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144/306

144、発情期9



 兎にも角にも、もうちょいくらいは強くなりたい。

 そして空を自由に飛べるようにならねば。

 強敵に出会えば、現状死にかねない。

 死ねば半魚人の元へ送られ、また何をされるか?


「ぐぐぐ、それだけは避けたい」


 高い巨木から、魔物が争う様を見下ろしながら、せめてあれぐらいの敵の群れを、恐怖のどん底に落とせるくらいの強さを取り戻したいと思う。


 ドラゴンキラーを使えば、前世や前前世の自分にもワンチャン勝てるかもだけどね。

 やはり武器に頼らぬ力も欲しい。

 一度でも手にした力を失う事を、完全に容認するのは酷く難易度高い。


 そんな事を考えながら、三種族の魔物戦争を特等席から高みの見物。

 休憩がてら魔物達を観察する。

 徐々に仕組みがわかってきたように思う。


 小鬼は食欲が非常に旺盛だ。

 自種族、他種族にかかわらず、死体に群がりそれを食べている。

 持ち帰ってもいるようだ。

 小鬼にとっては戦場は食料確保の場のようだ。

 大鶏は兎に角、他種族を殺す事に執着しているように見える。

 豚人間は大鶏を集中的に狙っているようだった。

 観察してみて思ったのだが。


「魔物って、もしかして。それぞれ目的が違うのか?」


 殺し合いの戦争をしているように見えた。

 他種族を殺し尽くすのが目的かと思ったのだが………。

 実際は食料確保の為の狩りや、その他の生活の一環なのかも知れない。

 彼等なりの食物連鎖と言うか?

 ここは実際は牧場的な何かなのかも知れない。

 そんな仕組みで戦場は成り立ってる。

 そんななのかも知れないな〜?

 とか思った。


「まぁ、俺が荒らすんだけれどな」


 ………環境破壊。

 ドラゴンは環境破壊する生物である。

 ドラゴンは、きっと生態系に優しくない。

 存在自体が一種の環境だ。

 他の生命にとっては災害だ。

 ………そんな竜に生まれ変わった筈の俺が、半魚人に振り回され。

 竜の身体を失い。

 アキリアに弄ばれる。


「ちくしょー」


 竜生、人生とは不条理だ。

 なんとなく神を呪いながら、やる気が出たので戦場へと向かう。

 もっともっと俺は強くなる。

 それは定められた運命だ。

 スキルで化けた偽物の竜体とはいえ。

 弱いドラゴンなど、ありえないし。

 あってはならない。

 



 巨木の上部を拠点に、積極的に戦場で狩りを行う。

 狩りを始めて一週間。

 大鶏を狩り、ブレスで焼いて食べる。

 豚人間も美味い。

 けれど、何だか抵抗感があって、あまり食べない。


「ウマウマ」


 一週間も狩りを続けると結構なれた。

 徐々に戦場の癖のようなモノがわかってくる。

 結論から言うと。

 この戦場で狩りをしているのは俺だけでなかった。

 戦場に集まる、全ての魔物。

 それ等全てがレベルアップを目指しているようだった。

 強さを求める事に貪欲だ。

 

 狩りを始めて二週間がたつ。

 新たに気がついた事がある。

 ここに集まる魔物達は死を恐れていない。

 魔物達は飽くなき強さを求めて、この戦場にいる。

 自分も含めて………。

 それが妙に心地良かった。

 

 この二週間。

 安全地帯である空から、一方的に攻撃を仕掛けてひたすら勝ちを重ねた。

 強くはなっている。

 レベルは確実に上がっているが………。

 問題も、いくつかある。

 魔物が俺の攻撃方法に、対応してきている。

 空を飛ぶ俺を見かけると、逃げたりバラけたりする。

 結果。

 俺のブレス威力も効果範囲も上がっている。

 なのに仕留めれる魔物の数は減ってきている。



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