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146/306

146、発情期11

 


 自分口から、切りたい切りたいと無意識に言葉が漏れる。

 やっぱり、この剣はガッツリ呪われてると思う。

 そんな事をわかっていても、使用を止められない。

 悪女の様な魅力。

 それをこのドラゴンキラーは持っていた。


 モット

 モット

 モット


「もっと斬りたい切りたい伐りたいキリタイ」


 切って刻んで血を浴びたい。


「………………いや。イカン。イカン。イカン」


 わりかしガッツリ意識を持っていかれてた。

 酔っ払い、暴れたのに記憶残ってる様な感覚。

 コレを繰り返していれば、そのうち。

 イカれた辻斬りドラゴンの完成だ。


 ………そうか。

 この転生体の父親、第三王子。

 彼がわざわざ、このドラゴンキラーをコレクションルームに置いていたのは、この為か。

 さては………

 ドラゴンキラーに心を持ってかれるのを恐れたな。


 断言しても良いが、過去この剣の所有者の王族何人かは、暴走して辻斬りめいた行動をしたはずだ。

 で、なければ、そもそもこんな強力な剣は、王か次期王が所持してるはず。

 暴走しても致命的にならない王族。

 今は第三王子に所有権を認められたんだろう。


 ………………危険なのは初めからわかっている。

 見ただけでわかる。

 でも、もう駄目だ。

 もうコイツ無しではいられない。


 大物魔物を一匹瞬殺した。

 そしてドラゴンキラーのあまりの危険度に、おもいをはせている。

 そのあいだに。

 周囲を魔物に取り囲まれつつある。

 種族にかかわらず、ワラワラと魔物が群がりつつある。

 ドラゴンキラーを持った手を顔の高さまで掲げる。

 

「洒落臭い」


 ドラゴンが持つ、禍々しく黒く怪しいオーラを放つドラゴンキラー。

 その危険度を全く把握出来ない魔物達。

 そんなものが相手になるものか。

 一応多勢に無勢。

 数の多い相手に勝つのは基本的には不可能だ。

 前回は痛い目にあった。

 だけれども、例外として、相手を一撃で仕留める手段をコチラが保持していた場合は事情が異なる。


 群がる魔物にドラゴンキラーを振り下ろす。

 手応えすらなく切り裂く。

 1振りで数匹まとめて魔物を屠る。

 魔物達が異常事態に気が付くまで、そう時間はかからなかった。

 魔物に完全に囲まれる前に、次々と周囲を切り落としていく。

 小物が俺の危険性に気がついて逃げはじめる。


「ミギャン」


 その背中めがけてブレスを放つ。

 周囲の魔物諸共に消し飛ばす。

 徐々に昔の力を取り戻しつつあるブレス。

 その威力に満足して、目を細め次の獲物を探す。

 

 接近戦ではドラゴンキラー。

 遠距離にはドラゴンブレスを叩き込む。

 猛威を奮う俺。

 その危険性を認識し始めた、小物の大半は挑んでは来なくなる。

 だが逆に自分の強さに自信を持った大物。

 彼等は俺を見つけると、目の色を変えて嬉しそうに駆けてくる。


 強い者に挑みたくなる本能?

 それとも強者を倒して虚栄心を満たしたい?

 どちらにせよ、一対一で今の俺をどうにかするのは、なかなかに大変だろう。

 なにせコチラの手には防御不可の頭のおかしいドラゴンキラーが握られている。

 正直言って、これを持って負けるビジョンが中中うかばない。

 遠距離攻撃や、搦手を使う相手以外には、今の俺はどうしようも無かろう。


「さぁこい」


 目の前には、先程倒した豚人間を更に上回るサイズの豚人間。

 それは手に持った太く長い棍棒を振り下ろしてくる。

 上から振り下ろされる剛攻撃。

 凄まじい威圧感と迫力。

 迫力満点。

 だが

 俺は絶対的な自信と共に、ドラゴンキラーを棍棒に叩き込む。

 棍棒ごと巨大な豚人間を真っ二つ。


 更に、巨大な魔物が崩れ落ちる前に、周囲の魔物を纏めて数匹切り裂いた。

 圧倒的な信頼をおける力。

 それに寄せる自信。

 それが俺に逃げるという選択肢をなくし。

 文字通り、災害めいた強さをもたらしていた。






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