチで目撃情報あってさ」

「………なるほど。で、隣の張り紙はなんだ?」

「え?」


『王家から緊急依頼。モヒカンの髪型をした赤ん坊。ヒャッハーと泣く。第三王子の子供。連れ戻してくれた人には金貨二千枚。手勢を率いて、グドウ伯爵領地へ攻め入る可能性あり』


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