148、発情期13、カルナ
「カルナ………………そんな奴もいたっけ?」
「いたさ。ふざけんじゃないさ。あんたのせいで、白虎装備は失うわ、姉さんにしばかれるわ。こっちは散々さ」
「………そうだっけ?」
首をかしげる。
「アンタやっぱり最悪さ」
「………俺の姿はあの時とだいぶ変わってるのに、よくわかったな」
「あんた以外に、あんな、おかしな鳴き声のドラゴンいないさ」
「………そうなの?」
プンスカ怒るカルナ。
それにしても。
ドラゴンブレスの鳴き声で俺を判別したのか?
そうか〜。
俺の鳴き声変わってるのか〜。
ま、どうでもいいか。
カルナの事もどうでもいい。
そんなことよりも料理料理。
三人の人間達。
その人間達に危険性がないと見て、俺は料理再開。
鶏を炎のブレスで焼く作業を再開した。
「何をしてるさ〜」
「料理」
「アンタ本当に………」
人間達は三人いる。
女が二人。男が一人。
男は明らかに俺にビビっている。
「まて、カルナ。あんまりドラゴンを刺激するな」
「このドラゴンは大丈夫さ」
「ほ、本当に知り合いだったんだな」
「そうさ。姉の良い人? 竜? さ」
「竜と付き合うとか、お前の姉は、何者だ?」
そんな事を話していたが、正直どうでもいいか。
巨大な鶏は、でかすぎて、中々焼けない。
それに比べれば、人間なんてどうでもいいか?
「ちょいちょい。義兄さん。アンタ私の話を聞くさ」
「なんだ? 今料理に忙しい」
「アンタ姉さんに何したさ? いなくなって連絡取れないさ」
「セーラ? 死んだよ」
「嘘さ………アンタが何言ってるかわからないさ」
「だからセーラは死んだよ」
カルナが息を飲むのがわかった。
「アンタが殺した?」
「いや、俺がセーラに殺された」
「………アンタが何を言ってるか、さっぱりわからないさ」
「まず俺がセーラに殺されて、あの場にヒャッハーっていたろ。アイツがセーラ殺した」
「………………」
「理解した?」
「それじゃあ。なんで今、アンタが生きてるのさ?」
「その後生き返って、ヒャッハー殺したから」
「………ますます、わけがわからないさ」
「………」
「セーラ姉さんは本当に死んだの?」
「ああ」
「………嘘さ。姉さんが死ぬわけないさ」
驚いた事に、否定するカルナは………
カルナは目に涙を浮かべていた。
仲は良いのか悪いのか、よく分からない姉妹だったけれど、
「死んだよ。あの世で、あった」
「姉さん………」
「あの世で元気だったぞ」
「アルマ。出番さ」
「ん!!!」
人間達の最後の一人。
アルマと呼ばれた眠そうな顔をした女が、
いきなり俺に斬りかかってきた。
アルマと呼ばれた女の手には、間違いない。
光り輝くドラゴンキラーが握られていた。
危ういところで避ける。
「アレ? ハズレた」
「あっぶな〜。何しやがる?」
「この子はドラゴンスレイヤーのアルマ。ここにドラゴンがいると聞いて、アンタじゃなかった時の護衛として雇ったさ」
「………それが、なんで俺を襲っている?」
「姉さんが悲しまないように、アンタを姉さんの下に送ってやるさ」
なんだと?
何だその理屈。
「お前ら姉妹は、ちょっとスナック感覚で竜を殺そうとするんじゃない。頭がおかしいのか?」
「アンタに言われたくないさ」
「なんぼなんでも、俺の方がまともだ」
「あ〜あ〜、アンタがアタシに説教するのは、銀行強盗がコンビニ強盗に、悪い事するなって言うようなものさ」
「いや、ふざけんな。そもそもコンビニって何だ?」
いや、本当にこいつら姉妹は頭がおかしい。
なんで、こんなのに義兄さんとか呼ばれなきゃならん。




